「蔦模様血染御書」勝手な解釈と感想
読み違い、解釈違い、勘違いがあったら、ごめんなさい。(特に、台詞部分は激しく勝手な解釈です。)

とある飲み屋で、横山図書の弟子4人が管巻いている。
その1「師匠ムカツクー」
その2「軍学・兵法に詳しくて、腕が立つからって、我々が憧れていた美女を嫁にしやがって」
その3「血気盛んな我々の手前、辞退すればいいものを…」
その4「別れさせてやろーぜ」
…とりあえず、図書さんに人徳がないことはわかった。歌舞伎の悪者ってわかりやすくていいなぁ。

実は、その飲み屋に当の図書が刀を買いに来ていた。しかし、どうやらそれは妖刀らしい。
図書「舅が買うなって言うから、止めとくよ。本当はZOKKON気に入ってるんだけどさぁ。」
印南十内「それなら止めておくのがいいでしょう。息子が疱瘡にかかってるので、お先に失礼」
図書「疱瘡のお守りが家にあるから、よかったらあげるよ」
ここで弟子達がやってきて、「いい刀ですよ。お舅さんに内緒で買ったらいかがですか?」と図書をそそのかす。
すっかりそそのかされる思慮の足りない図書。
ついでに「奥さん、浮気してますよ」なんて吹き込まれてやんの。

十内の妻・おたみが図書の家にお守りをもらいにいくが、図書の妻・おいよに「主人が帰ってきたら届けさせますわ」と言われて帰っていく。
おいよ「はーっ。お父さんの前では元気な振りしてるけど、好きでもない男と結婚なんかしちゃって、死にたいわー」
そこへ、タイミング悪く図書が庭口から現れる。
「お前、浮気してやがったなー! ムキーッ!!」
と、妻を斬ってしまう。(妖刀のせいもある?)
さらに悪いことに、十内がお守りをもらいにやってくる。図書は十内を騙して斬り殺し、不倫相手だということにしてしまう。(←本当に不倫相手と思っていたのかもしれない。) 図書さん、いくらなんでもやりすぎ。まあ、自分に自信がないから、妻が不倫したと思っちゃったんだろうけどさ。

ここで、場面転換するのだが、主役が出てくるまでが長いなぁ。たいていはもったいぶられるけど、これ、実際に舞台でやったらかなり長いんじゃないかなぁ。平成若衆歌舞伎で愛之助丈が出てくるまでじりじりと待っていたことを思い出した。

ようやく数馬登場。
浅草観音で友右衛門と出会う。友右衛門は数馬にうっとりと見惚れていた。
実は数馬は十内の息子で、父の無念を晴らしたいと観音参りをしている時に細川候に見初められたということなどが語られる。
さて、数馬の美貌に血迷った友右衛門は自分のお殿様にお暇をいただいて、細川家の中間になる。身分を捨ててまで数馬と契りたいのか。すごい執念。というか、これ、今の世で言うストーカーじゃないの??

数馬は他の男にもせまられているらしい。
丹蔵「今日こそ、俺の想いに応えてよ」
数馬「あっち行け、シッシッ」
数馬は具合が悪いと言って寝室にこもり、友右衛門がくるのを待っている。なにやら企んでいる模様。

ようやく、友右衛門がやってくる。
数馬「あなたをこちらでもお慕い申しておりました。でも、殿の寵愛を受ける身で不義は犯せないから、実の弟と思ってください」
友右衛門「見た目ばかりか心まで美しい少年に不義をせまってはずかしめるなんてことはしませんよ。そうと決まれば長居は無用。疑われないうちに帰ります」
数馬「待ってください。もしかして、怒ってますか? 愛想をつかされてしまいましたか?」
友右衛門「まさか。ご立派だと感心しましたよ」
数馬「実は… 私は亡き父の敵を討ちたいのです。お力を貸してください」
友右衛門「そんなお志があったとは」(←ここ、心底感心してるのか、「あー、そう。だから俺を忍ばせてくれたわけね」と思ってるのか、ちょっとよくわからない。)
ここで、互いの血汐をすすって義兄弟の契りを結ぶ。

