年 (平成年)

十月花形歌舞伎 松竹座

10月2日(月)〜26日(木)

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感想 1回目

3日昼の部を5列目13番で観劇。

舞台がぐるぐる回ったり、場面転換の間に講談師さんが出てきたり、途中でしらけることがなくてよかった。ライトの使い方や、セットが現代の時代劇っぽいと思った。(歌舞伎も時代劇の一種とは思うけど。) また、講談師さんが話すのでわかりやすく、長唄もわかりやすくなっていた。
引っ込んで出てくるたびにお色直しをしていて、綺麗な衣装がたくさん見られて、それも楽しかった。衣装全種類を舞台写真で出してほしい。 2階建てのセットを見て、大河ドラマ『新選組!』の池田屋を思い出したなぁ。

序幕、横山図書(猿弥丈)が妻の浮気疑惑を信じてしまい、妖刀で妻をばっさり。それが短慮であったとわかるや、尋ねてきた印南十内(薪車丈)をばっさり。十内に不義密通の罪をきせる。
十年の時が流れ…
浅草寺にやってきた印南数馬(愛之助丈)。なぜか舞台上からかきつばたが糸でつるされ下りてくる。それを手にして、ふらふらする数馬。このときの衣装が花模様でとても綺麗だった。もちろん、愛之助丈も綺麗だった。

数馬は大川友右衛門(染五郎丈)とぶつかり、二人はここで一目惚れ。
その後、数馬と母・お民(吉弥丈)とのやりとりなどがあり、またも数日の時が流れる。
数馬に会いたさに浅草寺に通うストーカーのような友右衛門。ようやく数馬と会えた友右衛門は「お袖に汚れが…」と数馬の袖に恋文を忍ばせる。こういう場面があるから、チラシに袖をつかんでいる写真が使われたのかな。
その後、友右衛門の妹と図書の結婚話があったりして、細川屋敷に場面が移る。

数馬が使える細川家の中間・袖助となった友右衛門は、またも「お袖に汚れが…」と数馬の袖に恋歌を書いた短冊を忍ばせる。が、それを読んだ後に落としてしまい、あざみ(春猿丈)短冊を拾われてしまう。おいおい、無用心だな、数馬。女三宮並みの失態だぞ。 さらに、数馬は物陰でこっそり文を書き、友右衛門に投げつける。 文を読み、「今宵忍んで来い…と!」と興奮気味の友右衛門。そんな大声出したらバレるがな。現に、あざみにその様子を見られていた。

数馬の寝所に偲んだ友右衛門が「ドキドキする」というと、客席から笑いが… ここは『蔦模様血染御書』通りなんだけどね。後ろから友右衛門に抱きすくめられた数馬は一度拒むと見せかけて、部屋の明かりを消しに行く。なんだか女の子みたいだな。その気持ち、わからなくもないけれど。 愛之助丈はちょこんと座っていて、仕草が色っぽかった。友右衛門の方がウブで、数馬から積極的にせまっているように見えた。そういえば、お小姓ってことは、数馬は殿様ともそういう関係なんだろうか? だから手馴れてるのか?? 数馬が友右衛門を襖の向こうへと誘い、ラブシーンは影絵で見せる。着物を脱いで脱がされて、キスをするところまで。

その後、数馬は親の敵がいることを打ち明け、二人は互いの腕を切り、血をすすって義兄弟の契りを結ぶ。数馬の髪が少しほつれて色っぽい。友右衛門に血をすすられるときの表情もまた色っぽかった。友右衛門は普通だったな。まあ、友右衛門に「あぁん〜」な顔されてもイヤだけどな。

二人の様子を見ていたあざみは「惚れた男を男に寝取られるなんて…!」と嫉妬メラメラ状態。そりゃあねえ、あざみがあれだけ綺麗なのに、男同士でくっつかれたら立場ないよねぇ。春猿丈が嫉妬メラメラ演技をするたびに、客席から笑いが… やってることはとんでもないんだけど、なぜか憎めなくて可愛いんだよなぁ。
あざみの密告により、数馬の部屋へ使いの者がやってくる。数馬は長持に友右衛門を隠し、鍵をかける。
数馬は殿(段治郎丈)の御前に引っ立てられ、友右衛門の隠れている長持も運ばれてくる。「その長持を開けろ」と言われ、数馬絶体絶命の大ピンチ。…鍵さえかけなければ、友右衛門は逃げられたんじゃないのか?

