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お姉ちゃんみたいに、しっかりしてないからな。
どんくさいなー・・・私。
また飲み物、牛乳しか残ってなかった・・・。


牛乳は・・・・

・・・・いっぱいのんでも、お姉ちゃんみたいに、胸おおきくならなかったし、背ばっかりのびたから・・・

・・・だから嫌い。

放課後の部室。センセイに気に入られてなんとなくはいった生物部・・・。

はっきりしないのも私のわるいところだなあ・・・って思う。

でも、ココには先輩がいるの。
お姉ちゃんの彼氏なたっちゃんおにいちゃんも優しいけど、もっと違う。優しい優しい、先輩。

・・・背が高いのは、嫌われるかな・・・
私はなんとなく、いつもよりすこし背中が猫背になったきがする。

なかなか話すきっかけもなく・・・先輩はもくもくと何かしている。ジャマするのもヤダし・・・・
なんで、積極的に話かけれないんだろう・・・

金魚の「メザシ」をじ〜っと見る・・・
はぁ・・・ため息ばっかり。
「清水さん」
私はびっくりして飛び上がる。せ、せんぱいっ!
「清水さんよく魚みてるよね?すきなの?」
え、あ・・・は、はい・・・。 (私が好きなのは・・・ううう、いえないいえない、いったらはずかしくてしんじゃう)
「じゃあさ、今度・・・そうだね、来月の頭くらいに、水族館とかいかない?」
え、ええーーっ! これって・・・これってまさか!
「生物部のみんなで」
・・・・ですよね・・・。あは・・・ははは・・・いきます・・・。

「清水さん、ええと・・・OBの先輩で、魚詳しくて、で、今度の水族館同行するって。」
そういって先輩に呼ばれて挨拶にいく。知らない男の人はチョッピリ怖い。
上から下までみられて、なんともいえない気持ちになる。
「へえ、清水さんっていうんだ・・・。でっけえなあ。ね?身長何センチ?」
でっかいって言葉が心臓に刺さる。私は縮こまる。
「あ・・・はぃ・・・170・・・くらいです・・・」
「うはっ!じゃあ渡辺、おまえと同じじゃん。おまえアウトだな!」
えっ!先輩・・・私、アウトなんですか・・・?
「ま、でも俺ほら180あんじゃん?俺的にはセーフだからさ、よろしくね!清水ちゃん!」
差し出された手・・・おずおずと握手すると汗でぬるっとした・・・き、きもちわるいよぅ・・・
先輩が、OBの先輩のこと準備室に誘う。
すれ違いざま、「清水さん、先輩いつもこうだから・・・ごめんね、気にしないでね」といった。

・・・・うううう・・・・どうしよう・・・私はあふれそうな涙をぐぐっとこらえた。

・・・・アウト、なのかなあ・・・。背、高い女・・・。

水族館参加者のミーティング・・・先輩まだきてないなあ。
・・・あ、OBの先輩いるや・・・う、やだな・・離れて座ろう。・・・・・・うぁ・・・・なんかこっちきたぁ・・・・

「清水ちゃんいなくて寂しかったよー。」
そういいつつ隣に座られる。はぁ、と返事をして目を合わせないでおく。
しばらくすると、OBの先輩はニヤニヤしながら見ている事に気づく。・・・なんだろ?
「ねえ、清水ちゃん俺にブラみせてんのはわざと?」
・・・?・・・・!!!猫背ですわってたからか、シャツの隙間からブラがみえてたみたいで
私はあわてて背筋を伸ばす。う、や、ヤダ・・・・ちょっと泣きそうになってきた。

「そいえばさ、清水ちゃんのお姉さんってあの清水さんでしょ?俺3年とき1年だったんだ。
背ちっちぇえくせに胸でっかくてさ・・・君ら全然似てないよね。胸はお姉さんの勝ち?」

・・・・・・私の心に刺さる。背、胸、お姉ちゃんと比べられる事・・・似てないのは、私が一番知っている。

土曜、水族館にいく日。でも外はあいにくの雨。先輩に私服を見られるのを思うと、ドキドキする。
OBの先輩に見つからないように、こっそり・・・結構人がいるから、上手く紛れられるよね。
中に入ると潮の香り。薄暗い中にゆったりと泳ぐ大きなお魚・・・。来てよかったなって思う。
じーっと、ゆったり動く魚をみてたら・・・せ、せ、先輩・・・!?
しばらく二人で水槽を眺める・・・で、でも気が気じゃなくて、もう顔真っ赤で、なにみても緊張して。
先輩がゆっくりと魚の説明をしてくれる。嬉しい!私は必死でソレを覚えようとする。

「清水さん熱心で、話してて楽しくなるなあ」
そういわれて、私は心が跳ね上がる。・・・・心臓が口からでてしまいそう。・・・ずっとこのままで時とまっちゃえばいいのに。

