登校するときに、
授業中に、
移動教室のときに、
休み時間に、
下校のときに、
家でさえも。

仁の存在が隣にないことにどこまでも慣れない。

毎日一緒にいたから、隣の空気がだから冷たくて。
何度も仁に問いかけようとして口を噤んでいた。
隣を見て仁がいないことに失望して、それは当然なんだと無理矢理納得して。

今もまだ仁はどこかで生きていてくれているだろうか。
じいちゃんのように生きていてくれているだろうか。

本音は、あるけれど。
決して口にしない。
声にしてしまったら堰切ってしまうだろうから、言いはしない。
もしもう一度会ったときのためにとっておくのだから。

だから、言わない。





----------
帰ってきてすぐあたり。まだじいちゃんに仁の消息を聞いてないってことで。