境界線

「隆也。お前のクラス、学園祭何に決まった?」
 学校からの帰宅途中、俺は親友である隆也に尋ねた。
だが隆也はまるで触れて欲しくなかったかのように、気まずそうな顔をした。
「何でもいいじゃん。そんな事より、敦。当日俺のクラスに来るんじゃねーぞ」
 そう言って、隆也は歩調を速くした。

 そして学園祭当日。
 隆也に来るなと言われていたものの、気になった俺は隆也のクラスの前まで来ていた。
クラスの前には人だかりが出来ており、ざわついている。
不思議に思った俺は、人だかりの隙間から中の様子を窺った。
 次の瞬間俺の目に飛び込んで来たのは、ウエイトレスの格好をした隆也だった。
「ったく。来るなって言ったじゃねーかよ」
 休憩時、隆也は不機嫌そうに腕を組み、座っていた俺を見下げた。
「――ご、ごめん」
 俺は口先で謝ったものの、初めて見る隆也の女装姿に見惚れていた。
「敦には……見られたくなかったんだけどな」
 そう言って隆也は窓の方を向き、空を仰いだ。
見えそうで見えない隆也のヒップに興奮した俺は、静かに腰を上げた。
 俺は無言のまま、隆也の背後に立った。
そしてそのまま隆也のスカートに手を入れ、太腿を撫でた。
「――あ、敦!?」
 俺の行動に驚いた隆也は、背後にいる俺を見ようと試みる。
だが俺は、それを遮るように体を隆也に密着させた。
「ごめん、隆也。俺……――」
 俺が耳元で囁くように声を出すと、隆也は掛かった息がくすぐったかったのか、ビクッとして肩を窄めた。
その様子が、俺に更なる興奮を促した。
俺は本能の赴くままに隆也のスカートを捲くし上げ、下着の上から隆也の股間を鷲掴む。
隆也は体を鈍く反応させただけで、拒否する様子もない。
その代わり、隆也の体は小刻みに震えていた。
 俺は股間に手を添えたまま、隆也の顔を覗き見た。
隆也は眉を顰め、今にも泣きそうな顔で目を潤ませていた。
「……ごめん」
 その様子に罪悪感を感じた俺は、咄嗟に隆也の股間から手を放そうとする。
だが、隆也の手が俺の腕を掴む。
そしてゆっくりと、俺の手は隆也の股間に戻された。
驚いた俺は、もう一度隆也を見た。
「こんな状態で止めんじゃねーよ、馬鹿」
 隆也は真っ直ぐ前に視線を向けたまま、恥じらった顔で呟いた。
その様子を目の当たりにした俺は、体中が愛しさで溢れる。
「好きだよ……隆也」
 感極まった俺は隆也の股間に当てていた手を、下着の中に忍ばせた。
そして隆也の股間を、直接まさぐった。
「――っく」
 感じてしまった隆也は、歯を噛み締め耐えている。
俺は右手で隆也の下着を太腿まで下ろす。
そして同時に隆也の首筋に舌を這わせながら、右手の指でペニスの先を弄んだ。
「っや、やめろ……敦!」
 今までにない感触に、隆也は声を洩らした。
だがそれは、俺の興奮を一層高める結果になる。
「隆也……隆也……」
 俺はうわ言のように呟くと、隆也の首筋に吸い付いた。
「ツッ」
 突然訪れた痛みに、隆也は顔を歪める。
だが俺は、構う事なく隆也の首筋、そして耳に舌を這わせた。
「――っは」
 隆也は次第に、封じていた口を開き始めた。
隆也のペニスは勃起して硬くなり、先端から卑猥な液体を排出させている。
「っあぁ、アツシ……」
 隆也は身をよじり、艶かしい声で俺の名を呼んだ。
その声が、俺を刺激する。
俺は勃起して濡れたペニスを、隆也のケツに押し付けた。

「隆也、こっち向け」
 俺は強引に隆也の肩を掴み、方向を転換させた。
そしてその場で跪き、隆也のペニスを口で求めた。


「――っあ。やだ……敦っ」
 突然ペニスに走った快感に、隆也は身悶えた。
俺は口で隆也のペニスを貪り、同時に右手で自分のペニスを扱く。
残された左手は自然と隆也のケツを揉んでいた。
「くっ、うぅっ……敦……イク……イク――ッ!!」
 俺の激しいフェラに、隆也は絶頂に達した。
同時に大量の精液が、俺の顔に降り注ぐ。
俺は、隆也をイカせた高揚感に浸っていた。

 その後、隆也は自分から俺のペニスを口に含み、俺も遅れて絶頂に達した。
この日を境に俺達は、親友と言うカテゴリーから一歩踏み出してしまった。
それが俺達にとって、隆也にとって良い事だったのか……。
俺は今でも判断出来ないでいる……――



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