7月30日(日) に、1階8列目18番で観劇。
花道も舞台も観やすくて、よい席だった。前の席であるほどいいというものではないんだなぁと改めて思った。
愛之助丈は中央にいることが多かったので、非常に見やすくて嬉しかった。大向こうさんがたくさんいた。「澤瀉屋!」の掛け声が非常に多かった。もう少し「松嶋屋!」もかけてほしかったかな。
奥州安達原
{仗(段四郎丈)は皇子を誘拐された責任を取って、切腹しなくてはならない。それを見届けにきたのが八幡太郎義家(愛之助丈)。
{仗の妻が浜夕(竹三郎丈)、娘が袖萩(亀治郎丈)。
袖萩は男と駆け落ちしたあげく盲目の物乞いに落ちぶれたが、娘を連れて父に会いにやってくる。この袖萩の夫が安部貞任(亀治郎丈)で、皇子を誘拐した張本人。貞任は桂中納言となり、その弟の宗任(亀鶴丈)は南兵衛となって、{仗の屋敷に入り込んでいた。
2人は義家に見破られ、「戦場で会おう」と言われて幕。
愛之助丈は八幡太郎義家ということで、エリマキトカゲみたいな御大将ルック。(ちなみに襟巻きはオレンジ色。) これは一歩間違うとバカ殿に見えてしまう危険な衣装なのだが、愛之助丈は似合っていた。(←ファンの贔屓目?)
亀治郎丈は写真で見ると美人とは言えないのだが(ごめんなさい)、舞台で動いている姿はとても綺麗。袖萩にしても、天女にしても、「えー? こんなに綺麗だったの!?」と驚いた。やはり、生で見ると違う。
子役さんもとてもよかった。愛くるしくて、思わず目がそちらへ行ってしまう。盲目の母・袖萩に自分の着物を着せ、気付かぬ母が「そなた、寒くはないか?」と問うと、震えながらも「いいえ、あったかい」と答える場面のいじらしいことったら… 子供を使うなんて卑怯也!と思いつつも、泣けたなぁ。
亀治郎丈は目を閉じたまま三味線を弾いたり、早替りをしたり、立ち回りをしたり、ぶっかえりで衣装が変わったりと大活躍。見てて飽きなかった。(途中、義太夫さんの語りだけになったときはちょっと意識が遠のきかけたけどな。)
愛之助丈は立ってたり、座ってたりするだけのお役。しかし、最後に子供を引き取ったり、「戦場で会おう」と器の大きさを見せたりして、美味しいお役かも。途中でお色直し?して金の烏帽子に立派な衣装に変わった。(もとの衣装も立派だったけどね。) 衣装だけでなく、立派な大将に見えたのは、やはりファンの欲目…?
亀鶴丈は赤っ面で元気よく、段四郎丈は渋く、竹三郎丈にはもらい泣きさせられた。
松廼羽衣
天女(亀治郎丈)の羽衣を伯龍(愛之助丈)が見つけ、返す返さないのやり取りがある。伯龍は羽衣を返す代わりに天女に舞を所望し、天女は舞いながら昇天する。
ここでしか観られない松廼羽衣。
天女が宙乗りで去っていき、伯龍が通常の5倍ほど踊っているという。
天女の衣装を着た亀治郎丈が上段から現れたり、ドライアイスがたかれる中でライトが当たったりして、幻想的な舞踏だった。天女の冠?がきらきらして綺麗だった。
愛之助丈は漁夫にしては綺麗過ぎると思ったが、白塗りの美男子で眼福だった。最後、切なげに天女を見送る表情がよかった。それに対し、天女の方は、宙につられて嬉しそうな、得意げな顔で去っていった。報われないな、伯龍。
ライトが当たるせいか、会場が暑かったなぁ。愛之助丈のお顔に汗が流れているのが見えた。(トークショウでもやたら汗を拭いていたけど、もしかして汗っかきさんなのかな?)