中から友右衛門が出てきて、殿激怒。奥方(吉弥丈)がとりなすも効果なく、さあお手打ちに、という時に、友右衛門が「斬るなら私だけに!」と数馬をかばい、数馬は「いえ、わたくしを!」と友右衛門をかばう。2人が敵討ちのために義兄弟の契りを結んだと知った殿は、友右衛門を武士として取り立て、数馬に剣術修行を許す。…殿、よく許したな。仇討ちマニアなのか?(土屋主税なんかもその類だよな。) 「キーッ、悔しい!」という表情で去っていくあざみ。春猿丈だと嫌味がなくて可愛いな。


↑休憩中に撮った舞台

休憩明け。
歌舞伎体操やハンカチ王子ネタで笑いをとる。
そして、友右衛門の妹婿が図書だということがここでわかる。数馬は前髪はあるけれど、ここからポニーテールのような髪型になる。
急いで細川邸へ向かう二人は客席をかけていく。回るセットの階段を上がっては下り、花道へと去っていく。階段を踏み外したりしないのかと余計な心配をしてしまった。
偶然にも、図書が細川家へ使いに来ており、いよいよ敵討ち。敵討ちがしっかりと盛り込んであるところは『蔦模様血染御書』よりも面白くて好き。(追記:『蔦模様血染御書』にも大詰で敵討ちの場面がある。)

数馬が好きで好きでたまらないあざみは、図書に「屋敷に火をつけて逃げればいいわ。その代わり、憎き恋敵の友右衛門を亡き者にして。数馬様は助けて」と、とんでもないことを申し出る。わかる、わかるんだよ、その気持ち。でも、相手はホモ(しかも、ネコ)なんだから、どう考えても望みはないじゃん。諦めなよ〜。
図書はあざみの言う通り、屋敷に火を放つ。
しかし、あざみのいうことを聞く図書ではなく、数馬と斬り合う。あざみも短刀で数馬に助太刀しようとする。あざみ、強いな。
数馬は善戦するも、危うくやられそうになる。そこへ現れた友右衛門。図書とやりあい、これを倒す。数馬よりもスピーディな立ち回りで、かっこいい! かっこいい男は人の夫かホモなんだよね、あざみちゃん。

いざ、トドメ!というところへ殿がやってきて、殿の検分の元、2人は図書にトドメを刺す。あざみは引っ立てられるが、お情けをかけてもらえそうな感じ。殿、いい人だな。
そこへ奥方がやってきて「屋敷に火が回っている」ということを告げる。
「見事!」なんて言ってる場合じゃなかったぞ、殿ーっ!!(やはり、仇討ちマニアか?)
さらに「御朱印が焼けたらお家の一大事…」とか言ってる殿。だったら、仇討ちの検分なんかしとらんと、さっさと蔵に行けっての。

殿への恩返しとばかり、自らが御朱印を取りに行くという友右衛門。一緒に行くという数馬を押し止め、一人炎の中へ。
ここの演出がすごかった。上から煙(ドライアイス?)がブシューッと吹いてきて臭うのなんの。舞台にももくもくと煙が… 上からは火の粉に見立てた赤いアルミ?(なんて言うのかわからない)が降ってくる。
そんな中、舞台へと向かう友右衛門。衣装はぼろぼろ、破れた衣装の下から赤い光が見える。しかも、衣装から煙が上がってるんだけど… だんだんと衣装が焦げていくように見えたので、本当に焦がして煙を出していたのかも。でも、そんなことしたら、衣装代かさむよな。

