最近、飢えを覚えることが多くなった。
彼の生きる意味は「ザフトの兵士を一人でも多くぶっ殺すこと」で、大概の飢えはそれで満たされてきた。
しかし最近はどうだろう。
戦闘が一時しのぎにはなることはあっても、根本的な解決にはなりえない気がする。
そうして飢えは続く。
最近、といったが、正確にはあれだ。
この間の出来事があってから。
何があったか?
彼は脳裏にそのときのことを描き出した。
それはネオとスティングとステラ、彼の同属(一応の上司であるやつもいるが)たちとのいつもの光景だった。
いつもどおりステラは刷り込みされたひよこのようにネオにばかりまとわりつき、ネオはステラの髪を何度もよしよしと撫でてやる。
それを彼とスティングが少し離れたところから呆れたように見ている。
いつもの光景だ。
ただひとつ違ったのは、ステラが普段はネオにだけみせる、無邪気で無垢な笑顔のまま、彼を振り返ったことだ。
――――その笑顔を見た瞬間、彼の中に猛烈な飢えが生じたのだ。
食べてしまいたい。
何故そう思うのか自分でも理解できず、彼はその飢えを腹に抱えたまま、とりあえず食べ物を口に詰め込んでみた。
そんなに腹が減っているのかと思ったからだ。
しかし効き目は無かった。
それから彼はステラを見るたびに、思い切りその白い首筋に犬歯をつき立てて、噛み千切ってやりたいような衝動にかられてしまう。

(僕、おかしいのかも。人肉なんか食ったってうまくねーのに)

わかっていてもそのどうしようもない欲求は、彼の内で叫びを上げる。聞こえないふりなど出来ない。
それになんだかとても甘いものに思えるのだ。生クリームやバニラアイスのような白くて柔らかくて優しい甘い味。
彼らは今まで一緒にいるのが当然だったので、互いの裸を見ても特にどうということもなかった。
気にしないでひとつところで着替えるし、見ても見られても平気なのだ。
それなのに、そのはずなのに、見慣れているはずの少女の身体も顔も、ステラの全身あますところなく口をつけたい、抱きしめて腕の中であの笑顔をもう一度見たいと思ってしまうのは、いったいどういう魔法の作用だろう。
アウルはこちらに背を向けているステラの薄い服からのぞく滑らかな肌を眺めた。
少し……味わっても、いいだろうか?



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