標的

 夏休みに入ってすぐ、僕達水泳部のレギュラーは夏の合宿に入った。
先輩達に紛れてレギュラー入りを果たした僕は、最近タイムが伸び悩んでいる。
このままでは夏の大会出場も危ないかもしれない。
僕はそんな危機に晒されながら、この合宿に挑んだ。
 そして合宿一日目の、練習開始時。
プールサイドに整列したレギュラー五人に向い、コーチがこんな事を言った。
「今から泳いでもらう。タイムが一定以上行かない者には、それなりの罰を受けてもらうから気合を入れて取り組むように」
 僕はドキッとした。
コーチは、僕のタイムが伸び悩んでいる事を気にしていた。
だから今回、是が非でも僕にタイムを伸ばして欲しいんだ。
ただでさえプレッシャーを背負っていた僕は、更に追い討ちを掛けられた。
 先輩達が順番にプールに飛び込む。
僕は緊張で足が竦み、スタートを失敗してしまった。
それでも、僕は必死で泳ぎ切った。
だが、プールから上がった僕を見るなり、コーチは渋った顔で言い放った。
「吉井、不合格だ。罰を受けてもらう」
 そしてコーチは僕を更衣室に連れ出した。
そしてコーチが無言で僕に手渡したもの。
それは派手な柄の、女物の水着だった……――

 ――数分後。
 僕はコーチの後に付き、更衣室からプールに戻った。
それまで雑談を交わしていた先輩達が、僕に気付き視線を送る。
そして僕は、コーチと共に先輩達の前に立たされた。
「吉井は今回、不合格だった為に罰を受ける事になった。お前らもタイムを落とすとこうなる。肝に銘じておくように」
 コーチはそう言い、僕の背中を軽く叩く。
その衝撃に押され、僕は一歩、前に踏み出した。
咄嗟に僕は、恥かしくて伏せていた顔を上げる。
先輩達は皆、派手な水着を着せられた僕を見ている。
唖然としていたり、せせら笑ったり、コソコソと内緒話をする先輩もいる。
僕は恥かしさに拍車がかかり、真っ赤になって俯いてしまった。
こんな格好をさせられるなんて、あまりにも惨めだ……。
「各自良いタイムが出せるよう、練習に励むように」
 コーチはそう言い残し、プールを去って行った。

 コーチの姿がプールから消えると、示し合わせたように先輩達が僕を囲った。
「吉井ぃ、似合ってんじゃん」
 そう言って、野田先輩が僕のお尻を触った。
「――あ」
 恥じらいと緊張で身を硬くしていた僕は、思わずそんな声を上げてしまった。
「おいおい。コイツ、こんな格好させられて、その気になってやがるぜ」
 それを嘲笑うように、関口先輩が横から顔を覗かせる。
そして先輩は、からかうように僕の胸を人差し指で突付いた。
「や……っ」
 僕は咄嗟に身をよじり、胸を両手で隠してしまった。
僕のそんな態度が、先輩達の悪戯心に火を点けてしまったらしい。
先輩達はニヤニヤと意地悪な笑いを顔に浮かべて僕を見た。
「お前、本当は女なんじゃねぇの?」
 野田先輩が、僕を覗き見るように言う。
「そうそう。吉井、乳首ピンク色してるしな」
 それに乗るように、関口先輩も口を開いた。
「なぁ、どうなんだよ。吉井ちゃん」
 そう言って、津田先輩が突然後ろから僕に抱き着いて来た。
「チンコは一応ついてるみたいだけど、ニセモノかも知れねーしな」
 今度は島津先輩が僕の前に屈み、僕の股間を指で突付いた。
「はうっ」
 女物の水着を着せられると言う今までにない状況に、僕の体は敏感になっていた。
普段は普通に先輩達の前で水着姿を曝け出せるのに、水着が女物だというだけで、僕は興奮してしまっている。
その事実が恥かしさに輪を掛け、僕は堪らなくなって俯いた。
ぎゅっと瞑った真っ暗な世界に、先輩達の嘲笑う声だけが響く。
僕はもう逃げてしまいたくて、頭の中が真っ白になっていった。