舞台上では本物の火が噴き出したり、煙が噴き出したりしている。子供の頃にやったファミコンゲームの『グーニーズ』を思い出した。上から柱が落ちてきたり、階段から滑り落ちそうになったりして、すごい迫力。USJの炎のアトラクションを思い出した。(あそこまですごくはなかったけど。) 舞台だとわかっているのに、本気で「染五郎さんが焼けちゃうー!」と思いながら見ていた。腹を切って御朱印を守る場面では、笑いをとってグロテスクさを感じさせないようにしていた。

場面は変わり、殿や数馬の元に友右衛門の焼死体が運ばれてくる。遺体に取りすがって泣く数馬。
友右衛門の頭を膝に乗せ、乱れた髪をそっとかきやり、頬を寄せたり、体を撫ぜたり… ちょっとだけ染五郎丈になりたいと思った(笑)。 御朱印が見つかり、殿や皆が友右衛門の忠義をたたえる。

最後、呆然と歩く数馬のところへ、上からするするとかきつばたが糸でつるされ下りてくる。この演出はどうなのよ? 道端に咲かせておくことはできなかったのか? 黒子さん使った方が良さそうだぞ。長唄が切なそうでいい感じなのだ。
かきつばたを手に遠くを見つめる数馬、その後ろの段の上に友右衛門、という図でラスト。
その後、カーテンコールがあった。

いやはや、面白かった。
後半にもう一度行くけれど、見に行く回数を増やそうかな〜。

感想 2回目
18日昼の部を1階8列19番で観劇。
劇場外にスチール写真が飾られていた。舞台写真として売ってほしいと思った。

いろいろと演出が変わっていた気がするが、前回のことをはっきりと覚えていないので、ちょっと自信がない。
自信を持って「変わった!」と言えるのは、見初めの場のかきつばたが咲いていたということくらい。(←2日目は天から糸につるされて降りてきたのだ。) これによって、最初のかきつばたは本物、最後のかきつばたは数馬の幻想という解釈が成り立つかな。最後、数馬(愛之助丈)が「兄上!? 兄上!?」と幻を追い求め、天からかきつばたが降りてくるのだ。前回はくすくす笑いが起きていたけど、今回は起きなかった(と思う)。
ああ、かきつばたと友右衛門(染五郎丈)の幻を見てるのね、と思った。

…いきなり、最後から書いてしまった。
前回はピンポイントで愛之助丈ばかりを見ていたが(←ダメなファン)、今回は愛之助丈以外も見るようにしてみた。そして、前回あまり触れなかった部分にも触れてみた。

図書(猿弥丈)に殺された十内(薪車丈)が蹴られて転がるところで、前回はいよ(芝のぶ丈)と同じ格好で行儀よく並んで転がっていたが、今回はぐてっという感じだった。そんなどうでも良さそうなところで、「あ、微妙に違うんだ」と思った。
図書さん、最後の立ち回りがすごいからとんでもない悪役のように思っていたけど、改めて見ると小悪党だなぁ。それでも、二度目の結婚の時は酒を止めて、夫婦それなりに仲良く暮らしていたみたいだから、根っからの悪人ではないのかも。
十内さんはすごく爽やかなマイホームパパ。現代なら、子供と公園でキャッチボールしてそうだ。

見初めの場→文を偲ばせるところ。
あざみの「八百屋お七」の話は伏線になっていたんだな。
今回は友右衛門の表情にも注目してみた。こんなイッちゃってる表情で数馬を見つめてたのね。涎が垂れそうなほど、ぽかーんとお口が開いていた。きっと、友右衛門の頭の中は「萌え〜」でいっぱいだったに違いない。
文に気付いた数馬のリアクションがわかりやすくなっていたような…? おたおたしていて、すごく可愛かった。恋文をもらうのは初めてだったのか?(BL小説版だともらいなれてたけど。)
お民(吉弥丈)はちょっと教育ママっぽいかな。厳しい武家の母親という感じだった。

