前へ |
感想 1回目 |
![]()
3日昼の部を5列目13番で観劇。
舞台がぐるぐる回ったり、場面転換の間に講談師さんが出てきたり、途中でしらけることがなくてよかった。ライトの使い方や、セットが現代の時代劇っぽいと思った。(歌舞伎も時代劇の一種とは思うけど。) また、講談師さんが話すのでわかりやすく、長唄もわかりやすくなっていた。
序幕、横山図書(猿弥丈)が妻の浮気疑惑を信じてしまい、妖刀で妻をばっさり。それが短慮であったとわかるや、尋ねてきた印南十内(薪車丈)をばっさり。十内に不義密通の罪をきせる。
数馬は大川友右衛門(染五郎丈)とぶつかり、二人はここで一目惚れ。
数馬が使える細川家の中間・袖助となった友右衛門は、またも「お袖に汚れが…」と数馬の袖に恋歌を書いた短冊を忍ばせる。が、それを読んだ後に落としてしまい、あざみ(春猿丈)短冊を拾われてしまう。おいおい、無用心だな、数馬。女三宮並みの失態だぞ。
さらに、数馬は物陰でこっそり文を書き、友右衛門に投げつける。
文を読み、「今宵忍んで来い…と!」と興奮気味の友右衛門。そんな大声出したらバレるがな。現に、あざみにその様子を見られていた。
数馬の寝所に偲んだ友右衛門が「ドキドキする」というと、客席から笑いが… ここは『蔦模様血染御書』通りなんだけどね。後ろから友右衛門に抱きすくめられた数馬は一度拒むと見せかけて、部屋の明かりを消しに行く。なんだか女の子みたいだな。その気持ち、わからなくもないけれど。
愛之助丈はちょこんと座っていて、仕草が色っぽかった。友右衛門の方がウブで、数馬から積極的にせまっているように見えた。そういえば、お小姓ってことは、数馬は殿様ともそういう関係なんだろうか? だから手馴れてるのか?? 数馬が友右衛門を襖の向こうへと誘い、ラブシーンは影絵で見せる。着物を脱いで脱がされて、キスをするところまで。
その後、数馬は親の敵がいることを打ち明け、二人は互いの腕を切り、血をすすって義兄弟の契りを結ぶ。数馬の髪が少しほつれて色っぽい。友右衛門に血をすすられるときの表情もまた色っぽかった。友右衛門は普通だったな。まあ、友右衛門に「あぁん〜」な顔されてもイヤだけどな。
二人の様子を見ていたあざみは「惚れた男を男に寝取られるなんて…!」と嫉妬メラメラ状態。そりゃあねえ、あざみがあれだけ綺麗なのに、男同士でくっつかれたら立場ないよねぇ。春猿丈が嫉妬メラメラ演技をするたびに、客席から笑いが… やってることはとんでもないんだけど、なぜか憎めなくて可愛いんだよなぁ。
中から友右衛門が出てきて、殿激怒。奥方(吉弥丈)がとりなすも効果なく、さあお手打ちに、という時に、友右衛門が「斬るなら私だけに!」と数馬をかばい、数馬は「いえ、わたくしを!」と友右衛門をかばう。2人が敵討ちのために義兄弟の契りを結んだと知った殿は、友右衛門を武士として取り立て、数馬に剣術修行を許す。…殿、よく許したな。仇討ちマニアなのか?(土屋主税なんかもその類だよな。)
「キーッ、悔しい!」という表情で去っていくあざみ。春猿丈だと嫌味がなくて可愛いな。
![]() ↑休憩中に撮った舞台 歌舞伎体操やハンカチ王子ネタで笑いをとる。 そして、友右衛門の妹婿が図書だということがここでわかる。数馬は前髪はあるけれど、ここからポニーテールのような髪型になる。 急いで細川邸へ向かう二人は客席をかけていく。回るセットの階段を上がっては下り、花道へと去っていく。階段を踏み外したりしないのかと余計な心配をしてしまった。 偶然にも、図書が細川家へ使いに来ており、いよいよ敵討ち。敵討ちがしっかりと盛り込んであるところは『蔦模様血染御書』よりも面白くて好き。(追記:『蔦模様血染御書』にも大詰で敵討ちの場面がある。)
数馬が好きで好きでたまらないあざみは、図書に「屋敷に火をつけて逃げればいいわ。その代わり、憎き恋敵の友右衛門を亡き者にして。数馬様は助けて」と、とんでもないことを申し出る。わかる、わかるんだよ、その気持ち。でも、相手はホモ(しかも、ネコ)なんだから、どう考えても望みはないじゃん。諦めなよ〜。
いざ、トドメ!というところへ殿がやってきて、殿の検分の元、2人は図書にトドメを刺す。あざみは引っ立てられるが、お情けをかけてもらえそうな感じ。殿、いい人だな。
殿への恩返しとばかり、自らが御朱印を取りに行くという友右衛門。一緒に行くという数馬を押し止め、一人炎の中へ。 舞台上では本物の火が噴き出したり、煙が噴き出したりしている。子供の頃にやったファミコンゲームの『グーニーズ』を思い出した。上から柱が落ちてきたり、階段から滑り落ちそうになったりして、すごい迫力。USJの炎のアトラクションを思い出した。(あそこまですごくはなかったけど。) 舞台だとわかっているのに、本気で「染五郎さんが焼けちゃうー!」と思いながら見ていた。腹を切って御朱印を守る場面では、笑いをとってグロテスクさを感じさせないようにしていた。