「一度でいいから、やってみたかったんだ」
 そんな風に俯く僕の耳に、津田先輩の声が届く。
 次の瞬間、僕は真後ろにいた津田先輩に強引に水着を下ろされ、上半身を裸にされてしまった。
そのあまりにも突然の出来事に、僕は言葉を忘れ呆然とした。
上半身を裸にされても、普段と同じ状態になっただけで然程恥かしい事じゃない。
その筈なのに、僕は恥らう気持ちでいっぱいになった。
「おい、見ろよ。コイツのピンク色の乳首、ピンピンだ!」
 せせら笑いを浮かべ、関口先輩が僕の乳首を指で摘む。
「あうっ」
 突然走った痛みに、僕は苦痛の声を上げた。
「おい、関口。もっと優しくしてやれよ。そんなんだから女にモテねーんだよ」
 そう言って、野田先輩が僕の左側の乳首に手を伸ばす。
そして優しく、指先で乳首を転がした。
「っあ」
 その指先の動きに、僕は思わず感じてしまった。
乳首の先端を指で優しく練り回され、僕の体に言い知れぬ感覚が走る。
更に追い討ちを掛けるように、関口先輩が右側の乳首を弄び出した。
「っあ、やだ……先輩」
 その感覚に酔い痴れ、僕の体から力が抜けていく。
先輩達の仕打ちに、敏感になってしまった僕の股間が膨張する。
いくら水着が伸縮すると言っても、膨張したチンチンを押さえる事は出来ない。
勃起した僕のチンチンは、水着の下で窮屈そうに卑猥な形を作った。
「吉井っちゃん、チンコもビンビン。今カイホーしてやるからな」
 それに気付いた島津先輩が、水着を強引に伸ばして僕のチンチンを外に出す。
続いて先輩は無防備に曝け出された僕のチンチンの先を、指で撫で始めた。
「あぁっ」
 それに感じてしまった僕は、ビクッと体を震わせ身悶えた。
「吉井っちゃんのチンコ、ヌルヌルして来た」
 島津先輩が笑いながら言う。
濡れたチンチンの先は、一層滑らかに先輩の指を滑らせる。
「っは……んんっ」
 それが気持ち良くて、僕は身をよじって喘いだ。


欲望に溺れ始めた僕は、このまま先輩がチンチンを扱いてイカせてくれるのを待った。
しかし先輩達は落ちていたビニール紐で僕の両手を縛ると、そのまま僕から離れ始める。
「吉井。俺達の練習が終わるまで、動くんじゃねーぞ」
「ツラくなったら叫べ。『先輩のチンポで犯して〜』ってな!」
 先輩達はそう言い残し、笑いながらプールに飛び込んで行く。
 放置されてしまった僕は独り、やり場のない性欲に身を焦がしていた。
動くなと言われても、勃起したチンチンは容赦なく疼く。
だけど、先輩に犯されるのは嫌だった。
女物の水着を着させられただけでも屈辱なのに、これ以上女扱いされたくない。
そんな気持ちとは裏腹に、身体の疼きは治まる気配が無かった。
 内股になった足を動かすと、金玉が擦れて感じてしまう。
チンチンの先から精液が流れ、僕の太腿を伝った。
足がガクガクして、上手く立てない。
僕は先輩に弄ばれ、お尻を犯されて善がる自分の姿を何時の間にか想像していた。
そして次の瞬間、僕は男としてのプライドを捨て、必死で懇願していた。
「先輩、もう我慢出来ないっ! 先輩のチンチンでイカせてくださいっ!」
 限界を超えた僕の悲痛の叫びがプールサイドに響き渡る。
それはとても恥かしい事だけど、性欲に支配された僕にはどうでも良かった。
ただ、早く快感を味わいたい。
勃起してしまったチンチンから、精子を開放したい。
そんな情欲に駆られ、頭の中は淫らな妄想で埋め尽くされていた。



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