術師「顔射」


「――っん、うっ」
 赤いソファーに身を任せ、歯を食い縛る。
全身が熱を帯び、手足の先が熱くなっているのを感じた。
その根源である股間を貪る伊月の姿が目に入る。
伊月は両手と舌を器用に使いこなし、懸命に奉仕していく。
その際どい舌使いが、余計に身体の熱を上げた。
「っあ、もう……イキそっ」
 限界にまで硬直したペニスから、体液が滴り落ちる。
伊月は舌を這わせて体液を舐め上げると、不敵な笑みを浮かべた。
「まだ駄目だよ。これからなんだから」
 伊月の指がペニスの先端を弄び、それが更なる快楽を呼ぶ。
軽く声を漏らし顔を歪める様子を見て、伊月は満足そうに微笑んだ。
そして再び、いきり立ったペニスに舌を這わせ始めた。
「くっ……うぅっ」
 伊月の舌が齎す快感は、身体の感覚を麻痺させていく。
無意識に握られた指が、ソファーに爪痕を残した。
それでも伊月は、遠慮なくペニスを責め立てる。
側面に舌を這わせ、時には口全体で吸い付く。
右手の指で先端を摘み、左手は睾丸を責めた。
その容赦ない伊月の責めに、頭の中が真っ白になっていく。
軽い眩暈で視界が揺らぐ。
堪らず、ぐっと目を閉じる。
暗闇の中で、敏感になった下半身だけが感覚を許していた。
「もう、駄目っ。本当に……イキそうっ」
 内側から溢れるものを感じ、声を絞るように出す。
その声に、伊月は一層激しくペニスを責めた。
「っは……もう、出る……出るッ――!」
 下腹部に力を入れると、内側から快楽が込み上げる。
同時に先端から、精液がほとばしった。
 開放された精液が、目を伏せた伊月の顔に散る。
その様子を、ぼんやりとした意識の中で見ていた。
自分の出した精液が、伊月の紅い唇を伝う。
愛しい人を自分の精液で汚した高揚感が、淡い眩暈を引き起こす。
それは身体の疲れと共に、暫く余韻を残した。
 伊月は顔に付いた精液を指で絡め取ると、ゆっくりと指を開く。
解き放たれたばかりのそれは、卑猥な糸を引いていた。
「沢山出したね。気持ち良かったの?」
 伊月は妖艶な笑みを浮かべると、手に付いた精液に舌を這わせた。
その淫らな姿は、更なる欲望を掻き立てるのに充分だった――




  • BACK