「・・・・清水ちゃん、なんで渡辺と一緒?」・・・・後ろから低い怒った声がした。

「あっ!」 グイっと強く腕をつかまれ、強引にどこかへ連れて行かれる。怖い!あえて避けていたのがバレたのだろうか。私の頭の中は真っ白になる。
OBの先輩は奥のトイレ脇で薄暗いところについたとたん、小声だけれど、怒っているとわかる声で「おまえ、他の男となんでいるんだよ」といった。
私は何を言われているのか全然検討がつかなかった。
「俺に見せるためにさ、スカートなんだろ?今日。なのにどっかすぐ行きやがって、なんだよ?バカにしてんのか?」
どうしよう!なんで!?不安と恐怖で、涙がこぼれる。なんでこんなことになったの・・・・・。そうだ。
私が何もいえないから。私がなにも断らなかったから。私がはっきり嫌だっていえなかったからそうなったんだ。
「おまえの姉ちゃんは男好きしそうな体してんのにな。おまえのほうがそうやって誘う女なのか・・・その気なら俺もわかった」
肩をつかまれる。痛さに私は恐怖する。男の人には力ではかなわない。知っていたけど、それがこんなに恐ろしいなんて。

熱い息が首にかかる・・・・助けて!怖い!

「先輩、なにしてんですか」・・・・この声は・・・・。肩にかかった力がパッと離れた。
「あ、いや、清水ちゃんが大事な話があるって・・・・あっ、あーー・・・・ごめん、清水ちゃんの好意が受け取れないや。」
そういってOBの先輩は立ち去ろうとする。私はなにも言葉がでないままへたり込む。

だって、先輩に見られたことが、何よりもショックで。
それが物凄く悲しくて。

「清水さん・・・・そうなの?」
返事がでない私のほうを、ほっとした顔でチラっとみながら、俺さきいくわ、とOBの先輩はいってしまった。
「清水さん、ほら・・・・大丈夫?立って」 そういって先輩は手を差し伸べる。
更に溢れる涙といっしょに言葉がでた。
「渡辺先輩じゃないと、嫌です、私・・・・」 はっとした。先輩は難しい顔をして黙ってしまった。

おわった、と思った。

次の日、私は学校を休んだ。
お母さんにはすこし熱っぽいっていって、部屋で布団からでなかった。
後悔と、恐怖と。あとほんの少し部活から逃げた罪悪感
外は雨で、さらに気を滅入らせる。

・・・気づいたら寝てしまってたみたいで、時計をみたら夕方になっていた。
授業も終わってるだろうな。・・・・先輩、私が休みって知ったらどう思うかな・・・・
また嫌な方向に考えそうになったとき、ドアをコンコンとノックされた。

「舞、おねーちゃんだけど、はいっていい?アイスのお土産あるよ。」

お姉ちゃんが私のベッドに座る。「はい、舞のぶん」そういってアイスをもらう。
ミルクの味が口いっぱいに広がる。すこしホッとした気持ちになる。
お姉ちゃんは何も言わない。何があったのかも聞かない。逆にそれがありがたいし、嬉しい。

「・・・・お姉ちゃんはいいな」つい口からそんな言葉がでてしまった。
「ん?なんで?」「だって、女の子っぽいし、強いし、スタイルいいし・・・」そう。まるで私と
正反対のお姉ちゃん。「何いってんのよ。私は背低いの嫌だし、このデカイ胸も嫌だし、
きつい顔もね、あんまり好きじゃないよ。私は舞がうらやましく感じるけど?」という。
・・・・多分納得いかない顔をしていたんだと思う。お姉ちゃんがふとおもいついたように
「ね、久しぶりに一緒にお風呂はいらない?」といった。

じゅんばんこで体をあらって、湯船につかる。
・・・・・やっぱりお姉ちゃんスタイルいいな・・・。そんなことぼんやり考えてると急に
「ね、舞好きな人でもできたの?」と聞かれた。「あ、うあ・・・っえっと・・・」
「・・・あのね、私のときね、大変だっんだよ」「・・・・?え、お姉ちゃんとたっちゃんおにいちゃん
小さい頃から両思いじゃないの?」
そういうと、大笑いされた。「あははは!ぜんっぜん!近藤君私の気持ち気づいてなかったよ!」
ざぱっと、泡を流す。
「それに、背低いキツイ女嫌いじゃないかなっておもってた。・・・実際はわからないけど、でもそんなもんだよ。」
・・・・・・。お姉ちゃん、ありがとう。

明日すぐなんてむりかもしれないけど・・・・・。でも・・・・。
すこしだけ、先輩と話をちゃんとしてみたい、っておもった。

もう一日だけ学校をずる休みして、覚悟をきめた。

 

 

 

大丈夫

 

 

 

今日は、背筋伸ばして部室に入れる。
そう自分に暗示をかけた。

入ってすぐ、先輩の姿が見えた。
あとは誰もいなかった。
私と気づいた先輩は、一瞬すごくびっくりしたみたい。

「清水さん」
「えっと、先輩。お話、ちょっといいですか?・・・・まず、こないだはごめんなさい」

そして改めていおう。

 

 

 「好きです。先輩」

 

 

清水さんの憂鬱 終