交際

 進級して二年生になった僕は、後輩が出来たという喜びと先輩としての責任を感じながら新しい学校生活をスタートさせた。
校内ですれ違う一年生達は初々しく、一年前の自分を彷彿とさせる。
その中でも一際僕の目を引いたのは、サッカー部の高宮雅人君だった。
高宮君はスポーツの似合う爽やかな笑顔が特徴で、周りにも自然と人が集まる。
身長だって僕よりも高い。
無邪気な高宮君の笑顔を見ていると、僕も自然と癒されていた。
 そんな高宮君に告白をされたのは、今から二ヶ月ほど前の事。
思いもしなかった告白に戸惑ったけど、僕は彼と付き合うことにした。
彼に憧れていた気持ちが一方的なものじゃなかった事が、純粋に嬉しかった。
 僕達は他の生徒に二人の関係を知られないよう、人が滅多に来ない体育館の裏で会う事にしていた。
入り口の階段に座り、話をしたり勉強を教えたり。
高宮君の無邪気な笑顔が、その時だけは僕だけのものになった。
 そんな純粋な付き合いが続いたある日、僕は高宮君に初めてキスをされた。
僕も子供じゃないから、高宮君と付き合えば、こんな日が来ることは予想していた。
勿論、付き合っている二人が今後するべきであろう事も……。
「美山先輩、エッチな事するの……嫌いですか?」
 唇を離した高宮君が、初々しい照れた顔で僕に尋ねる。
僕は、慌てて首を横に振った。
「高宮君になら、どんな事をされても平気だよ」
 手すら繋がない付き合いを続けていく中で、僕は自然と高宮君とエッチをする事を考えるようになった。
高宮君と出会うまでは、自分が同性に抱かれる事なんて想像も出来なかったのに。
だけど高宮君に犯される自分の姿を想像してみても、全然嫌な気がしない。
それどころか高宮君に犯されている自分を想像をしながら、オナニーをする事もある。
僕は、高宮君と一つになれる事を望んでいた。
 高宮君は再び僕の唇に自分の唇を押し当てると、そのまま顔を離し僕を見た。
その顔は今まで見て来た高宮君とは違って、とても切羽詰った感じがする。
僕はいよいよ高宮君に抱かれる日が来たのだと思った。
二人を取り巻く空気が自然とそんな流れを作る。
このまま押し倒されても、僕は高宮君を拒んだりしない。
高宮君の両手が僕の肩を掴んだとき、僕の鼓動は跳ね上がった。
「美山先輩、俺……」
 少しだけ荒くなった息で高宮君が呟く。
僕は鼓動が高くなったまま、息を呑んだ。
そして高宮君は、予想外の言葉を口にした。
「先輩、俺……普通のエッチじゃ勃たないんです」

