黄金の神

 僕は、頼まれた事は断れないタイプだ。
現に今、新聞は五社取っているし、訪問販売などで買わされた不要品が家に沢山ある。
つい先日も、僕は自分の性格を直したいと思わずにはいられない出来事に遭遇した。

 その日、僕は普通に街中を歩いていた。
すると、前方から地味な格好の男が僕に近付いて来る。
「あの……貴方は、神の存在を信じますか?」
 男がボソボソと独り言のように呟いた時、僕は「またか」と思った。
この手の宗教の勧誘に、僕は何度も掴まっている。
その度僕は断り切れず、人々が行き交う中で祈りを捧げられてしまったのだ。
あの時は擦れ違う人々が僕を不審な目で見、僕は顔から火が出そうなほど恥かしい思いをした。
しかし、男が一言「祈らせてください」と頼めば、僕は断る事が出来ない。
僕に出来る事と言えば、人気のない所で祈ってもらうよう懇願する事くらいだ。
 取り敢えず場所を移す事に成功した僕は、彼の話を聞く事にした。

「我々の神は、今貴方の中にいます」
「……はぁ」
 男の突拍子もない言葉に、僕は曖昧な相槌を打つ。
僕の中に神が存在するなんて、信じられるわけがない。
 だが男は僕を仲間達の元に連れて行くと言い、強引に僕の腕を引っ張った。
僕は逆らう事も出来ず、彼らの本拠地へと連れて来られた。
そこは、廃墟のようなビルの地下。
この時点で僕は身の危険を感じたが、それでも逃げ出す勇気が持てなかった。
 僕は男の後に着いて、地下にある錆び付いたドアを開けた。
 するとそこには、二十人くらいの男女が教壇を前に跪いていた。
「皆の者、神がおいでなさったぞ!」
 今まで俯いてばかりだった男が、突然別人になったように叫んだ。
すると、跪いていた集団の視線が、一斉に僕に集中する。
男は強引に僕を教壇の中心に連れて来ると、再び口を開いた。
「さぁ、皆さん。神に祈りを捧げなさい!」
 一斉に僕に頭を下げる集団。
僕は恐怖心と戸惑いで、頭の中が混乱し始めた。
「それでは、皆さん。今日も神からのお慰みを戴きましょう!」
 男がそう言うと同時に、僕は教壇の端で待機していた黒服の男達に捕まってしまった。
男達は僕を全裸にすると、椅子に拘束した。
そして最後に、口をガムテープで塞ぐ。
いよいよ恐怖心に駆られた僕は、今にも泣き出しそうになる。
このまま殺されてしまうのではないかと思った。
全裸にさせられた僕のペニスは恐怖からか、少しだけ勃起してしまっていた。
「それでは、皆さん。祈りを捧げましょう!」
 脅える僕とは裏腹に、軽快な口調で男が叫ぶ。
すると、僕を拘束した黒服の男達が再び僕の回りに集まりだした。
僕は怖くて、体が震える。
しかし男達は、そんな僕に構う事なく僕を取り囲む。
そして男の一人が、僕の半勃ち状態のペニスを手で掴んだ。
同時に別の男が、僕のペニスに湿った綿棒を近付ける。
次の瞬間、綿棒が尿道に接触し、僕の体に衝撃が走った。
「っん!」
 その衝撃に身じろいだ僕は、思わず声にならない叫びを上げた。
それでも尚、男達は僕のペニスの先端を綿棒で掻き乱す。
僕は気持ち良いのか悪いのか解からない感触に、ただひたすら身悶えた。
 不意に、僕は下腹部に圧迫感を感じ始めた。
それが尿意である事に僕が気付くのに、そう時間はかからなかった。
集団の前で全裸にされた上にペニスを刺激され、更に放尿してしまうなんて恥かしい事この上ない。
僕はペニスの先端から快感を感じつつ、尿が漏れてしまわないよう必死で堪えた。
 だが、男達は僕がなかなか放尿しないのをじれったく思ったのか、ペニスへの刺激を強めて来る。
「んくっ、んくぅっ」
 尿がペニスを圧迫し、軽く激痛が走る。
それでも僕は、必死に堪えた。
辛くて、涙が溢れる。
男達は僕の尿道を激しく掻き乱し、同時に僕の金玉を刺激し始めた。
「くふぅっ」
 そのあまりの気持ち良さに、僕はとうとう下腹部に込めていた力を解いてしまった。
そして小量の尿がペニスに滴ると、男達は僕のペニスを掴み尿道を指の腹で押した。
「さぁ、皆さん。神からのお慰みですよ!!」
 男が叫ぶと同時に、僕は思い切り尿を噴射させた。
その尿は大きく弧をえがき、集団の上部に降り注ぐ。
僕の尿を被った集団は、有難そうに何度も頭を下げた。

 すっかり落胆した僕は、男と共に本拠地の入り口まで来た。
「貴方の中に神はいます。いつでもいらしてください」
 男はそう言って僕に名刺を渡し、再び地下へと消えて行った。
残された僕は、暫く呆然と立ち尽くしていた。

 貰った名刺には、大きく『尿教』と書かれてあった……――



  • BACK