フレイってさ、ほんとに天邪鬼なんだよ。
男にとって女性の心は永遠の謎だって言うけど、僕はこの言葉を考えた人に心から同意したい。
フレイは演技がとても上手い上に気まぐれの気分屋だから、彼女の本音を悟るには仙人か逆サトラレのスキルを身につけるぐらいの努力を要するんだ。
いつだって振り回されないようにしっかり両手をつないでいなくちゃダメなんだよ。
意地っ張りでわがままのくせに寂しがりやであまえんぼで、まあそこが可愛いっていえばそうなんだけど。
てゆうか可愛いんだけど。うん。
なんてことを考えながら、僕はフレイの足に手を這わせているわけ。
「やっ、やあっ」
ほらこれだ。
「フレイ、嘘」
目なんかうるうるして、柔らかそうな頬も真っ赤で、息も荒いくせに。
嫌だなんていうんだよ。誰が見ても嘘だと思うよ。
女の「嫌」には裏の意味があるらしいけど、こういうとき身をもって実感する。
だって「もっとして」って言ってるようにしか聞こえないんだもの。
……たまにマジで「やだって言ってんでしょこのバカ――!」とか言われて、急所に見事な蹴りを食らうこともあるけどね。


「もっ……キラのバカ! 意地悪! 大っ嫌い!!」
――――フレイってさ、ほんとに天邪鬼なんだよ。
そんな声でそんな表情で言ったって、説得力なんて何もないのにね。
誰がどう聞いても、「大好き」って言ってるようにしか聞こえないと思うのは、僕のうぬぼれなんかじゃないはず。
あ、石を投げるのは勘弁してね。




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