「・・・・ほんとに大丈夫ね。うん、おべんとももったよね?うん。じゃあいってらっしゃい」
何度も何度も確認を取る。毎日の日課のようなものだ。
鬱陶しいとは思わない。
4年前再婚で新婚だった父を、交通事故で亡くしたからだ。

憧れだったヨウコ先生がウチにいるのは嬉しい。でもなんだかコレじゃいけない気もする。
黙った俺。先生はじーっと俺の顔を見る。・・・・不安に思ってるのが伝わった?

「ねね、早くかえってきてー。わたしねー、スネークの無線できるようになったよー!」

・・・・ゲームの対戦のお誘い。
気がぬけたところ、先生はぱんぱん!と俺の肩を叩いた。
「いってらっしゃい!今日の罰ゲームは炭酸一気飲みね!ふっふふー」
ううう、かえりたいけどかえりたくないー!

親父の葬式とき、先生はとても気丈だった
若くして結婚したもんだから、親戚にいろいろいわれたりもした。

だけど、先生は俺と暮らすことを選んだのだ。

このままでいいのか、よくないのか、最近すごく悩む。今更だけど、俺は
先生のことがとても好きなんだと思う。

「ぴっざっぴっざっびーるー♪ あっ!負けたあ・・・・・ぷっはー!」
週末に深夜まで対戦。飽きることなく。俺は正直飽きた。飽きまくった。
「む、飲みがたらないぞー!?あははははははははー!」
でも、あのおっぱいが・・・や、これは恋心・・・やましくないやましくないから
別に猫背なってばれないようになんてしてない!くそっ・・・ヤツめ揺れてやがる・・・!

「ふーーー」一息つくヨウコ先生。もう顔は赤い。好きなわりに弱いんだよなあ・・・
「ありがとうね我侭きいてもらって・・・・なんか、ほら、彼女とか、ね?いるんでしょ・・・へへへ」
何時もは出ない言葉にドキリとする。や、いないよ彼女は。そういうと伏し目がちになる先生。

「そっかあ・・・・。ヒロちゃんは、いい男だと思うよ?私が言うのもなんだけど・・・ふふふ。」
とろんとした顔でそんなこというもんだし、そりゃチョット俺も酔ってないっていえば嘘だし
その場の雰囲気ってやつに流されたんだと思う。俺にはヨウコ先生がいればいいよ なんて口から出てしまった。

・・・・・空気がとまる。ひやっとして酔いが一発でさめた。俺、なにいってんだ?いっていいことと悪いことがあるだろう

「・・・・・うぅ・・・・ヒロちゃんのおばかさん・・・・。私だって・・・・」


・・・・・えっ?

「ごめんね、わるいお母さんになっちゃうね私はヒロちゃんだけいたらいいや。だから、もう、一緒にいることなんて出来ないでしょ?」

そういう先生にむかって、俺は覚悟を決めていった。先生が好きだと。昔から。綺麗で、優しくて、イイ匂いがして。
先生が俺のオヤジと結婚したのはそれはもうショックだったけど、でも先生と一緒にいれるし先生とのつながりができたのも、やっぱり嬉しかったんだ。
親戚とかさ、そんなのもうどうだっていいよ。親父ときとかも、みんな仲いいようで俺の世話という厄介払いできたとホッとしてたじゃん。
気にしないでいいよ、母親になっても、俺は先生が大好きなんだからさ。別に結婚なんてできなくてもいいんだ。先生がいたら。

そういうと

ぐぐっと、泣きそうな顔して、先生が俺に笑って
「ありがとう。誰の代わりじゃなくて、ヒロちゃん、貴方が好き」 といったんだ。

そっと近づいてみる。先生がじっと俺を見る。いいのか悪いのか判らず、息をするのもままならず、つい
ごくりと喉を鳴らしてしまう。やばい!恥ずかしい!あわてて誤魔化さなきゃとイロイロ考えていると

唇に、やわらかい感覚。 先生の顔が近づいたとおもったら、さっと離れる。軽く照れたように視線をはずした後
再度俺をじっと見てくる。

・・・・・キス、したんだ。

そう思ったらもういてもたってもいられなくなる、だけど、経験不足・・・・からだろう(と、思いたい)やっぱり動けないでいると、優しく
「ね、今度は、ちゃんとした、キス、しようか」
といって、再度唇を合わせてくる・・・・。

やわらかく滑る舌が俺の口内に入ってくると、脳みそが痺れたようになって、負けないように舌を絡ませる。
キスって、こんなすごかったんだ・・・・
数秒だったのかもしれないし、何分もたってたのかもしれない。唇を離した瞬間の寂しさではっとする。
俺・・・・次、ほんとに、どうしたらいいんだろ・・・・・。

でも、このままじゃいけないと思う…きっと…
そう覚悟を決めた俺は、そっと彼女の胸に触れる
大人なんだもんな、きっとこういうことだろう… そう思うと
自分の欲望のいいわけを感じるずるさと、
先生の経験が見えるようで 胸がぎゅうと痛くなった。

先生は抵抗はしない

確信と、期待と、絶望
そしてものすごい緊張感… 俺は先生を…

「ごめんね」
先生が急に口を開いてびっくりした
「ここから先は…ごめんね」
…そうか、そうだよなあ… ガックリした。心に黒い霧が広がる感覚
しばらく沈黙したあと、また先生がポツリ

「…笑わないでね?私は…この年で…経験ないの…」

びっくりした。そうか、そうなのか…奥手なオヤジに少し感謝と罪悪感
そして広がる喜び
ああ、なんて俺は単純なんだろう… そうか、そうなのか。