そこへやってきたのが、さっき振られた男・丹蔵。
「不義密通の場面みーつけた!」とばかりに、数馬を引き立て、友右衛門も殿の御前へ。友右衛門はうつむき、数馬は泣き伏す。
殿は激怒。奥方が宥めるも、「女子供は席を外せ! 成敗してくれる」ととりつくしまもなし。
友右衛門「御待ち下さい。私はもとよりお手討ち覚悟で忍んだスケベヤロウでございますが、数馬殿はそんな私を諭し、血汐をすすり義兄弟の契りを結びました。彼には志があります。私一人をお手討ちになさり、数馬殿は許してください」
丹蔵「すすってたのは血汐だけか〜?」(←下品な男だな。だから振られるんだよ!)
殿「じゃ、許す」
殿、物分りがよすぎ。
そんなこんなで、友右衛門は武士として取り立てられ、数馬は剣術の腕を磨くためにお暇をもらう。
奥方「この二人のほかに、不埒な者がおりますのよ。いやらしい文を届けさせる不義者が。さ、丹蔵をひっとらえなさい」
この丹蔵というキャラクターは非常にわかりやすいんだけど、「染模様恩愛御書」には出てこない。

場面転換して、友右衛門の妹・きくの夫が図書ということがわかる。図書は今では印南姓を名乗っているそうだ。
そして、いきなりの大火事。
友右衛門は火の中に飛び込み、腹をかっさばいて御朱印を中に入れる。
友右衛門は死骸となって運ばれ、数馬はそれにすがって泣く。
数馬「父の敵の居所がわかりました」
殿「よし。帯刀、友右衛門に代わって数馬に助太刀いたせ」
奥方が、友右衛門が切腹していることに気付き、その腹から御朱印が見つかる。
血汐にしみて上書きの文字も判別しにくいけれど、まさに御朱印、で幕。

追記:この後、大詰で敵討ちの場面が入る。


契っちゃったら、友右衛門の魅力が半減すると思うんだよなぁ。そういうの抜きで力になってやるところがいいのに。

数馬の寝所で、妙にヘタレウブだった友右衛門。(「胸がどきどきして仕方ない」とか言ってるしね。)
数馬「今日は病気を理由に出仕を断っていますので、ゆっくりお話いたしましょう」
友右衛門「それは何よりです。では、早速…」
数馬「え?」
友右衛門「いや、あの… 早速お願いしましょうか」
数馬「何なりとうかがいましょう」
友右衛門「さぁ、そのお願いとは…(言いにくそうに) 寝物語をしましょうか(うつむいて)」

殿の御前に引き出されて、“流石勇士の悪びれず”に堂々した友右衛門。
友右衛門「恐れながら申し上げます」
丹蔵「下郎の分際で、黙ってろ」
友右衛門「例え下郎といえど、死ぬ時には言いたいことを言っていいというではないか。私はお手打ち覚悟でご当家へ下郎として住み込んだ好色者だが、数馬は若いのに天晴れな思慮分別があって、情けをかけつつも不義の契りを断り、義兄弟の契りを結ぼうとした。容姿のみか心まで美しいその姿に、主恩を捨てて下郎になった私も目が覚めた。庭前の露と消える命は惜しくないが、志ある数馬までむざむざ不義として殺されるのはあまりに哀れ。私一人お手打ちにして、数馬の命はお助けくださるようお願いいたします」

逆に数馬は、友右衛門の前では「不義な契りの御恋慕はこれまでにしてください」ときっぱり言い放ったのに、殿の前では泣き伏すのみ。さらに、友右衛門は即興で歌を詠んだりして、なかなかのいい男。「いい男は人の夫かホモのどちらか」とは、誰が言ったか知らないが、至極明言なり。


さらに感想は続きます。→つれづれなるまま「染模様〜」&「蔦模様〜」

「紅蓮のくちづけ」感想
注意:毒吐いてます。ネタバレもあります。
この小説に感動された方は読まない方がよろしいかと…

ムダにかっこいい友右衛門、「キサマ、本当に(自主規制)生えてるのか!?」と胸倉を掴みたくなるような数馬、そして、男同士のカップルにやたらと理解のある女性陣、封建社会にしてはフランクな上下関係… その他いろいろツッコミドコロ満載だった。
それが、歌舞伎みたいに笑いながらツッコミを入れられる話ならいいんだけど…