お屋敷での再会→濡れ場。
友右衛門は「袖助」と名乗るから、「お袖に汚れが〜」の演出にしたのかなぁとふと思った。友右衛門に文を投げつけるなんて、男らしいぞ、数馬! その後、陰でそっと様子をうかがっている姿とのギャップがなんともいえない…(笑)
友右衛門は最初、「胸がドキドキする」と言ってしおらしく、数馬に手をつかまれて寝所へつれていかれ、帯をくるくるされ、ちょっとヘタレ風味。
前回は影絵を見て「吹き替え?」と思ったけれど、数馬が袴の帯を締めながら出てきたので、もしかしたら本物がやってる? 前回は唇が重なる寸前でライトが消えたけど、今回は唇が重なっていた。(本当に重ねているわけではないだろうが。)
結ばれた後の友右衛門は、ちょっと偉そうに見えた。「あー、寝た後に態度が変わる男って、こういうのを言うのね」などと思ったり。しかし、数馬の方が一枚上手なのか、「父の敵を一緒に討って」と色仕掛け。そりゃ、イヤとは言えないでしょう。関係もっちゃったんだから逃げられないよ、友右衛門。(←うがった見方)

あざみ(春猿丈)が「男に寝取られ…!」とメラメラする場面では、客席から笑いが起きていた。春猿丈ファンの友達も笑っていた。嫉妬に燃える女性は恐ろしいはずなのに、どこかカラッとしてるから笑えるのかな。『源氏物語』で言うと、雲井雁みたいな嫉妬の仕方だと思う。あざみが六条御息所みたいに物の怪になるタイプの女性だったら、この物語はオカルトになっていただろう。

殿の御前。
殿(段治郎丈)が二人を許す時の「喜ばしいか?」という満面の笑みが素敵だった。それはもう、「お前が喜んでるんだろ!」とハリセンでスパコーン!と突っ込みをいれたくなるくらいに。
奥方(吉弥丈)はきりりとしてかっこよかった。どこのシーンだったか、舞台が回って殿と奥方が退場する時、出口側にいた奥方が殿を待って、殿の後から退場するのが見えた。役者さんにしてみれば当たり前のことなのだろうが、「場面転換前の短い時間でも、ちゃんとお役になりきってるんだ〜」と思った。
あざみの「キーッ!!(腕ぶるぶる)」な表情に、客席はやはり笑っていた…

休憩明け。
歌舞伎体操&困った父子の場面は以前よりパワーアップしていたような…?
妹きく(芝のぶ丈)を4年ぶりに訪ねる友右衛門。数馬と暮らせる幸せに、妹のことなどさっぱり忘れていたと見える。
会社の子は「妹が一番可哀相」と言っていた。唯一の身内である兄はお小姓をストーキングして行方知れず、4年間仲良く連れ添った夫は兄に殺されてしまう。友右衛門が「兄にまかせておけ!」とか言ってたけど、後のことなど何も考えてなかったのでは…? 数馬の敵さえ討てればそれでよかったんだろう。最後、数馬を見守るように現れたけど、妹のところには現れてないんだろうな。…ひどい兄だ。

客席を走る演出も変わっていた。花道→客席通路→舞台→階段を上がってセットの2階→階段を下りる→花道を走り去る、だったのが、花道側客席通路→上手側客席通路→舞台→階段を上がってセットの2階→数馬がこける→友右衛門が助け起こして暗転、となっていた。
今回は通路側だったので、愛之助丈がすごく近くで見れた。近くで見ても、ちゃんと美貌のお小姓だった。(←ファンの贔屓目?) 染五郎丈が前方の席のオバチャンに袖をつかまれてぶんぶんと振り払っていた。大阪のオバチャン、おそるべし! 愛之助丈はあまりつかまれてないように見えたので、後ろを歩いている染五郎丈の方がつかまえやすかったと見た。数馬の衣装は袖に綺麗な刺繍が入っているので、指紋をつけるのが申し訳なく思えたのかも。(←?)