 高宮君が重たい用具室のドアを開け、僕がそれに続く。
ドアの近くにあった蛍光灯のスイッチを押すと、室内が明るくなる。
高宮君がドアに鍵を掛けたのを見ながら、僕は少しだけ興奮していた。
 高宮君の意外な告白には僕も驚きを隠せなかった。
だけど僕は、それでも高宮君と一つになりたいと思う。
もう既に僕の身体は高宮君に犯される事を受け入れている。
平常心を保っていても、下半身の疼きは隠せない。
僕は、自分でも驚くほど自分自身がエッチな気分になっている事に気付いていた。
「本当に、いいんですか?」
 高宮君にそう聞かれて、僕は我に返った。
黙ったまま微笑んで頷く。
それを確認した高宮君は、ゆっくりと僕の制服を脱がし始めた。
憧れだった高宮君に学校内で服を脱がされている事実が、僕の興奮を高める。
少しずつ高宮君の手で裸にされていく。
それは思った以上に恥ずかしくて、同時に気持ちいい。
 そうして高宮君の手で裸にされた時、僕は少しだけ勃起していた。
高宮君は軽く息を弾ませて、僕の身体を舐めるように見回す。
それを見ていた僕の気持ちも昂った。
今から、どんな事をするんだろう。
不安と期待で下半身が疼く。
 高宮君は一通り僕の身体を見回すと、用具室の中を見渡した。
そして何かを思い付いたように奥の方に歩いていく。
「美山先輩、これに跨ってください」
 そう言って高宮君が指差したのは、使われなくなった平均台。
僕は息を呑むと、黙ったまま平均台に向った。
平均台に跨り腰を下ろすと、冷たい感触が腿と股間を襲う。
床に膝を着いて座るのが精一杯で、少しでも動くと平均台が股間を刺激する。
その感触に、僕は思わず淡い吐息を漏らした。
「高さは調度みたいですね」
 高宮君はそういうと、再び何かを探す動作を始めた。
暫くして高宮君が手にしたのは、予備として置いてあった縄跳び。
それを見た時、僕は自分がされることの大体の予想が付いた。
同時に、鼓動が速くなる。
「先輩、両手を上げてください」
 高宮君は天井を見上げ何かを確認すると、僕に言った。
内心ドキドキしながら、僕は高宮君の指示に従って両手を上げる。
高宮君は僕の両手を縄跳びで縛ると平均台に上がり、片方を天井の剥き出しになっている鉄筋に縛り付けた。
上から引っ張られ、少しだけ身体が宙に浮く。
それを見ていた高宮君は、僕の曲げられた足に薄い鉄板を置いた。
僕の身体は上からも下からも引っ張られ、完全に身動きが取れない状態になる。
 そんな無防備な僕を見下ろしながら、高宮君が乱暴に自分の制服を脱ぎ捨てた。
初めて見る、高宮君の裸体。
スポーツ少年らしく整った身体は、男の僕から見ても魅力的だった。
僕よりも立派な高宮君のペニスが目に飛び込んだ時、僕の欲望が更に掻き立てられる。
あのペニスで僕の身体が犯されるのかと思うと、自然と身体がゾクゾクした。
「先輩。痛いことはしませんけど、嫌だったら言ってください」
 そう一言前置きすると、高宮君が僕の身体に手を伸ばす。
そして無防備に曝け出された僕の胸を、軽く押し上げた。
「っう」
 気持ちが昂り敏感になった僕の身体は、思った以上に大きな反応を見せた。
それを見ていた高宮君の興奮も加速する。
高宮君は荒れた息で腰を下ろすと、そのまま僕の身体を舐め始めた。
「うあっ」
 突然身体を襲った舌の感触に、僕は堪らず声を上げて身を反らす。
だけど手足が固定されているせいで、思うように身動き出来ない。
その事実が、余計に僕の身体を敏感にさせた。
「ふあ……美山先輩っ」
 すっかり欲望に身を任せた高宮君は、縋り付くように僕の身体を嘗め回す。
脇腹、胸、下腹部、背中。
様々な箇所に舌が容赦なく這いずり回り、僕の頭の中が真っ白になる。
身体を高宮君に舐められているだけなのに、僕は完全に勃起していた。
高宮君は僕の股間には手も触れず、ひたすら別の場所を舐め続ける。


その行為が、更に僕の身を焦がした。
「高宮君ッ、チンチンも舐めてッ!」
 堪らず僕が叫ぶと、高宮君は僕の身体から口を離した。
「まだ駄目です。先輩の事、もっと焦らしたいから」
 そう言って高宮君は平均台に跨り、僕の身体を包むように抱き寄せた。
「んっ」
 高宮君の舌の先が、僕の乳首に触れる。
そのまま高宮君は僕の胸にしゃぶり付いた。
「ああっ」
 高宮君の口の中で、僕の乳首が舌で舐め上げられる。
その感触が、直接股間に響いた。
「んっ……ふ」
 理性が完全に飛んだ高宮君は、夢中で僕の胸に吸い付く。
そして同時に両手で僕のお尻を揉み上げる。
「ああっ、高宮君ッッ」
 僕は身体を弓なりに反らせ、高宮君が齎す快感に酔い痴れた。
「先輩、もぅ……スゲェ好きです……っ」
 高宮君がそう唸るように言ったかと思うと、お尻を鷲掴みにしていた手で僕の肛門を押し広げた。
そして開かれた穴に、強引に指を食い込ませる。
「高宮君ッ……高宮君ッッ」
 内側から溢れる感じた事のない快感は、次第に僕の身体を狂わせた。
 そして僕は、初めてペニスに触れられる事無く、お尻だけで絶頂に達した。



  • BACK