少年は腰掛けたベッドの周りを支配していて、フレイは彼の足の間、床にちょこんと座っていた。
彼という王に服従する奴隷のごとく。
全裸のフレイの乳首は寒さのためかつんととがっていて、けれど服を下半身の一箇所だけしか乱していないキラは寒くなど無いのだろう。

こんなものを口に入れるなんて信じられない!

フレイはびくびくしながらキラを見上げた。
「フレイ……」
どこかうっとりとキラはフレイの名前を呼ぶ。
今でこそキラの手は優しく後頭部を撫でてくれているが、いつその指が赤い髪の毛を掴んで、乱暴に引っ張るかわからないのだ。
キラはすぐにでもフレイを引きずり回すことが出来る。
自分のプライドに大変な我慢を強いて、フレイは唇を開き――――目の前のそれを咥えた。
口の中に変な味が広がる。生温かい肉の感触は不快以外の何物でもなかった。
汚い、汚い、汚い、汚い。吐き気がする、気持ち悪い。
しかもそれは、化け物であるコーディネイターのものなのだ。ますます汚らわしい。
えづきそうになるのを必死で我慢し、舌を這わす。
パパがくれた上品なお菓子の味を一生懸命思い出そうとした。
たっぷりの生クリーム。ミルクのチョコレート。繊細な造詣の砂糖細工。お気に入りのカップに紅茶を注いで。
「うっ……んむぅ」
どれもこれも、なんて遠い。今あるのは男の性器だけだ。フレイは泣きたくなる。
歯を立てないようにするにはとても努力が要った、本心を覆い隠して涙をこらえるのと同程度には。
これはキャンディなの。だからあなたは舐めるのよ、フレイ。
音を立ててしゃぶるようにすると、キラの手がことさら優しくなったので、正解の一つなのだと知る。
意識を集中すれば、水音の合間にキラの吐く息の音を聞くことが出来た。
そのリズムに、彼は自分に舐められて興奮しているのだとわかった。
気付いた瞬間、フレイの身体の奥にも小さな熱がともる。
ぴちゃぴちゃと耳を汚す音が、炎を煽った。
やっぱり飲み干さなくてはいけないのかしら、と思う。最低だ。


(05.12.28)
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