「可愛いですよ」
 言わんでいいそういうことは。
 しかしとち狂ったことに、誘ったのは俺のほうだからろくに抗議もできない。
 つうかやっぱり俺が下なのな。
「嫌でしたか?」
 そりゃあな、男の本能としてはつっこみたいと思うのが普通だろ。
 けれども古泉につっこみたいかと言われると、うん。無理! の一言で終わってしまう。
 そして古泉は俺につっこみたいのだそうだ、情緒もへったくれもない言い方だがこの際それはどうでもいい。
 むしろ耽美な表現なんかをされた日には身体に大量に蕁麻疹が出てかきむしらなきゃならなくなるだろう。
 とにかく俺は古泉には入れられない、古泉は俺に入れたい。
 ならこうなるのは当然の成り行きなんだろうさ。
「ぅ、っ」
 俺は死にそうな思いまでしてなにをやっているのかね?
 一人でしたほうが絶対手っ取り早いし楽。
 男同士のセックスなんて、しかも入れられる側なんて、大変なばっかりで全然気持ちよくないぞ。
 痛い苦しい気持ち悪いの三重苦だ。
 ましてや俺は身体が硬い。なのに古泉は俺にとんでもないアクロバティックな姿勢をとらせようとする。
 お前、そういうことがしたいなら新体操部の女子にでも頼めよ。きっとどんな体位もお手の物だぞ。
「僕はあなたとしたいんです」
 ……あっそ。