いいよ、うん、わかった。じゃあね!

そういって先輩はまたひとつ仕事を請け負う
後輩もバカにしてんのかしらないけど、なんでも
宜しくお願いします、って猫なで声をだして
甘えてくる。
文化祭まであとすこし。
自分の仕事も残ってるのに・・・・。
「先輩はホントお人よしなんだから」
私は彼女にまかされた書類を奪い、半分を彼女にわたす。
そういうと、彼女は書類をうけとって少しこまったような顔をする。

ふたりで机の上の書類を、ホッチキスでとめる。少しの沈黙の後彼女が言う。
「そお?わかんないけど。いいじゃんたのしーんだから。」
はぁ・・・ポジティブ。
「うーん・・・いいように仕事押し付けられてますよ?」
ちょっときつかったかな。
でも先輩は、にっこりわらってこういった
「よくわかんないけど、私は平気だよ。それよりキミが手伝ってくれるのうれしいけど、申し訳ないよー」

ギュウって胸が締め付けられる。
私のことを考えてくれたことがうれしい。そしてやっぱりお人よし。でもそこが好きなんだ。

 

 

 

 

「申し訳ない!?もう!そういうことばっかりいって!」
私はそういって先輩をぎゅっと抱きしめる
自分ではない柔らかな感覚。ふわりとした二の腕。そして彼女の暖かさ。
「あはは!なになに?やだな、キミそれ苦しいって!何の技〜!?んもう〜!」
そういって笑うけど、決してこの人は嫌がらないの。
ソレは私だから?
それとも、誰でもなの?
「先輩ってばちょっととろい子なんだから!なでなでしてやるー!」
ぐっと気持ちをこらえて、明るい楽しい雰囲気をつくる。
マジメな風がふいたらすぐに砕けてこわれちゃいそうなきがして、私は怖くてできない。
「あはっ!ありがとー♪うれしいよ!でもこれじゃ仕事できないよー!」
ふわり
シャンプーとも、コロンとも違う
彼女の体から立ち込める、甘い甘い匂い。
それはまるで金木犀の花のようで、ふわっと立ち込めてすぐに消えてしまう。
「先輩いい匂い〜・・・・。うぅっ!かわいいかわいい・・・」
ちょっと涙が出そうになる
切ない切ない、秋の香り。
ココ最近、私は先輩と一緒にお昼を食べる。
文化祭の準備もあるしね、って先輩はいう。
正直うれしい。でも、クラスの友達のこともあるだろうになって思う。
「・・・・・」
「めろーんーぱーんー♪」
自作の鼻歌を歌いながらガサガサと袋を開ける。昨日もたしかメロンパンと・・・・
「先輩、いっつもメロンパン。もしくは納豆巻き」
「だって好きなんだもん〜」
全然気にしない様子で、にこにこと笑顔でパンをほおばる。本日2個目・・・・
「だからその胸になるんですか?メロンパンに秘密?」
「か、かんけいないよ!それはっ!」
あせって真っ赤になって返事してくる。その様子がおかしくて私は笑う

このまま幸せがずっと続けばいいのに。

 

 

 

昼休み、放課後。最近私と先輩はいつも一緒だ。
当たり前になるくらいに。私は先輩の隣にいる。
でも近頃先輩がたまに悲しそうな顔をする・・・・。ふとときたま見せるその表情は
とても私を不安にさせる。
「顔色悪くないですか?先輩、元気ない感じ」
ちょっと聞いてみた。遠まわしに。さりげなく・・・・
先輩はすこしはっとして、にっこりと笑いかえす。
「え、そかな・・・えへへ。そんなことないんだけど」
「なんかあったら言うんですよ?先輩何にも言わないんだもん!・・・信用ないですかあ?私〜」
そういって少しすねた顔をする。先輩が何か隠している。踏み入っちゃいけないかもしれない
冗談に摩り替える・・・・。ずるいな。怖いのかな・・・聞くのが。
「んもぅ。ちがうよぅ。えへ、ゴメンね〜。」
そういって「はい」とガムをわけてくれる。
仲良しの瞬間。口に含むとミントの香りと甘い味が広がる・・・。

 

 

 

 

 

 

「・・・・あの3年の元部長さ、最近部長と一緒にいてばっかだと思わない?」
「だよねー・・・クラスからハブられてんじゃない?」
「いい人だとおもってたけどね、実際は違うのかもー」

・・・・一年生の噂話。最近はこればっかり。先輩は今日はまだ来ていない・・・。
聞いていてイライラする。
あんたらに先輩がなにしたってゆうのよ。いっつもやっかいごともって来てたの忘れたの?
イライラ・・・チリチリ・・・心が焦げていく感覚が付きまとう。

「・・・・あんたたち、マジメにやりなさい。」
静かに、そして強く。私はこいつらに言葉をかける。
だってもうじき先輩が来る時間・・・・。
先輩は、私が守るんだ・・・。

「あ、はーい!、 ・・・部長気づいたかな、平気よね?あぶないあぶない〜」
ばかじゃないの?と心で悪態をつく。ああ・・・

・・・・先輩・・・うわさ、本当なのですか・・・・?

 


 

今日は少し担任に用事があって部室いくのが遅くなってしまった・・・
先輩、きてるかな・・・

・・・・部室の中から、声がする。先輩だ・・・!
「・・・あれ?今日は部長ちゃんいない?」
「マダ来てませんヨー・・・元部長、受験とかどうですぅ?」
「あ、あはは・・・うん、ぼちぼちだよぅ」
あいつらと話てるのかな・・・。ちょっと嫉妬。
「へ〜・・・今頃3年ってみんな部活引退してるからー、先輩相当頭イイんですね〜・・・」
「・・・う?そんなことないけどな・・・」

・・・・あれ?