火事場は何度観ても面白い。(2回しか観てないけど。)
場面転換している間に、客席に“火の粉”を降らせて、客席の注意をそちらに向けるのは上手いなぁと思う。それが収まった頃に、舞台の火事も鎮まるというのが、いい。幕を引いて「この幕間は5分です」なんてやったらしらけるもんね。
焼死体になった友右衛門の顔に赤い火傷の痕があった。前回は白い顔をしていたと思う。数馬は先回ほど友右衛門を撫で回していなかったように思えた。その代わり、そっとさすったりぎゅっとしたりしていたかな。(記憶違いかも。)

ラスト、友達が「カーテンコールのある歌舞伎なんて初めて見た」と言っていた。私は平成若衆歌舞伎と若伎会で見たぞ。カーテンコールは上方歌舞伎復興のための新サービスなのか? ブラックな話の後、カーテンコールで出演者の笑顔を見るとほっとするというのはあるかも。(「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」はそうだった。) まあ、話の内容によるかな。「荒川の佐吉」の後でカーテン・コールは見たくないしな。

2回目を見ても、やっぱり面白かった。
次は楽日に観に行く。
今度は3階の席にした。一度、燃え盛る下界を上から見てみたかったのだ。2回も火の粉を浴びたので、次は火の粉のかからない席で高みの見物?としよう。


↑火の粉

感想 3回目
26日(千穐楽)を三階右2番で観劇。

自分の中で新記録達成。
同じ演目を3回も観たのは生まれて初めて。
私はお芝居やライブは1回見れば十分なタチで、多く見ても昼夜の2回まで。それも、「せっかく東京(大阪)まで来たんだから、昼と夜と2回観て帰ろう」程度の考えしかなかった。
そんなモノグサ面倒くさがりの私が3回も劇場に足を運ぶとは… これで私もBL大好きっ子(BY:山本太郎さん@「トップランナー」)の仲間入りか?

今回は三階席右バルコニーで観劇。
いつも下から見上げて、「一度あそこに座ってみたいなー」と思っていたのだ。(←何とかと煙は高いところが好きとは本当らしい。)
いつもは各公演1回ずつしか観ないので、「近くで観たい!」と思ってしまうのだが、今回は3回目だし後方の席しか残ってなかったので、ようやくバルコニー席を取った。今回はセットの2階を使うことが多くて上からでもよく見えそうだし、愛之助丈は花道側にいることが多いと知っていたしね。


↑眺めはこんな感じ。

花道はよく見えた。
舞台は中央くらいまでしか見えなかったけど、周りには4人しかいないので、多少乗り出しても大丈夫。(しかし、近所に座った人によるかも。)

三階に座って気付いたこと。(というより、三階に座るまで気付かなかったこと。)
冒頭の悪者4人組のお膳には、人の頭くらいもある大きなお魚が置かれていた。
十内(薪車丈)、図書(猿弥丈)は止めを刺される時に両手だけでなく左足もぐぐっと上げていた。
火の粉は上から煙と一緒に降ってくるのではなく、舞台で黒衣さんが噴射機(?)から発射していた。
友右衛門(染五郎丈)は長持の中に入ると見せかけて、廊下の奥へとこそこそと去っていった。
殿登場前、数馬が花道に引き立てられている間に舞台が回っているのだと思っていたが、どうやら舞台は回さずにセットを変えていたもよう。

千穐楽スペシャル。
その1
歌舞伎体操千穐楽バージョン。
紫之助パパンが歌舞伎体操のCD&DVDを勧めた後に。
「ずばり言うわよ!」「千穐楽で売店が閉まって売ってないのよ!」「踊ってないで早く買いに行きなさい!」
紫之助「松竹座に出ていた私によう似た澤村國矢をご贔屓に(とか、そんな感じの台詞)」

その2
火事場に飛び込む友右衛門が三階席、二階席にもやってきた。
いきなり三階に登場したので吃驚した。講談師さんに「そこは一の蔵(三階)です」と言われて再び駆け出し、二階へ。「そこは二の蔵(二階)です」と言われて、「一度ならず二度までもっ!」と再び駆け出し、一階では花道ではなく通路を駆け抜け、設置された階段の上で演技していた。三階に座ってよかったなーと思った。(狙って花道を取った人は気の毒だったかも。)
さらに、舞台の中央で「いつもより多く回っております」状態だった。

