前回までのあらすじ〜
フレイの守護霊となったパパンは、娘の彼氏が気に食わず、日々妨害工作にいそしんでいた。
しかし度重なる破壊行動を不審に思うフレイとキラ、そしてついに黒キラが発動!
今まさにフレイをめぐっての全面戦争へと突入する。
ちなみに力を使った後のパパンは、霊としての意識を保っていられません☆




少し前まで、僕たちはポルターガイスト現象に悩まされていた。
フレイといちゃつけばコーヒーカップが割れ、
フレイにキスすれば花瓶が空を飛び、
ソファに押し倒せばクッションが破裂し中の羽毛が舞ったりした。
そんな日々がしばらく続き、フレイは怯えたし僕は欲求不満でいらいらしたし、
僕たちは「これはおかしいから専門家に見てもらおう」という結論の一致を見た。
なぜか怪しい知り合いの多いラクスがその人脈を駆使して凄腕の霊能力者だとかいう人を紹介してくれたので、じゃあ早速その人に家の中の御祓いをしてもらおうということになる。
「これで変なことが治まればいいわね」
「そうだね、早く安心したいよ」
そんな会話をしていた僕たちのところへやってきたのは、見るからに怪しげな女の人だった。
詳しい描写は省くけど(色々と怖いから)なんていうの? 電波系。そんな感じ。
で、うちにやってきた彼女が部屋に入るなり言った。

いる……

なにがいるのかなんて、もう訊かなくてもわかる。霊だ。ゴーストだ。
フレイは僕の腕にすがるようにぎゅっと身体を押し付けてきた。もちろん谷間にジャストフィットだ。
そしてまた来客用にと出しておいた紅茶のカップが割れた。
3人ともびく! と反応したけど、一番びく! となったのは霊能力者の彼女だった。
というかむしろ、僕とフレイは彼女の反応のすごさにつられて反応してしまったのであって。
おおおお……とか言ってる彼女が怖い。
霊の存在が……希薄になっていくのが感じられる
「え? 消えちゃったんですか?」
「良かった、じゃあもう平気なの」
安心しかけた僕たちに、彼女は言った。
いや、これは一時的なものに過ぎない……霊がいなくなったわけではない、波動が弱まっただけ……ルルリララ
「ルルリララ?」
僕たちは顔を見合わせた。やっぱこの人、なんかアブナイ。
ちょっと引いた僕は、こわごわと訊いてみた。
「あのー、それでどうすればいいんでしょう?」
除霊の必要がある……霊の力が弱まっている今が好機……
「霊って、どんな霊が憑いてるんですか」
あなた
彼女はもったいぶったようにゆっくりと手を持ち上げ、黒いマニキュアの塗ってある人差し指でフレイをさした。
「わ……わたし!?」
視線の先のフレイは怯えていた。……無理もないと思う。いろんな意味で。
まるで噛んで含めるようなしゃべり方で彼女は言った。
あなたに強い執着心を持っている……そう……まるでストーカーのような……男性の霊……
「いますぐ除霊お願いします」




そして僕たちは平穏な日々を取り戻した。二人とも、いまとっても幸せだよ。
嗚呼素晴らしき哉同棲生活。




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