全体的に、歌舞伎版よりしめっぽかった。上手くいえないけれど、読後感がすっきりせず、もやもやして仕方がない。特に数馬。女子みたいなのは、見た目だけにしておいてくれ。女性陣の方が数馬よりよっぽど男前だ。友右衛門のかっこよさも“いかにも女性が書いたかっこよさ”という感じがした。勝負の前に酒を飲むところなんか、わざとらしい。

ラストは小説版の方がよかったかなぁとも思ったけど、そうすると、忠義より恋をとった二人になってしまうので、やはり歌舞伎版のラストでよかったんだと思い直した。やっぱり、小説版友右衛門のかっこよさは無駄だったなぁ。だって、恋愛至上主義の男なんて、心根がかっこよくないもん。
忠義寄りの心情にして、二人炎に包まれるならいいかも。

そして、衆道の契りはない方がいい。(小説版も歌舞伎版も)
契っていないからこそ、許した殿が人格者に見えるわけであって、契っちゃった二人を許す殿って何か間抜けだ。おまけに、歌舞伎版であざみにまで温情をかけるのは、人格者というより馬鹿殿に近いような気がしなくもない…(段治郎丈の見た目がいいからごまかされがちだけど。)

友達曰く、「BLはファンタジーだから、細かい部分を突っ込んじゃダメ」なんだそうだ。
そういうものなのか? うーん…
まあ、全員プレゼントの応募券目当てで買ったようなものだからなぁ…

「イヤホンガイド」レポ
千穐楽が終わったので、覚えている内容について書く。最初、染五郎丈のインタビュー、続いて愛之助丈のインタビューという順番。対談にしてくれたら面白かったのに。

※「だいたいこんな感じのことを言っていた」ということであり、一言一句この通りにお話されたわけではありませんので、ご了承ください。一部敬称略です。

愛之助丈はここでも女形について聞かれていた。皆、女形が見たいのか? 私も見たい!
答えは、いつもと同じで「関西の役者としては両方できるのが理想」とのこと。
BLについても、「歌舞伎は男ばかりだから違和感ない」「染五郎さんとは公私共に仲良くしてもらってる」と、どこかで聞いたようなお答え。

質問コーナー。
今はまっているものは?
染五郎「BL(笑)」
愛之助「お香」

生まれ変わるなら男? 女?
染五郎「男」
愛之助「男」また歌舞伎役者というのは?「いいですねぇ」

精神年齢は?
染五郎「10歳」「なぜかというと、その頃やりたいと思ったことを今やっているから」
愛之助「低いです」

地球最後の日に何をする?
染五郎「勧進帳の弁慶」「市川染五郎となったからには一度はやっておかないとご先祖様に申し訳ない」「衣装を盗んででもやります」(←閣下、一人で900回?もやらんと、息子さんにもさせてあげてくださいな。)
愛之助「芝居してます」

好きな(オススメの)ラーメンは?
染五郎「博多のラーメン」
愛之助「ラーメン大好きなんですよ。(オススメは)すみれ。北海道の」

せまられるなら、シュワちゃんとヨン様、どっち?
染五郎「知事」
愛之助「真剣に悩みますね」「ヨン」その理由は「シュワちゃんは押さつけられたら怖そう。逃げられなさそう」(←妙に発想がリヤルですな。)

好きな大阪弁は?
染五郎丈のは失念。
愛之助「ありがとう(大阪弁のイントネーションで)」「おーきにはあまり使わないです」それと、「好きやで」

愛之助丈は最後のメッセージで、「歌舞伎を愛して、観て、親しんで、松竹座を愛して…」となかなか素敵なメッセージをくださった。(←素敵という割にはいまいち覚え切れてないのがなんともアレではあるが…)

ちなみに、プレゼント企画の合言葉は…
染五郎「純愛」
愛之助「衆道」
だった。(今からハガキを出しても間に合いませんよ。10月27日消印有効なので。)