あのとき、すっごく痛かったんだから!
しょうがないじゃないか、僕だって夢中だったんだから。
なによ、言い訳する気なの? だいたいあなた、見かけによらず馬鹿力なのよ、少しは手加減しなさいよね。肩が千切れるかと思ったわよ。
だって、止血しようと……それに、それを言うなら自分で撃ったくせに……。
それはそうだけど、それだってあなたが――――っと。
僕が何?
ううん、別になんでもないわ。
ふーん?
あ、そういえばあなた、なんで私に血なんか飲ませたの?
二人とも口の周りが血まみれで、まるで吸血鬼みたいだった。
急所をはずしたことも幸いしフレイは一命をとりとめ、アークエンジェルに運ばれた。
フレイはキラが死んだとずっと思っていて、キラはフレイが転属先で、AAにいたときよりはずっと安全な日々を送っていると思っていた。
そんな二人が今はどうだろう。こんな風に再会するなんて、思ってもみなかったのに。
ねぇキラ。
ん?
あのとき私、実はよく覚えてなくって自信ないんだけど、……ちゃんと言えてたかしら。
え、なんのこと?
だから、その……何よその顔。
何って、さあ。
キラ、あなた……本当はわかってるんじゃないのっ!?
ううん、さっぱりわからないよ。それで?
……むかつくからもう言ってやらないわ。
フレイ?
……。
フレイ、怒ったの? ごめん、やりすぎたかな……。
……ありがと。
えっ?
あと、ごめんなさい。ずっと、それが言いたくて……でも、言えなくって。あなたが帰ってきたら、ちゃんと……そう思ってて、でも。
……うん。
言えてよかったわ。なんか、すっきりした。ふふ。
でもそれ、あのとき言ってくれたのと違うよね?
……!
出来ればもう一回聞きたいんだけど、ダメ……かな。
今度は、血以外の味がした。
了