後ろから抱きすくめられ、うなじに息がかかる。
あ、この子欲情しているな、とわかってしまって、そんなことのわかる自分がフレイは嫌になった。
肌が慣れてきているのだ、この少年に対して。
聞こえる獣じみた息に、欲情っていうより発情ね、という思いを抱く。
私たち二人の間には人間らしい感情の交流などないから、たぶん、発情でいいのだ。間違っていない。
「キラ……、ねぇ」
身体に回された腕に、爪を立てたくなるのを我慢する。
彼の腕は無遠慮にフレイの胸をまさぐって、フレイはうんざりした。
服が汚れることとか、考えられないのかしら。なんてバカな男の子。ただ彼には力がある。
だからフレイは彼を選んで、自分で選んだ以上、我慢をしなくてはならない。
軍服の厚い布地の上から強めに揉まれる。
本格的に力の入った愛撫になってきた――――フレイは彼の性急さをたしなめるつもりで指の上に指を重ねた。
熱を呼び覚ます指先。
キラだからなのか、それともコーディネイターだからなのか、彼の指は綺麗で繊細だ。人殺しの手の癖に。
「フレイ……ッ」
フレイ僕は僕は、……僕はばっかり。それはただの独り善がりで自己満足でしかない。
首筋から伝わる音の震えで、彼がうわごとのように囁き続けているのがわかる。
ぬめる舌が這う。赤く長い髪の中に鼻先を突っ込まれた。舌が動く。
そこに浮いた血管をなぞるように舐め上げられる。
「ぁ……」
心と身体が別物だと思うのはこういうときだ。
胸の中は冷め切っているのに、肌が熱かった。
背筋を上る快感がフレイの膝を攻撃する。
キラに体重の大部分を預けるのが嫌で、フレイは懇願した。
「ね、キラ、ここじゃ」
「……大丈夫だよ」
何が大丈夫なものか。
全く理解していない愚かな少年は、図々しくもスカートの中に手を差し込んできた。
「んっ」
鼻から声が抜ける。
薄い下着越しに指の感触があって、何度も何度も布の上からなぞられる。
そこが少しずつ熱く湿ってくるのを自覚し、フレイはゆるく首を振った。
その顎をとられ、無理矢理振り向かされる。唇が重なり、フレイはぎゅっと目をつぶった。息が苦しかった。
「ふっ……う……」
キラの舌が粘膜を探る。その間にも指はしつこいほどにそこをなぞっていた。
「は、ぁ」
次第に足に力が入らなくなってくる。
そんなフレイの状態を察したのか、キラはくるりと体勢を入れ替えると、フレイを胸から壁に押し付けた。
「っ」
フレイは手を肘の辺りから壁に付け、すがるようにもたれかかった。腰を少し突き出すようにして、バランスを取る。
スカートはずりあげられ、中途半端な位置で止まっている。
下着の湿って張り付く感覚が不快で、冷たいような熱いような、とにかく気持ちが悪いことだけは確かだ。
キラの指が横から下着にかかった。
脱がせられるのかと思って少し覚悟したのに、予想に反して片方にぐいとひっぱられただけだった。
よじれた薄布の隙間から外気に晒されて、濡れていた部分がひやりとした。
妙な具合に肉に食い込む下着は、さっきよりもっとずっと不快だ。
「やだっ、こんなんじゃなくて、ちゃんとして」
否という返事のかわりに、指が捩じ込まれた。
「あっ、ん」
――――着たままで、立ったままで、このまま。
喘ぎ声より泣き声をあげたかったが、必死に唇を噛み締めた。



すいませんこれが限界でした。本番を書かずに逃げます
(06.04.16)

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