罰ゲーム

 盆休み。
 俺達が生活している寮は帰省陣が相次いで寮を後にし、残留組は俺を含めて四人になった。
「今から麻雀するんだけど、お前、来るだろ?」
 部屋でグラビア雑誌を見ていると、隣の部屋の松岡が顔を覗かせた。
「ああ、今行く」
 俺は雑誌をベッドに放り投げ、松岡と共に部屋を出た。
 松岡の部屋には、残留組の酒井と長壁が既に待機していた。
「それじゃぁ、始めるか」
 メンバーが揃った所で、小さな麻雀テーブルを囲み、いよいよゲームが始まった。
「ああ、そうだ。忘れる所だった」
 松岡がそう呟いて、席を立つ。
他のメンバーは何事かと、松岡に視線を集中させた。
「ジャーン!」
 そんな古典的な効果音を口にし、振り向いた松岡が両手で広げたもの。
それは、安っぽいセーラー服だった。
「松岡ぁ。それ、どうしたんだよ?」
 ケラケラ笑いながら、酒井が尋ねた。
「パーティ用品を売ってる店で買ったんだ」
 そう言って、松岡は手にしていたセーラー服を揺らした。
「罰ゲームにでも使えるかと思ってな」
 松岡はビニール袋の中からセーラー服一式とルーズソックスを取り出し、ベッドに広げた。
「麻雀、負けたヤツがこれを着るって事にしようぜ」
「おおー、いいねぇ」
「っかあー。是が非でも負けられねぇなぁ」
 酒井と長壁は、既にやる気満々だ。
「坂本、いいだろ?」
 押し黙っていた俺に、松岡が声を掛けて来た。
「ああ、いいよ。やってやるさ」
 あまり気が乗らなかったが、俺は罰ゲームのルールをのむ事にした。


「敗者けってーい。敗者は……坂本〜!」
 酒井が叫ぶ。
 俺は、ゲームに負けてしまった。
これでもかと言うほど盛り上がる面々に対し、俺はガクリと肩を落とした。
「んじゃ、坂本。トイレで着替えて来いよ」
 満面の笑みを浮かべ、松岡が俺にセーラー服を手渡した。
俺は渋々それを受け取り、項垂れたままトイレに向う。
「坂本ー、楽しみにしてんぞ〜」
 背後から、酒井の浮かれた声がする。
全く、人事だと思って……。
だが、制服を着るだけの事。
 俺は半ば強制的に開き直り、トイレに入った。

 数分後――
「男にこんなもん着せて、何が楽しいんだか」
 ブツブツと呟きながら、俺はセーラー服姿でトイレを出た。
俺は恥かしさで、顔が火照っていくのを感じた。
こんな姿、家族には絶対見せられない。
「これで、気が済んだだろ?」
 投げ遣りな態度で俺が部屋に戻ると、松岡達は「は〜」とか「へ〜」とか言いながら、マジマジと俺を舐めるような目で見回した。
 素足を晒す事自体は普段ユニホームを着ているから慣れてはいたが、スカートとなれば話は別だ。
妙に開放的で、とてもじゃないが落ち着かない。
 ふと、俺は松岡達がヒソヒソと内緒話をしている事に気付く。
 暫くして、ヤツラは揃って俺を見た。
その言い知れぬ異様な雰囲気に、俺は無意識の内に危険を感じていた。
「坂本さぁ……今のお前、すげぇエロいよ」
 酒井がそう言って、妙な笑みを顔に浮かべる。
「お前、何言って……」
 嫌な予感がした俺は、咄嗟に後退った。
しかし、気が動転した俺は運悪く足を取られ、ベッドに転倒してしまう。
「悪く思うなよ、坂本」
 松岡が言うと同時に、俺はヤツラに取り押さえられた。

 両手をベルトで縛られる。
まだ自由の利く足で抵抗を試みるが、それも虚しく空回りするだけだった。
「行儀の悪い足だなぁ、おい」
 そう言われ、両足も固定されてしまう。
抵抗する術を失った俺は、身をよじり更なる抵抗を続ける。
だがヤツラは、それをものともせず、俺の下着を引き剥がした。
「っひょー。坂本、チンポでけぇー!」
 酒井が叫び、他の二人が嘲笑う。
その行為が、俺の癇に触った。
「テメェら、ふざけんじゃねぇぞ!!」
 俺は怒りに震え、怒鳴り声を上げた。
「こんなヤラシイ格好で、ナニ吠えてんだか」
 耳の近くで、そんな松岡の声がする。
俺は、ぐっと歯を噛み締めた。
「ウルセェからコイツ、口も塞いじまおうぜ?」
 そう酒井の声が聞こえたかと思うと、胸元のタイを解かれる。
そして次の瞬間、俺の口は頑丈に塞がれてしまった。
「坂本ぉ、お互い気持ち良く、溜まってるモン出しちまおうぜぇ」
 酒井が笑いながら言ったが、俺の耳には霞んで聞こえた。


 俺は無理矢理、アナルをペニスで犯された。
容赦のない流動に、俺のアナルが悲鳴を上げる。
苦痛で顔が歪む。
耐え切れず声を出そうにも、塞がれた口からは何も生まれなかった。
 ヤツらは自分がイクと、ザーメンを俺にぶっ掛けた。
生温い感触が、顔や体に広がっていく。
だがそれは、乾いていたアナルを湿らせる結果となった。
その湿りが、穴を犯すペニスの動きを一層激しくさせる。
「っはぁー。坂本、今スゲェ気持ちいい!」
 酒井のペニスが、俺の中を滑るように突き進む。
そして酒井がペニスを突き上げた時、俺の体に異変が起きた。
「っく……ふぅっ!」
 そこで初めて、俺はペニスによって与えられた快感に身悶えた。
「おい、コイツ感じちゃってるぜ」
「男に犯されて善がるなんて、変態なんじゃねぇの?」
「折角喜んでるんだ。もっと喜ばせてやろうぜ」
 そんな侮辱的なヤツらの言葉が、朦朧とする脳裏に響いた。
俺は怒りで頭に血が上り、拳を強く握ろうとした。
だが、敏感になる下半身とは逆に、上半身は思うように動かなかった。

「っは。坂本のヤツ、感じてケツの穴がキツくなってやがる!」
 俺の中を犯していた酒井のペニスが、より一層激しい動きに変わった。
「っく、うっ。ふぅっ……くぅっ」
 酒井が俺を犯すたび、俺の体はベッドを激しく軋ませた。
背中が、シーツに擦れて熱を帯びる。
それでも尚、酒井は狂ったように俺を犯した。
「っあ、イキそうだ……ッ。も、ぅ……出ちまうっ!」
 酒井は感極まった声で叫び、事もあろうに俺の中で絶頂に達した。
「――っう」
 体液によって穴の中に引っ付いたペニスを酒井が強引に引き抜き、俺に苦痛を与えた。
休む間もなく、別のペニスが俺に侵入して来る。
 そんな侮辱を幾度か繰り返された俺は、初めて男にペニスでイカされると言う屈辱を味わった。
 その後も何度か強引にイカされ、三人分の溜まりまくったザーメンを全身に浴びたまま、俺は、気を失った。

「今度はメイド服がいいな」
 そんな酒井の声が、遠くから聞こえた気がした……――



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