唇で顔を探り手で身体を探り、ふたりはお互いを求め合う。
そうして唇は唇を見つけ、舌を絡めては子猫がミルクを舐めるようにぴちゃぴちゃと音を立てる。
手のひらは手のひらを。
フレイのそれよりも大きく硬い手が手首をたどり指と指を絡めつなぎとめる。
つたないたどたどしい愛撫よりも、それらの行為のほうがよほど少女に快感をもたらすことを、彼は知っているのだろうか。
手の指がどうしてこういう形になるのか知ってる?
母親の胎内で、手は最初水かきのようにくっついている。
その水かきの部分の細胞が死んで、指は5本に分かれる。
計算された死、遺伝子にプログラムされた細胞の死滅の結果。
最初から死ぬことが決められていたもの。
悲しくはないのかしら。
細胞が悲しむというのも変な話だけれど、フレイはそんなことを考える。

「キラ。私は、あなたが死んだら悲しいわ」
「フレイ?」
「あなたは私を守ってくれるのよね?」
「……うん」
悲愴な笑顔。
この少年は痛みを抱えているのだ、とフレイは思った。そして続ける。
「あなたはパパが死んだとき私が泣いたことを知ってるわよね?」
「……っ、うん」
「あなたは私を二度と泣かせたくないって言ってくれたわよね?」
「うん」
「あなたは私を二度と泣かせたりしないわよね?」
「うん」
フレイは自然と目を伏せた。なんとなく、顔を見ながらでは言いづらかったからだ。
「私は、あなたが死んだらきっと泣くわ」
「う……、え?」
「だから死なないでね、キラ」
……まだ。
永遠の命はなく、全ては生まれたときから死ぬことが決められている。
プログラムされているのは、自分たちもまた、そうなのだ。
フレイは少年と同じベッドの中で、ひっそりと死を温めた。



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えーと16話過ぎの話ってことで。