月夜のホタルURL請求お礼 Love Step 特別番外編

大人の為のお題より【LOVE SICK】

** 聖良の独り言 **




美形で頭が良くて、超有名な彼を持つと色々苦労をする。


あたし、蓮見聖良の彼、佐々木龍也先輩は、真に完璧と言う言葉が服を着て歩いているようなひと。
クールビューティの異名を持つ彼は誰が見てもハッと息を飲むほどの美形なの。

紫がかった黒髪はサラサラのストレート。冷たく見える切れ長の目には闇夜を思わせる吸い込まれそうに深い漆黒の瞳。

彼は全国模試で常にトップの成績を誇る我が校始まって以来の秀才でもある。

更に運動部から助っ人要請がくるほどのスポーツ万能で、出た試合は全て優勝に導くというジンクスをもっているくらい。


時々彼が人間かどうか疑わしく思う事もあるくらいなのよ。

だって、彼は絶対に人並み以上の体力と持久力と集中力があると思うもの。

…内緒だけど、おかげであたしはかなり大変な目にあっている。

え?それは何だって?

ん〜、まあ、人並み以上の体力と持久力と集中力にお付き合いするには、それなりの覚悟と努力が必要なんだって事…かなぁ?

彼といるのはとても幸せで嬉しいんだけど、その…彼と過ごす週末はそれなりの覚悟をしていなくちゃならなくて…。

愛され過ぎて辛いなんて…贅沢すぎて言えないよね?

…っていうか、そんな風に思っているってバレたら、彼がどんな行動に出るか想像するのも怖くて絶対に言えないかも…。


えっと、話は逸れてしまったけれど、そんなスーパーマンみたいな素敵な彼を持っていると、普通の女の子のあたしとしては、色々と苦労したりするっていう事なの。

たとえば…物を隠されたり、嫌味を言われたり、呼び出しをされたり…こう見えても結構毎日が忙しい。

龍也先輩曰く、呼び出しになんか応じなくても良いと言う事だけど、彼女たちの言い分をちゃんと聞いてあげることであたしと龍也先輩の事を認めてもらいたいというのがあたしの気持ち。

そんなあたしを龍也先輩はいつも無防備だと言う。

危なっかしくて放って置けないって言うの。

あたしはね、基本的に世の中に悪い人っていないと思っているの。

どんな悪い人にも、犯罪を犯した人にも必ずそうなった理由があって、好きで悪い事をしたい人なんていないと思うのよ。

ほら、生まれたばかりの頃は誰の心も一点の曇りもない、真っ白だった筈でしょう?

それが変わってしまったのは育った環境やその人を変えた出来事のせいなのだと思う。

だからね、どんなに意地悪をされても、嫌味をいわれても、龍也先輩を純粋に想ってくれる気持ちの表れなのだと思うと許せてしまう自分がいるの。

龍也先輩は『究極のお人よし』とか『国宝級の純度100%ピュア人間』とか言うんだけど…そんなことない…と思う…んだけど?

まあ、お人よしなのは事実だけどね?

でもそんなあたしを龍也先輩はしっかり見てくれて、いつだってちゃんと助けてくれる。

たとえば、あたしが呼び出しを受けると必ず何処かから現れて護ってくれるの。

こんな所も凄いなって思うんだけど…。

あたしに何かした相手の女の人は必ず龍也先輩にとっても冷たい視線で見つめられ、かわいそうなくらい固まってしまう。

龍也先輩その顔マジですっっっっごく怖いんですけど?

…鉄壁のポーカーフェイスは何処へ行ったんですか?

綺麗な顔で凄まれると、女の子たちは固まって泣きそうな顔になる。

あたしの事を心配してくれるのは嬉しいけど、彼女たちが余りにも可哀想だと思ってしまうのは…やっぱりあたしがお人よしなのかなあ?



最近つくづく思うのは龍也先輩がそのクールなイメージとまったく正反対の情熱を秘めているって言う事。


彼は意外に嫉妬深い。


あたしが暁先輩や響先輩と話しているだけで、その日は絶対に龍也先輩の部屋から帰してもらえない。

え…?どうしてかって?