その3
ダブルカーテンコール。(会場はスタオベ。)
幕が開いたら、染五郎丈と愛之助丈が中央で座ってキスしていた。口元は見えなかったので、くっついてたかどうかは不明。離れた後、愛之助丈が口を手で押さえる仕草をしていたのは演技か? それとも、本当に口がくっついてたのか? そこまで体を張って受けを狙いにいかなくても…
舞台と客席には紫の花びらが降っていた。(一階席にいた友達が拾ったものをくれた。)


↑花びら

最後は染五郎丈のご挨拶と大阪締め。
「3年ぶり(?)の復活狂言です」「連日大入り満員で、今日は立ち見も出てました」「お正月に松竹座で歌舞伎があります。歌舞伎をたくさん見に来てください。その中でも、我らをちょこっとだけ贔屓してください」みたいなことを言っていた。

千穐楽のせいか、大向こうさんもガンガン声をかけていた。ここぞという時に大きな声で「松嶋屋ぁっ!!」とかかると嬉しい。(誰も声をかけない時なんて、「私がオッサンだったらガンガン声かけるのに〜!」と思うのだ。) 多くの役者さんに満遍なくかかっていたように思う。

とりとめもなく思ったこと。
友右衛門って、あの時代に30過ぎで独身ってことは、ホンモノだったんだよね、きっと。(稼ぎのない浪人じゃなくて、二百石のお侍だったわけだし。) 美人の妹とおそらく美人の母親(いよと友右衛門の母だものね)が側にいたせいで、女性に興味がなくなっちゃったのかしらん。

殿が二人を成敗しようとする場面。
友右衛門「殺すなら私を!」
数馬「いえ、私を!」
友右衛門「たとえこの身が死んでも、心はひとつだぞ!」
数馬「でもでもっ!」
…殿、このバカップルっぷりを見て、成敗する気持ちがうせたのか? いや、殿はすっかり「仇討ち、仇討ち、楽しいな♪」状態になっていたんだろうな。そりゃ、あざみもぐれるわ。

友右衛門が数馬と別れて火事場に向かうとき、「必ず堅固で…」と言ってたように聞こえたのだが、その時点ですでに友右衛門は死を覚悟していたのかなぁ。

さてさて、常々「当たり役が見つかったらいつ死んでもいい」と公言している愛之助丈だが、今回の数馬が当たり役になるかも。少なくとも、私は愛之助丈以外の数馬は観たくないぞ。もちろん、染五郎丈以外の友右衛門も観たくない。再演するなら、ぜひとも同じキャストでよろしく。(メインキャストはもちろん、紫之助君&愉快なパパンまで同キャストでね。)
そして、愛之助丈には長生きしていただいて、70歳を超えても前髪の数馬を演じていただきたい。でも、70歳を過ぎたら友右衛門は厳しいかなぁ。舞台中央で激しく回ってるうちに、ぽっくり逝っちゃいそうだもん。(←おい)

非常に楽しんだ公演だったのだが、拍手をしすぎたせいか(?)、アクセサリーの一部が行方不明になった。会社を休んで芝居に行った報いか?(号泣) しゃがみこんで席の下を探して、立ち上がると、あら不思議。緞帳が上がっていて、そこに役者さん達が… どうやら記念撮影をするっぽい。覗き見するわけにもいかないので、慌てて外に出た。総合カウンターで、出てきたら連絡をもらえるようにお願いして帰ってきた。お願い、出てきて!!
これがまあ、ちょっとありえない状態なので、お店にクレームつけに行ってみる。

そんなこんなで、ちょっと魂が抜けかかっているので、記憶違い勘違いがあってもご容赦を。(おかしな部分があったらご指摘ください。)

おまけ。
イヤホンガイドで愛之助丈が美味しいと言っていた「すみれ」のラーメン。(たぶん)→「イヤホンガイド」レポ
地元の北海道フェアに来ていたので食べてみた。(私は塩ラーメン、友達は味噌ラーメン。) こってりしてたけど、美味しかった。


だらだらと感想は続きます。→つれづれなるまま「染模様〜」&「蔦模様〜」