2つの夜


「ヴィルチェ、今だ。矢を打って!」
 カテオという名の少年が合図を送ると、ヴィルチェと呼ばれた青年は矢を放った。
その矢は勢い良くフィールドにいたモンスターに突き刺さる。
矢が突き刺さった場所から、緑色の液体がほとばしった。
暫くして、モンスターは完全に動きを止めた。
「魔物退治は成功だね。今日は遅いから、宿屋に泊まって明日ギルドにコイツを引き渡そう」
 カテオがいうと、緊迫していた空気が一瞬にして和らぐ。
そして二人は、雑談を交わしながら近くにある村の宿に向った。

 その夜。
ヴィルチェは一人、モンスターが捕獲してある納屋に足を踏み入れた。
モンスターに近付き自分が放った矢を引き抜く。
激痛が走ったのか、動きを止めていたモンスターが微弱な唸り声を上げた。
「動きたくても動けないだろう? 矢には痺れ薬が塗ってあったからな」
 そう言いながら、ヴィルチェは身に着けていた衣服を脱ぎ捨てた。
そして物言わぬモンスターの前に立ちはだかると、粘液で湿った触腕の一つを強引に鷲掴む。
ヴィルチェはその場に膝を付いて座り、触腕を自分のアヌスへ押し入れた。
自分の一部が狭い穴に押し込められた上に強い力で締め付けられ、モンスターは驚愕したように身を震わせた。
だがモンスターの触腕は一層深くヴィルチェのアヌスに食い込む。
「ああ……この感触を求めていたんだ……」
 自分の中で触腕が蠢くのを感じながら、ヴィルチェは目を細め酔い痴れた。
モンスターの触腕にある無数の突起がアヌスの内部を刺激する。
ヴィルチェは昂った気持ちと荒い息で、自ら腰を振り始めた。
「はふっ、はうぅっ」
 腰を動かすたび、ヴィルチェは内部から激しい快感を得た。
それはヴィルチェの興奮を更に高め、同時に勃起したペニスからは透明の液体が滴り落ちる。
ヴィルチェは覆いかぶさるようにモンスターにしがみ付くと、勃起したペニスをモンスターの粘液に覆われた皮膚に押し当てた。
腰を揺さ振るたび、アヌス内部とペニスの先端が快楽に包まれる。
「ううっ。こんな醜いモンスターで、こんなに激しい快感が得られようとは……」
 ヴィルチェは快感に酔い痴れながら細めた瞳でモンスターを見据えた。
モンスターは痺れ薬が効いているらしく、微弱な動きしかしない。
苦しいのか、至る所から粘液を排出していた。
「この粘液のヌルヌル感が堪らない……っ」
 ヴィルチェは粘液で一層滑りの良くなった触腕が抜け落ちてしまわぬよう、アヌスに力を込めた。
「っは……っは……」
 そして狂ったように艶かしい吐息を洩らし、必死になって腰を振る。
「ああっ、もう……イってしまうっ」
 ヴィルチェが吐息に混じり言葉を吐き出すと、モンスターの皮膚に押し当てられたペニスから精液が飛び散った。
ヴィルチェは身を震わせながら、モンスターによってもたらされた強い快楽の余韻に浸った。
 その後ヴィルチェは身体を洗い、何事も無かったかのように宿の自室に戻って行った。

