兄の言葉に、ナナリーは首を小鳥のように傾げた。
「おまじない、ですか?」
「そう。ナナリーの目が良くなりますように、っていうおまじないだよ」
ルルーシュの声は柔らかく、ナナリーに浸透していく。そして温めるのだ。
大好きな兄のすることに、不安があろうはずもない。
ナナリーはそっとその瞬間を待つ。
兄の気配が常よりもっとずっと近づき、微かな息遣い、髪の毛の揺れる音まで聴こえる。
やがてまぶたに触れる少し湿った優しい感触に、ナナリーは微笑むのだった。


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