年 (平成年)

三月大歌舞伎 歌舞伎座

3月3日(金)〜3月27日(月)

配役

昼の部(11:00開演)
一、吉例寿曽我(きちれいことぶきそが)
  鶴ヶ岡石段の場
  大磯曲輪外の場

工藤祐経:五代目 片岡我當
近江小藤太成家:初代 片岡進之介
八幡三郎行氏:六代目 片岡愛之助
奴色内:五代目 坂東亀三郎
奴早平:初代 坂東亀寿
梶原源太:二代目 尾上松也
喜瀬川亀鶴:六代目 上村吉弥
奏野四郎:二代目 中村亀鶴
朝比奈三郎:六代目 市川男女蔵
化粧坂少将:十七代目 市村家橘
曽我十郎:初代 中村信二郎
曽我五郎:五代目 中村翫雀
大磯の虎:七代目 中村芝雀

二、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
  吉野山(よしのやま)

佐藤忠信 実は源九郎狐:九代目 松本幸四郎
静御前:九代目 中村福助
逸見藤太:六代目 中村東蔵

三、十三世片岡仁左衛門十三回忌追善狂言
  菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
  道明寺(どうみょうじ)

菅丞相:十五代目 片岡仁左衛門
判官代輝国:五代目 中村富十郎
宿禰太郎:四代目 市川段四郎
苅屋姫:初代 片岡孝太郎
鷹迎い弥藤次:六代目 片岡市蔵
土師兵衛:六代目 片岡芦燕
奴宅内:五代目 中村歌六
立田の前:二代目 片岡秀太郎
覚寿:七代目 中村芝翫

夜の部(16:30開演)
一、十三世片岡仁左衛門十三回忌追善狂言
  お俊 伝兵衛
  近頃河原の達引(ちかごろかわらのたてひき)

猿廻し与次郎:五代目 片岡我當
遊女お俊:二代目 片岡秀太郎
与次郎母:二代目 中村吉之丞
稽古娘おつる:初代 中村龍之助
横溝官左衛門:九代目 市川團蔵
井筒屋伝兵衛:四代目 坂田藤十郎

二、二人椀久(ににんわんきゅう)
椀屋久兵衛:五代目 中村富十郎
松山太夫:五代目 尾上菊之助

三、水天宮利生深川(すいてんぐうめぐみのふかがわ)
船津幸兵衛:九代目 松本幸四郎
車夫三五郎:五代目 中村歌六
幸兵衛娘お雪:初代 中村壱太郎
同お霜:五代目 中村米吉
差配人与兵衛:初代 松本幸右衛門
長屋女房おつぎ:五代目 澤村鐵之助
代言人茂栗安蔵:四代目 河原崎権十郎
巡査民尾保守:八代目 大谷友右衛門
金貸因業金兵衛:八代目 坂東彦三郎
萩原妻おむら:二代目 片岡秀太郎

筋書
愛之助丈関連
舞台写真:「吉例寿曽我」八幡三郎行氏:2枚
50ページ:「花競木挽賑」内インタビュー

その他内容
十三世片岡仁左衛門丈紹介。我當丈、秀太郎丈、当代仁左衛門丈インタビュー。

舞台写真
愛之助丈は「吉例寿曽我」八幡三郎の写真が5種類。
料金
1等席:15,000円
2等席:11,000円
3階A席:4,200円
3階B席:2,500円
1階桟敷席:17,000円
筋書:1,200円

雑誌
『演劇界』2006年5月号→演劇界 2006年 05月号 [雑誌]
愛之助丈関連
30ページ:舞台写真「吉例寿曽我」八幡三郎行氏(カラーグラビア、進之介丈と)
44ページ:舞台写真「吉例寿曽我」八幡三郎行氏(モノクロ 3枚)
57〜58ページ:三月大歌舞伎の劇評
108ページ:水野晴郎劇場ノート28
108ページ:「若手登場 上方歌舞伎篇」上部に松之丈(愛之助丈のお弟子さん)
124ページ:三月大歌舞伎の劇評(投稿)

感想
22日の1列31番で観劇。

吉例寿曽我
最初、2人の役者さんが出てきて、あっという間に去っていった。
その後、進之介丈(近江小藤太役)が花道から出てきて、続いて愛之助丈(八幡三郎役)が上手から出てくる。衣装がすごくて、小豆色に白い横線の入った袴を内側に折り込んで、ブルマーみたいだった。その上、白いタイツに黄色い足袋を履いているものだから、なんだかアヒルのよう。『THE有頂天ホテル 』のダブダブを思い出してしまった。顔は白塗りでかっこいいのに、妙な感じ。

(←こんな感じ)

進之介丈と結構長い間立ち回りをしていた。最後に階段の上でポーズを決めたら、階段がぐぐっと持ち上がって後方へと傾き、底面に描いてある富士山の絵が表に出てきた。上手く説明できないが、「がんどう返し」というらしい。びくともしないでポーズを決めていた愛之助丈はすごいなぁ。
黒子さんがなにやら舞台を隠しているなぁと思ったら、下から役者さんがせりあがってきた。9人が豪華な衣装でポーズを決めて、「歌舞伎!」という感じだった。

義経千本桜・吉野山
松本幸四郎丈(かっこいい)と福助丈(綺麗)の踊り。
道化役が出てきてイナバウアーをやっていた。この道化さんが面白くて、ついつい笑ってしまった。
幸四郎丈は佐藤忠信に化けた子狐の役だというので、てっきり着ぐるみみたいな衣装を着るんだと思っていたら、そうではなかった。いや、あのコワモテにふさふさしっぽ付きの衣装はあまり見たくないけど。
一幕では梅が咲いていたが、二幕は桜が満開。
義太夫さん(?)がセットに合わせて桜模様の裃を着ているのがお洒落だと思った。
静御前が白拍子の装束ではなく、いかにもお姫様〜な格好だったけど、それは突っ込んではいけないらしい。

菅原伝授手習鑑・道明寺
お香の香が漂ってきて、なんともいえないおごそかな雰囲気だった。
難しい話かと思っていたが、そんなことはなくて、2時間があっという間だった。
登場人物全て魅力的なのだが、特に覚寿というおばあさんがすごかった。娘を杖で折檻するわ、娘婿を一撃必殺で突き刺すわ、激しかったなぁ(←こう書くと悪役みたいだが、実は逆)。このばあさまで「意地悪ばーさん」をやったら面白そうなどと思っていたら、覚寿役の芝翫丈は恐れも多くも人間国宝だった。
仁左衛門丈(菅丞相役)はとにかく美しかった。「世の憂いを忘れて、寿命が延びるくらいの美しさ(by『源氏物語』)」という言葉を思い出したくらい。拝んだらご利益があったかも。ちょうど目の前が仁左衛門丈の座る場所だったので、見惚れてしまった。
木像を演じている時はまばたきもせずにぎこちない動きをしていて、すごいなーと思った。出立の前には、照明で涙がきらりと光っていた。
衣装も綺麗だったけど、道真公以外は平安っぽくなかった。これもたぶん、突っ込んではいけないんだろう。よくよく考えたら、この「道明寺」の後に「寺子屋」というお芝居があるのも妙な感じだ。無粋な突っ込みは入れずに、楽しんだ者勝ちということかな。