妙な雲行きに私は部室の前で立ち止まってしまった。
「部活、いま真剣なんですよね〜・・・部長とかも毎日すごい厳しいんですよー」

・・・。
ちょっと・・・
「へ・・・へぇ・・・ごめんねえ、ジャマしちゃって〜・・・な、なんか飲みものとか、おつかいでもしてこよっか・・・?」
「えー・・・悪いですよー・・・うーん、じゃあお願いしちゃおっかなぁ」
「えへ・・・・」
・・・ふざけるな!!!
私は心底怒りを感じて、部室の扉に手をかけた。

 

ガラ!と美術室のドアをあける。
一斉に視線が私にむかう。
少ししまったという顔をしている後輩のところまであるき、彼女をの肩を思い切り突き飛ばした。
「あ・・・部長・・・・ッ!・・・キャア!」
「!?」
おびえた顔。バカな子。
「・・・・・」私は無言で彼女らを見下ろす・・・。しばらく沈黙が続いたあとふと我に返ったかのように
後輩が抗議しだした。
「ヒドイ、なにするんですか!」
わーわーぎゃーぎゃー鬱陶しい
「あんた達ウザイ。先輩になにいってんのさ」
「ぅう、いいよぅ。それに言われたこと間違ってないし・・・」
そういって先輩は後輩達をかばう・・・。・・・・不安そうな目をして・・・。
「で、ですよね?元部長〜〜っ。優しい〜!」
「・・・・それ以上しゃべったら本気で殴るよ。」
調子にのった後輩に怒鳴ると、彼女らは静かになった。
「・・・・・」「ね・・・帰ろう?部長なんかマジギレしてるし・・・」「・・・・う、うん・・・」
そそくさと帰る後輩達。しばらくして静かになったあと、そっと先輩が口を開いた。
「・・・・・・・あぅう・・・。な、なんか・・・その・・・ご、ごめん・・・」
静かになった美術室は、私と先輩の二人きりで。
痛いほどの沈黙と、先輩の視線。

「・・・・先輩」
耐え切れず先に口を開く。
「・・・・・先輩、なんかあったんですか?」


先輩はうつむく。そして小さく
「・・・・ごめん・・・・」
といった。

見ると、先輩の目からぼろぼろと涙があふれてくる。
あの先輩が泣くなんて・・・・。

私は・・・
私は、先輩がいつもしてくれるみたいに、先輩に抱きついた。
場違いかもしれない
でも、ナゼだかソレが一番いい方法に思えたのだ。

「あのね、クラスで話す人がいないっていうのは、本当。
ちょっとね、えへへ・・・生意気なんだって。美術部で、ダサイくせに、告白されたから。
で、それを断ったから。
好きな人、いちゃだめなのかな?断っちゃだめなのかな?
みんなね、私を無視するの。ひどいこととかはされてないよ、うん。それに、平気なの。
好きな人がいるって、強いね。だから平気なの。」

先輩の好きな人。私は胸がズキリ、と痛んだ。

怖かった。好きな人、これでオワリ。私の想いは壊れ、砕け、消える
だから先輩に好きな人は、とは聞けなかった。
ききたくかなった。
「あのね」

聞きたくない

「ありがとう。キミがいてくれたから、私は・・・・」
そういって涙をこぼす。
「ゴメンネ、気持ちわるいかもしれない。私はキミが好き・・・うん。好きなんだと思う。
でも、もう迷惑かけれないからね。はっきりいっとくね。好き。ありがとう。」


私はただ呆然とした。
想いが

想いが、重なっている事実に。

私もいおう。この想いを、あなたに伝えなくては。
「私も、先輩が好きですよ。ちゃんと。一番、心から・・・気持ち、受け取ってもいいですか?」

びっくりした顔。更に先輩はぼろぼろと大粒の涙を流す。

「どうしよう、こんな幸せなことって、ないよ〜・・・!」
私もそうだな、と思った。

二人で一緒に帰った。
私はもう疑うことも、臆することも、隠すこともしない。
この、大事な気持ちがあることが嬉しかった

あなたが好き
いてくれて、ありがとう。

初夏って感じの暑さ。待ち合わせ10分前。
先輩が走ってくるのが見える。
「あっ!あれぇ・・・!?」
「ふふーん。残念でした。先輩が来る時間前に来るのが私のポリシーなのです」
「うぅ・・・。何よぅそれ・・・。」
木陰に入ると涼しい。私たちは合えなかった1週間分、話をする。

「もうじき夏休みだよーっ・・・佳代ちゃん、どっかいこうよ」
「・・・先輩、私受験生・・・夏休みなんてないも同然・・・」
「うぁっ!じゃ、じゃあじゃあ私が勉強みてあげる!!!!」

おせっかいというか、なんというか・・・・。でも、大好きなメロンパンと納豆巻きを頬張る先輩を毎日見る夏休み・・・
悪くないかもしれないな。
この夏、私は先輩ずっと一緒にいるだろう。
今からわくわくしてとまらない。高校最後の夏休みは大好きな人となんて最高だなと思った。

 

「えへへ、楽しみだね、佳代ちゃん!大好きだよ〜!」