パフォーマンストークショウ
※「だいたいこんな感じのことを言っていた」ということであり、一言一句この通りにお話されたわけではありませんので、ご了承ください。
亀治郎丈、愛之助丈、竹本葵太夫、司会の女性(大学の教授)の4人のトークショウだった。
亀治郎丈と愛之助丈はスーツ、竹本葵太夫は浴衣?で登場。愛之助丈のスーツは紺色に細い白のストライプが入ってた。(平成若衆歌舞伎製作発表の時と同じスーツ?)
愛之助丈のお声は、ポッドキャストなどで聞くよりずっと低かった。いい声だった〜。
『奥州安達原』について。
亀治郎丈 「歌舞伎はスター主義なのだけれど、私はそれに疑問をもっていて、誰が演じても感動できる演目をやりたかった。そうなると義太夫物がいいということになり、その中でも好きな『奥州安達原』を選んだ」→今回は演目をかなりわかりやすく工夫したらしい。
「誰に出てもらうかということが重要で、私はさておき、他はこの世代のベストメンバー」
愛之助丈 「『奥州安達原』は松嶋屋ではほとんどやらない演目で、舞台をやりながら初めて観た。叔父の仁左衛門が宗任をやったことがあるので、『義家はやったことがありますか?』と聞いたら、『知らん』と言われて困ってしまった。それで、梅玉兄さんに教わった。稽古着に着替えてうかがったら、3分ほどでお話が終わってしまった。役の性根をつかんでいれば大丈夫なお役」
竹本葵太夫が『奥州安達原』を亀治郎丈に勧めた張本人らしい。そして、今度は『伊賀道中双六』をやってほしいらしい。
オススメポイント。
亀治郎丈 「{仗は平家の人間なので、切腹の時に白梅(=源氏の旗の色)を血に染めて、心は平家にあるということを示した」
愛之助丈 「羽衣は明日が最終日なので、皆さんお誘いあわせの上見にきてください」
竹本葵太夫 「今日1階席で御覧になった方は、明日はぜひ二階席で御覧ください。亀治郎丈は車が1台買えるほどの三味線を買って熱心意お稽古してました」(←車っていっても、ピンきりだぞ?)
『松廼羽衣』について。
亀治郎丈 「羽衣はつまらない演目。今回は愛之助さんみたいな立派な役者さんに出てもらうので(愛之助丈、照れ笑い? 苦笑い?)、いつもの5倍ほど踊ってもらった。セットもお金がかかっている。松も3倍。家が広かったら持ち帰りたい」
司会 「さしあげますよ?」
今後。
亀治郎丈 「9月の歌舞伎座の後は大河の撮影があるので、舞台はしばらくお休み」
愛之助丈 「10月は松竹座。亀治郎さんは一緒だと思っていた。11月は国立劇場、12月は歌舞伎座顔見世」→歌舞伎座は聞き間違いでした。
竹本葵太夫 「子供歌舞伎で『奥州安達原』をやります」
亀治郎丈が上方歌舞伎の宣伝を始めた。愛之助丈からの説明の途中で、かなり大きな携帯着信音が…(電源切っとけよ!)
愛之助丈 「携帯大丈夫ですか?」(←もしかして、ちょっと怒ってた?)
亀治郎丈 「いくら採算度外視でも、お客さんが入らないと歌舞伎はできない。階段を登るのがイヤとか言わずに見に来てください」(←この劇場のある大学は、入り口が急な階段なので結構大変。「何この階段ー!」などと喋っていたのを聞かれていた??)
もっとたくさん為になることや面白いことをお話していた気がするけど、こんな感じで。
愛之助丈にとって、梅玉丈は「兄さん」なんだ。ほぼ同年代の吉右衛門丈は「播磨屋のおじさま」と呼んでいた気がする。「兄さん」と「おじさん」の境目はどこ?
友達曰く、「戦前、戦後の生まれでわけてるんじゃない?」
…そうなのか?
|