 それから暫くして、少しだけ開かれた納屋の戸からカテオが顔を覗かせた。
カテオは納屋の中に誰もいないのを確認すると、ホッとしたように肩を下ろし納屋の中に足を踏み入れた。
「こんな凄いモンスターを、俺とヴィルチェの二人で退治したんだなぁ……」
 カテオは興奮気味な面持ちでモンスターを覗き込む。
粘液に包まれた体躯の隅々を眺め、自分達の功績を実感する。
ふと、カテオは項垂れた無数の触腕に目を奪われた。
触腕の先は無数の突起が付いており、卑猥な妄想を引き起こすのに充分な形をしている。
カテオは自分の淫らな妄想に赤面したが、それでも尚、視線は触腕から離れない。
痺れ薬に抗うようにモンスターが触腕を振るい先端から粘液が飛び出したのを見た時、カテオはドキッとした。
「やだな。何だか……変な気分になって来た」
 カテオは呟くように言うと、ゴクリと息を呑んだ。
衣服の中でペニスが硬直しているのはモンスターを退治した興奮のせいだ、と自分に言い聞かせる。
だが一度昂ってしまった気持ちは、そう簡単に鎮まらない。
 カテオは振り向き納屋の戸に鍵が掛かっているのを確認すると、震える足でモンスターに歩み寄った。
モンスターの傍らに崩れ落ちるようにして腰を下ろしたカテオは、少しだけ躊躇った手付きで自分のペニスを露出した。
まだ皮の剥け切れていないカテオのペニスは天を仰ぎ、先端は透明な液体で濡れている。
そんな言い訳の出来ない状況を目の当たりにしたカテオは少しだけ息を弾ませ、目の前に横たわるモンスターの触腕を恐る恐る掴んだ。
手にした触腕は粘液に包まれて入るものの、感触はペニスに近い。
その感触が余計にカテオの興奮を促す。
 カテオは手にした触腕を勃起した自分のペニスにあてがった。
そして少しずつペニスの側面を滑らせる。
「――っは」
 触腕に纏わり付く粘液が、その動きを円滑にする。
カテオは何度も自分のペニスに触腕を滑らせ、その感触を楽しんだ。
「もっと気持ち良くなりたいな……」
 カテオは半ば無意識に呟くと、ふら付く足で立ち上がり衣服を脱ぎ捨てた。
そしてモンスターに跨り、粘液でベタベタになった自らの指でアヌスを開く。
「んっ」
 強引に押し広げた穴に、意外と簡単に指が入る。
カテオは指で穴を刺激し適度にほぐすと、視界に入った触腕をアヌスに当てた。
「っは、はぁっ」
 粘液で濡れた触腕は簡単にアヌスへの進入を果たし、表面に付いていた突起がカテオの内部を刺激した。
カテオは快感を得るポイントを探るため、触腕を内部に食い込ませる。
触腕の先が内壁を刺激するたび、カテオは甘い吐息を洩らす。
自然と腹部に力が入った。
「中……凄く気持ちいいかも……っ」
 カテオは快楽が得られるポイントを定めると、身体を前に倒した。
触腕が一層強く内部を刺激し、カテオは思わず身悶えた。
そして深呼吸をすると、腰を前後に動かし始めた。
「あっ……はぁっ」
 腰を動かすたびに粘液が卑猥な音を立て、触腕が内部に快楽を広げる。
カテオは夢中で腰を振り、いつの間にか手にしていた別の触腕を口に含む。
粘液は苦く、ペニスを咥えているような錯覚を引き起こす。
「んう、ん……っ」
 カテオは瞳を閉じ、腰と舌を夢中で動かした。
 ――と、その時……。
痺れ薬の効力が弱まったのか、モンスターが動き始めた。
無数の触腕を振るわせ、微弱ながら抵抗する。
その動きが、一層カテオの内部を刺激した。
「あっ、凄……ッ。硬くなってる……っ」
 触腕がカテオの中で硬度を増す。
内壁を刺激する力が強まり、カテオは気が狂いそうになるほどの快楽を得た。
「中が熱いっ。お尻が気持ちいい……ッ」
 暴れ馬に乗っているような激しい動きに、カテオは頭が真っ白になった。
自分を犯しているのが凶悪なモンスターだという事を忘れ、激しい快楽に溺れた。
「はあっ、もっ……出るッッ」
 触腕が内部を押し上げカテオの身体が宙に舞った時、カテオは絶頂に達した。

 翌日、ヴィルチェは納屋の中で異様な光景を見た。
捕獲したモンスターの頭部に短剣が刺さっており、おびただしい量の血液が噴出している。
頭部に刺さった短剣は、カテオのものだった。
「ヴィルチェが寝坊している間にモンスターの痺れ薬が切れちゃってさ。一人で退治するの、大変だったんだから」
 真相を確かめるためヴィルチェがカテオの部屋に訪れると、カテオは浴室から出て来たところだった。
実際カテオは絶頂に達した後、暴れ出したモンスターと夜明けまで激闘を繰り広げていた。
自分を快楽の底に突き落とした相手を仕留める結果になるとは……と、カテオは密かに苦笑した。
 そしてヴィルチェとカテオは互いの真相を知らぬまま、自分に快楽をもたらせたモンスターの屍と共にギルドのある村に旅立った……。




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