目覚め

 僕の名前は、田辺優。
僕は今、クラスメイトの芳田君に虐められている。
だが普通の虐めと違うのは、被害者側が自主的に虐めを受けていると言う事だ。
僕は自分の意思で、芳田君から性的虐めを受けている。
その切っ掛けになったのは、僕がこの高校に入学して一ヶ月くらい経った頃……。

「おい、田辺。ちょっと手伝ってくれよ」
 その日の放課後、僕は同じクラスになった芳田君に初めて声を掛けられた。
僕は自分で言うのも情けない話だけど、とても気が弱く、その性格の影響もあって友達が一人も出来なかった。
だがら僕は、その時芳田君が僕に話し掛けてくれた事が純粋に嬉しかった。
「うん、僕で良ければ……」
 僕は何の疑いもなく、芳田君の後を着いて行った。
 芳田君に連れられて着いたのは、音楽室だった。
防音効果のある重たいドアを開け、芳田君と僕は音楽室の中に入る。
「芳田君。僕は、何を手伝えばいいの?」
 僕は芳田君に尋ねた。
だが芳田君は何も答えず窓際に行き、黒い厚手のカーテンを閉め始めた。
カーテンが窓全部を覆うと、部屋の中が薄暗くなる。
僕は少し、不安になった。
 と、その時。
「おい、芳田ぁ。例のヤツ、用意してきたぜ」
 そう言って、入口から男子生徒が二人、入って来た。
僕は驚いて、彼らの方を見る。
すると彼らは僕に気が付き、妙な笑みを顔に浮かべた。
「へぇ。コイツが田辺?」
 少し髪の長い方が、芳田君に尋ねた。
「そうだ。田辺、コイツらは近藤と山瀬」
 そう紹介され、僕は気恥ずかしそうに頭を下げた。
 近藤君と山瀬君、それに芳田君が僕を囲む。
三人は僕と違って気が強そうで、僕は少しだけ怖くなった。
「えっと……僕は、何をすればいいの?」
 不敵な笑みを浮かべる芳田君に、僕はもう一度尋ねた。
すると、芳田君は突然こんな事を言い出した。
「そうだな。取り敢えず……服を脱いでもらおうか?」

 突然そんな事を言われ、僕はどうしていいのか解からなかった。
その時、既に僕は気付いていた。
僕は、彼らに虐められる為に連れて来られたのだと。
「芳田が脱げって言ってんじゃん。田辺ちゃんよぉ」
 山瀬君が、そう言って僕ににじり寄る。
僕は怖くて足が震えた。
「こいつ、びびっちゃってるぜ」
 近藤君が意地悪な笑みを顔に浮かべる。
僕は自分が泣きそうな顔をしている事に気付いた。
「素直に脱ぐのと、殴られんの、どっちがいい?」
 芳田君はそう言って、僕の髪を引っ張った。
「ごめんなさい、脱ぎます。脱ぐから……殴らないで」
 僕は怖くて、この場を今すぐにでも逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。
だけど、僕には逃げ出す勇気がない。
逃げた所で相手は三人だ。
すぐに掴まって、酷い目に合う事は目に見えている。
 僕は震える手で、ゆっくりと制服を脱ぎ始めた。

 暫くして、僕は下着一枚という情けない姿になる。
恥かしくて、情けなくて、本当に逃げてしまいたかった。
「田辺ちゃん、おパンツも脱ぐんだよ?」
 下半身を曝け出すのが嫌で躊躇っている僕に、山瀬君が言った。
その口調とは裏腹に凄んでいる山瀬君が怖くて、僕は慌てて下着を脱いだ。
「っはあ、見ろよ。こいつ、チンポちいせぇぞ」
 曝け出された僕のチンチンを見て、近藤君が笑いながら言った。
僕は恥かしさで顔が熱くなるのを感じた。
「ほんと、ちいせぇな。しかも仮性包茎だぜ」
 芳田君はそう言って、僕の前で腰を下ろした。
そして無防備に曝け出された僕のチンチンを、珍しい物でも見るように眺める。
「っやだ。見ないで」
 僕は恥かしさのあまり、自分のチンチンを両手で隠した。
「ッコラ。誰が隠していいって言ったよ?」
 山瀬君がそう言って、僕の太腿を足で蹴る。
「ご、ごめんなさいっ」
 僕は反射的に謝り、チンチンを隠していた手をどけた。
恥かしい。
恥かしくて、死にそうだ。
 だけど僕は恥かしさや情けなさと同じように、自分の中から湧き出てくる別の感情の存在に気付いていた。
「それじゃ、田辺ちゃん。お着替えしましょうねぇ」
 山瀬君が子供をあやすような柔らかい口調でそう言うと、さっきまで持っていた紙袋の中を漁り始めた。
そして乱暴に何かを掴み、僕の前に広げた。
 それは、女の子用の下着だった。