……っと、その辺は…言わなくても分かるでしょう?…まぁ、ご想像にお任せします。

え〜コホン…でね、話を元に戻すけど、龍也先輩は見かけほどクールなんかじゃないの。

彼はあたしが絡むとプチ☆って切れやすくなるらしくて…。

この間もね、駅前のカフェで待ち合わせしたときに、数人の男の子に道を聞かれたの。
場所を説明している途中に先輩が来たんだけど、その時の龍也先輩ったらね、いきなりその人たちをつめた〜い目で睨みつけて追い払ってしまったのよ。

「あいつら聖良をナンパしていたのに気付かなかったのか?」

…って、凄く怒られちゃった。

ただ、道を聞かれただけなのに、あんなに怒らなくって良いのにって思ったけれど、『何もされなかった』と言うと、ホッとしたように笑って強く抱きしめられたの。

その笑顔がまた、凄く綺麗で…ドキン!と鼓動が早くなってしまって…。

たったそれだけの事で、怒られてモヤモヤしていた気持ちも何処かへ吹っ飛んで行ってしまうあたしって、本当に龍也先輩の笑顔に弱いと思う。

彼の笑顔が見れるならどんな事でもしてあげたくなるし、何でも頑張れちゃう気がするのよね。

彼の笑顔には、あたしを虜にして、パワーを倍増させる何かがあると思うの。

でもね、この時はその笑顔がクセモノだったわ。

ポウッと一瞬見惚れた隙に、ギュッと抱かれた腕に力が入ったと思うと、その場ですごーく長いキスをされてしまったの。

ジタバタしたって、どうやっても逃げられやしないって言うのは、もう分かっているから無駄な抵抗はしなかったけど、すごーく恥ずかしかったんだから。

でもすぐに甘い甘いキスに溶け出して、受け入れてしまう自分がいて、抵抗どころかもっと欲しくなってしまうって、まるで病気ね。

こういうのって、LOVE SICKっていうのかしら?

龍也先輩があんなにキス魔で、嫉妬深いなんて知っている人…いないだろうなあ。

だって全然イメージじゃないんだもん。


彼はあたしの前でだけ、本当の姿を見せてくれるんだって思うと凄く嬉しいけれどね。



美形で頭が良くて、超有名な彼を持つと、色々嫌味を言われたりやっかまれたりと、かなり苦労をする。

その上彼が、嫉妬深くて、キス魔で、さわり魔で、抱きつき魔だったら、体力とか、気力とか、筋肉痛とか、いろんな意味で更に苦労する。

おまけに、無愛想で、冷たくて、威圧的で、意地悪で嫌味な人だと、色々誤解されたりして、更に更に苦労させられる。

本当にフォローしても無駄って言うくらい、あたし以外には冷たいんだから。



だけどね、彼があたしだけに見せてくれる笑顔はやっぱり他の人には見せたくない。

本当は笑顔が綺麗で、優しくて、少し寂しがり屋で、ワガママで、とても甘えん坊なのはあたしだけが知っているあなた。

そんなあなたは誰にも見せたくないから…。

だから、他の人の前ではやっぱり無表情で、冷たい意地悪なあなたでいて欲しいって思ってしまうあたしって…ワガママかしら?


嫉妬深くて、キス魔で、さわり魔で、抱きつき魔でも、それはあたし限定だから…。


素直にその腕の中に抱かれていたいと思うの。



……抱き締められるだけですまなくて、後悔する事もよくあるけどね(苦笑)




ねぇ…龍也先輩、あたしね




頭が良くて美形で、嫉妬深くて、愛情もメチャクチャ深い…。




そんなあなたが誰よりも大好きよ…。






+++Fin+++


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月夜のホタルのURLを請求下さった方にのみ公開していたお礼小説でしたが、サイトを統合しましたので、龍也の誕生日お祝いストーリーとして、全年齢対応公開できるよう手を加えて、お題としてアップしました。
どこが変わったかは、オリジナルをご存知の方だけが知っています(笑)
それは月夜のホタルURL請求の特典って事で。あ、いや、そんなに大して変わっていないのですけどね?
相変わらずの激甘で、胸焼けしそうです。聖良にこんな風に愛されたら、龍也もヘロヘロになりそうですね(笑)
龍也お誕生日おめでとう。
これからちょっと辛い時期に入るけど、きっと幸せにしてあげるから頑張って乗り切ってね?

朝美音柊花
2007/04/08

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『大人の為のお題』より【LOVE SICK】 お提配布元 : 「女流管理人鏈接集」