ゆかすさんからすごいものをいただいてしまったのでした

 

かわいいなあかわいいなあきょんきょんします


「ほれ、あーん」
 言ってから、つい妹にするのと同じように言ってしまったことに気づいたが、古泉は子どものような扱いを受けているというのに気分を害した様子もなく口を開けたので、まあいいやと俺も気にしない。
 思いのほか赤い舌が覗いてほんの少しだけときりとした。歯並びもいいんだよな、こいつ。歯磨き粉のCMに出られそうなくらい白いし。伏せられた睫の長さに感心したり、すっと通った鼻の絶妙なバランスを眺めたりしながら、ショートケーキを切り分けてフォークで古泉の口へと運ぶ。
 苺を突き刺そうとしたところで、古泉が呟いた。
「あ、指に……」
 指? フォークを傾けて手のひらをこちらのほうへ返すと、人差し指の先に生クリームが付着していた。
 舐めとっちまおう、と顔に近づける前に、古泉の手が俺の手首を掴んだ。
 なんてお約束の展開だろう。
 赤い舌がちろりと指先を舐めて、短く切った爪にぶつかる。人差し指はそのままぱくりと古泉の口の中に消え、赤ん坊がするように軽く吸われた。
「お前な、」
 やがて解放された指が濡れて光っているのを呆れながら眺める。
「……ちょうどいいから味見しようかと思ったのに」
「それはすみませんでした」
 笑顔で謝るちっとも反省の色の見えない男は、ケーキの皿を少し脇へと避難させて、ぐっと身を乗り出してきた。顔が近いぞ。
「味見なら、別の方法もありますよ……?」
 お約束パートツー。甘ったるくてまいるね、ほんと。