「ほらよ、田辺。これを履け」
 山瀬君から手渡された下着を芳田君が僕に投げ付けた。
僕は反射的にそれを受け取った物の、どうしていいのか解からなかった。
女の子用の下着を履かされるなんて、いくら何でも屈辱だ。
 僕はとうとう我慢できず、その場で泣いてしまった。
恥かしくて、情けなくて、どうしようもない。
だけど、そんな事で吉田君達が許してくれるわけでもない。
芳田君は僕の傍まで来ると、思い切り僕を殴った。
「あうっ」
 左頬に痛みが走ったと同時に、僕は床に転がった。
「泣いてんじゃねぇよ。履けって言ってんだよ。次は金玉潰すぞ?」
 芳田君は倒れた僕のお尻をつま先でグリグリ踏み付けると、怒ったように声を上げた。
「田辺ちゃん、芳田を怒らせない方がいいよ。こいつ中房ん時、センコウ半殺しにしたからね」
 苦笑いを浮かべ、冗談のように山瀬君が言った。
だけど、勿論僕には冗談として聞こえない。
 僕は震える体を少しずつ起こした。
「ごめんなさい。ちゃんと、履きます」
 そう呟き、僕は手にしていた女の子用の下着を履いた。
「ひゃっはぁー。こいつ、本当に履きやがったぜ!?」
 パンツを履いた僕を見て、近藤君がお腹を抱えて笑い出した。
僕は、恥かしくて仕方なかった。
そんな僕に追い討ちを掛けるように、山瀬君が付け足した。
「おっと、忘れる所だった。田辺ちゃん、オッパイにブラジャーしような?」
 僕は抵抗する事もせず、差し出されたブラジャーを着けた。

「あれー? 田辺ちゃんのチンポ、ピンピンしちゃってるよ?」
 山瀬君が僕の股間を指差した時、僕は自分が勃起している事に気付いた。
僕の股間はパンツを押し上げ、卑猥な形を作っていた。
僕はそれを目の当たりにし、自分が今、恐怖や恥かしさよりも見られている事に快感を得ている事の方が大きいという事実を知った。
「マジかよ。こいつ変態なんじゃねぇ?」
 近藤君が笑いと軽蔑の入り混じった声で叫ぶ。
その言葉に、僕はドキッとした。
 そうだ、僕は……変態だ。
それを認めてしまうのに、時間はかからなかった。
「僕は、変態です。だから、もっと虐めてくださいっ」
 僕ははっきりと、そう口にしていた。

 僕にとって幸いだったのは、芳田君達が僕を軽蔑し、虐める事をやめてしまわなかった事だ。
僕はパンツに穴を開けられ、勃起したチンチンをその穴から露出させられた。
そしてすっかり濡れてしまった僕のチンチンを、芳田君達は汚い言葉を浴びせながら上履きのまま踏みつけてくれた。


僕は初めての経験に余計に興奮し、三人が見守る中、絶頂に達してしまったのだ。
 自分のチンチンの先から出た精液を見た時、僕はイった快楽とは別の快楽を感じていた。

「おーい、田辺ちゃん。今日は何して遊ぼうか?」
 そして今日もまた、僕は自主的に虐められに行く。
――今日はどんな酷い事をしてくれるんだろう。
そんな事を考え、疼く下半身を隠しながら……――



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