ぱらぱらとファッション雑誌のページを繰りながら、可愛いものに目を輝かせていたフレイがふとキラを見上げた。
「ねえ、こっちのコとこっちのコ、どっちが好き?」
「なに、突然」
「いいから。ね、どっち?」
指し示されたページには、ショートカットの健康的な少女と、対照的に大人しめのストレートロングの少女が並んで笑っている。
キラは深く考えずにうーんこっちかなぁ、と答えた。
それをふぅん、と言ってフレイはまた質問をしてくる。
「じゃあ、キラは髪が長い方が好きなの?」
「一概にそういうわけじゃあ……ないけど。その人に似合ってればいいんじゃないかな」
フレイの質問は終わらない。
「可愛い系と綺麗系はどっちが好き?」
「えっ、ど、どうだろう」
「明るいコとおしとやかなコだったら?」
「別にどっちでも……」
「積極的なのと奥手なの」
「何が!?」
「スレンダーとグラマー」
「……」
矢継ぎ早に繰り出される問いに、キラはついていけなくなったところで。
「キラって巨乳好き? 好きよね」
「なんでそこだけ自己完結するのさ」
「訊かなくてもわかる質問だったわって思って」
「フレイ、君僕のことなんだと……」
「じゃあ好きじゃないのに吸ったり舐めたり噛んだり揉んだりあんなにするわけ?」
「う」
それを言われると何も言い返せない。
フレイは勝った、とばかりに顔を輝かせ次の質問に移った。
「金髪と黒髪は?」
「……」
言い返せなくてもやり返すことは出来る。
キラは無言で目の前の彼女の髪をさらりと取った。
「……キラ?」
「これ」
わずかに沈黙。そして。
「……ええと」
「訊かなくてもわかるんだろ? 好きじゃないのにこういうことしないよ」
ちゅ、と音を立てて口付ける。
「好みのタイプは君ってことで」
笑顔で言ってのけると、流石のフレイも赤くなった。
「またそういうことをさらっと……もう」
「呆れた?」
フレイはイタズラっぽく笑って首を振った。
「ううん、嫌いじゃないわ」
「別の言い方のほうがいいなぁ」
「……好きよ」
部屋の温度が軽く3度は上がった、と思う。
でもこれから寒くなるからちょうどいいのかも。




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