『大人の為のお題』より【柔肌】
**LOVERS**
Happy Birthday〜君の誕生日〜
大きなケーキにロウソクを立てて火を灯す。
ロウソクの灯りで浮き上がる君の笑顔がいつもより柔らかく見えるのは、僕の思い過ごしだろうか。
大きく息を吸い込んで、ふうっとロウソクを吹き消していく君。
誕生日をこうして一緒に迎えるようになったのは何度目だろう。
また、新しい君の一年が始まる。
今日この日に君が生を受けた事を神様に感謝しよう。
今日という日をまた一緒に迎えられた事をとても幸せに思うよ。
僕に向けるその柔らかな微笑みは、僕にとって極上の媚薬。
鈴の鳴るように笑う君の声が、僕の心の扉を開く鍵。
僕を抱きしめる為に伸ばすその腕は、僕の心を絡めとる甘い鎖。
君が微笑むたびに抱きしめずにはいられなくなる僕の気持ちを、君は知っているの?
何気ない仕草で僕の瞳を覗きこむ度に、唇を重ねたくなる気持ちを抑えるのは大変なんだよ。
無邪気に笑いながらケーキを切り分けようとナイフを持つ君。
可愛い仕草を見つめる僕は、ケーキより甘くて柔らかい唇に心を奪われる。
今、ここで抱きしめてキスをしたら、君はケーキを食べたいのに…って、拗ねてしまうんだろうなぁ。
いいよ。君の誕生日だもの。
今だけはキスよりケーキが優先だね。
君を背中から柔らかく抱きしめて、ナイフを持つ華奢な手に僕の手を添え、そっと上から握り締める。
ゆっくりとナイフをケーキに沈め、ふたりでそれを切り分けていくと、君は僕を振り返るように見上げてくる。
その表情が可愛くて、薔薇色の頬に、瞼に、僕は何度もキスを落としてしまうんだ。
くすぐったいと幸せそうに笑う君。
その微笑を僕がずっと護っていきたいよ。
ねぇ、君は一つ大事な事を忘れているよね?
僕からの誕生日のプレゼントだよ。
まだ渡していないって事、すっかり忘れているみたいだ。
君を驚かせたいから、もう少しそのまま忘れていてくれるかな?
今夜は僕の愛の全てを注いで、その
柔肌に永遠に消えない刻印をつけよう。
深く僕を刻みつけられた君の心は、何も考えられなくなるくらい僕でいっぱいになる。
夢に誘(いざな)われる頃には、もう僕の愛が無くては一秒も生きていけないと悟っているだろう。
明日の朝、僕の腕の中でまどろむ君は、いつものように窓から射し込む太陽の光に左手を翳しながら、眩しさに目を細める。
そして君は見つけるだろう。
窓から射し込む朝の光を受け、左の薬指に輝く愛の証しを…。
思いがけない誕生プレゼントに、君はどんな顔をするだろう?
驚いて飛び起きるのだろうか?
信じられなくて呆然とするだろうか?
それとも…これは夢だと決め付けて、もう一度眠ってしまうだろうか?
あぁ、朝が楽しみだね…。
今日のこの日君が生まれてきた事を神様に感謝せずにはいられない。
君は僕と出逢う為にこの世に生を受けたのだから。
君は今日という日に神様から遣わされた、僕だけの天使なんだ。
君が生まれてきたこの日が、僕達の新しい記念日になる。
誕生日おめでとう。
僕の為に生まれてきてくれて、ありがとう
++ Fin ++
この作品は旧サイトの頃、お誕生日にお祝いメールをご希望される読者様に、ギフトとしてお贈りしていた作品です。
現在はお祝いを受け付けていないため、そのまま放置されていたのを思い出し、お題を組み込み再編集してUPしました。
女性の方はお好きなタレントさんなどに甘く囁かれるイメージで読んで頂きますと、よりお楽しみいただけるかと思います(笑)。
男性の方は理想の女性に囁くイメージで…って、こんな砂を吐くような台詞…恥ずかしくて言えない…ですかねぇ?( ̄▽ ̄;)アハハッ
2009/02/28
朝美音柊花
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