場面は変わり、殿や数馬の元に友右衛門の焼死体が運ばれてくる。遺体に取りすがって泣く数馬。
最後、呆然と歩く数馬のところへ、上からするするとかきつばたが糸でつるされ下りてくる。この演出はどうなのよ? 道端に咲かせておくことはできなかったのか? 黒子さん使った方が良さそうだぞ。長唄が切なそうでいい感じなのだ。
いやはや、面白かった。
![]()
|
感想 2回目 |
18日昼の部を1階8列19番で観劇。 劇場外にスチール写真が飾られていた。舞台写真として売ってほしいと思った。
いろいろと演出が変わっていた気がするが、前回のことをはっきりと覚えていないので、ちょっと自信がない。
…いきなり、最後から書いてしまった。
図書(猿弥丈)に殺された十内(薪車丈)が蹴られて転がるところで、前回はいよ(芝のぶ丈)と同じ格好で行儀よく並んで転がっていたが、今回はぐてっという感じだった。そんなどうでも良さそうなところで、「あ、微妙に違うんだ」と思った。
見初めの場→文を偲ばせるところ。
お屋敷での再会→濡れ場。 あざみ(春猿丈)が「男に寝取られ…!」とメラメラする場面では、客席から笑いが起きていた。春猿丈ファンの友達も笑っていた。嫉妬に燃える女性は恐ろしいはずなのに、どこかカラッとしてるから笑えるのかな。『源氏物語』で言うと、雲井雁みたいな嫉妬の仕方だと思う。あざみが六条御息所みたいに物の怪になるタイプの女性だったら、この物語はオカルトになっていただろう。
殿の御前。
休憩明け。
客席を走る演出も変わっていた。花道→客席通路→舞台→階段を上がってセットの2階→階段を下りる→花道を走り去る、だったのが、花道側客席通路→上手側客席通路→舞台→階段を上がってセットの2階→数馬がこける→友右衛門が助け起こして暗転、となっていた。
火事場は何度観ても面白い。(2回しか観てないけど。) ラスト、友達が「カーテンコールのある歌舞伎なんて初めて見た」と言っていた。私は平成若衆歌舞伎と若伎会で見たぞ。カーテンコールは上方歌舞伎復興のための新サービスなのか? ブラックな話の後、カーテンコールで出演者の笑顔を見るとほっとするというのはあるかも。(「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」はそうだった。) まあ、話の内容によるかな。「荒川の佐吉」の後でカーテン・コールは見たくないしな。
2回目を見ても、やっぱり面白かった。 ![]() ↑火の粉
|
感想 3回目 |
26日(千穐楽)を三階右2番で観劇。
自分の中で新記録達成。
今回は三階席右バルコニーで観劇。
![]() ↑眺めはこんな感じ。
花道はよく見えた。
三階に座って気付いたこと。(というより、三階に座るまで気付かなかったこと。)
千穐楽スペシャル。
その2
その3
![]() ↑花びら
最後は染五郎丈のご挨拶と大阪締め。 千穐楽のせいか、大向こうさんもガンガン声をかけていた。ここぞという時に大きな声で「松嶋屋ぁっ!!」とかかると嬉しい。(誰も声をかけない時なんて、「私がオッサンだったらガンガン声かけるのに〜!」と思うのだ。) 多くの役者さんに満遍なくかかっていたように思う。
とりとめもなく思ったこと。
殿が二人を成敗しようとする場面。 友右衛門が数馬と別れて火事場に向かうとき、「必ず堅固で…」と言ってたように聞こえたのだが、その時点ですでに友右衛門は死を覚悟していたのかなぁ。
さてさて、常々「当たり役が見つかったらいつ死んでもいい」と公言している愛之助丈だが、今回の数馬が当たり役になるかも。少なくとも、私は愛之助丈以外の数馬は観たくないぞ。もちろん、染五郎丈以外の友右衛門も観たくない。再演するなら、ぜひとも同じキャストでよろしく。(メインキャストはもちろん、紫之助君&愉快なパパンまで同キャストでね。)
非常に楽しんだ公演だったのだが、拍手をしすぎたせいか(?)、アクセサリーの一部が行方不明になった。会社を休んで芝居に行った報いか?(号泣) しゃがみこんで席の下を探して、立ち上がると、あら不思議。緞帳が上がっていて、そこに役者さん達が… どうやら記念撮影をするっぽい。覗き見するわけにもいかないので、慌てて外に出た。総合カウンターで、出てきたら連絡をもらえるようにお願いして帰ってきた。お願い、出てきて!! そんなこんなで、ちょっと魂が抜けかかっているので、記憶違い勘違いがあってもご容赦を。(おかしな部分があったらご指摘ください。)
おまけ。
![]()
|
だらだらと感想は続きます。→つれづれなるまま「染模様〜」&「蔦模様〜」 |