年 (平成年)

桂小米朝と粋な仲間たち U
上方伝統芸能の若きリーダーが集う その和らぎと艶の文化
高槻現代劇場 中ホール

9月16日(土)

配役
15:00開演
構成:水口一夫

一、鼎談
桂小米朝
六代目 片岡愛之助
山村若

一、道具屋
桂しん吉

一、掛取り
桂小米朝

一、遊里の舞踊
 五段返し
 桃太郎
 かんちろりん

立方 山村流六世宗家 山村若
地方 澤千左子社中

一、親子茶屋
桂小米朝

料金、筋書
一般:3,000円
友の会:2,700円
グリーン:2,000円

筋書の販売はなし。(演目、出演者紹介が印刷されたものが配られた。)

その頃、他の劇場では…
歌舞伎座

感想
す列19番で観劇。

鼎談
京都などを歩いていると、甘味屋さんの前に紅い布をかけた四角い腰掛が置いてある。そんな感じの腰掛が舞台に3つ並んでいた。小米朝さんが向かって左側、山村若さんが向かって右側に座って少しお話した後に、愛之助丈が登場して真ん中に座った。愛之助丈はダークグレー(に見えた)の無地のスーツと、どこかで見たようなピンク地にチェックのネクタイ。小米朝さんと山村若さんは和装だった。
以下、トークの内容を少し。

※「だいたいこんな感じのことを言っていた」ということであり、一言一句この通りにお話されたわけではありませんので、ご了承ください。

愛之助丈が登場すると「松嶋屋!」という声がかかった。
小米朝さん「いいですねぇ。私達には屋号がないですから」
山村若さん「実は、うちには『大坂屋』という屋号があるんです」
山村さんのお家はもともと歌舞伎をやっていたので屋号があるのだとか。
愛之助丈が養子になったいきさつを語っていたが、だいたい今まで聞いたお話だった。養子になるから名前を継いだのではなく、年齢が上がったのに「千代丸」という子供の名前のままじゃおかしいから、名前を継ぐことになって、それから養子に…ということだったそうだ。

小米朝さんは「愛之助さん、かっこいいねー」などと愛之助丈をベタ褒めしてくださった。(素顔では、小米朝さんの方がいい男のような気がするんだが… いや、もちろん愛之助丈も素敵だけどね。笑うと可愛いし)
小米朝さん曰く、「化粧をすると仁左衛門さんに似ていて、秀太郎さんの色気もあって、實川延若さん(と聞こえた。違ったらごめんなさい)の雰囲気もある」とのこと。喋りが上手い、とも言ってくれた。愛之助丈はあまりに褒められるので、「来た甲斐がありました」と照れていた。

若伎会と十月花形歌舞伎の宣伝もあった。
「この後御堂会館に行きます」だけでなく「明日もやってます。当日券もあります。松竹座でもチケット売ってます。来てください」まで宣伝してほしかったぞ。
そして、愛之助丈はここでも「BL」について説明していた。小米朝さんと山村若さんに向かって「知ってますか?」って、お二人が知ってたら吃驚だ。
愛之助丈が「ボーイズラブです」と説明すると、日舞が目当てらしい上品なご婦人方がいっせいにチラシを見てふんふんと頷いていて、なんだか申し訳ないような気分になった。(ちなみに、今日配られた「染模様恩愛御書」のチラシでは、裏面に追加発表された配役がフォローされていた。)

小米朝さんが「上方は東京に負けている」というようなことを言ったら、愛之助丈がすかさず「そんなことないです! がんばってます!」と力強く答えて頼もしかった。
が、小米朝さんに「あなたはそうかもしれないけど」と突っ込まれて撃沈。小米朝さん曰く、「関西はひとつにならなくて、ひとつひとつ」なのだとか。
ジャンルを超えた上方文化のグループ「上方風流(かみがたぶり)」がお父さん世代にあったらしく、それを結成しようという話が出た。小米朝さんは去年も若さんと何かやろうと言っていたけど、緞帳が下りた途端に忘れたらしい。(今度は忘れないでください。)

小米朝さんのトークが軽快で面白かったんだけど、笑いながら聞いていたら細かいところは忘れてしまった… 愛之助丈は一生懸命喋っていた。山村若さんは少し控えめだったかな。(愛之助丈は鼎談だけで帰ってしまうので、優先的に話を振ってもらえたのかも。)

道具屋
掛取り

初めて落語を観たので、すごく新鮮だった。
幕が上がったらそこに座ってるわけでなく、歩いて出てきて座るのだとか、座布団をひっくりかえすのだとか、前振り(と言うのかな?)は全然関係ない話のように思えたけど、実は落語の内容とリンクしているとか、じっと座って喋っているのではなく、身振り手振りで意外と動きが激しいとか、とにかく見ていて楽しかった。

しん吉さんの落語も面白かったけど、小米朝さんと比べてしまうと、やっぱりもう少し…なのかなぁと思ってしまった。
小米朝さんは登場人物の声色の使い分けが上手くて、子供、青年、老人、女性と全部声が違った。誰の台詞かがわかりやすいので、話に入り込みやすかった。
歌舞伎の真似をする場面では、歌舞伎の喋り方の特徴がよくとらえてあって、「あー、そうそう! 歌舞伎ってこんな風に喋る」と思った。さりげなく「(その話の登場人物は)特に片岡愛之助が好きらしいな」という台詞を入れてくれて嬉しかった。

遊里の舞踊
 五段返し
 桃太郎
 かんちろりん

山村若さんの舞踊。
登場人物によって踊り分けていて、「これはこういう仕草かな」と考えながら見ていた。踊りはよくわからないのだけど、所作が綺麗だなぁと思った。

親子茶屋
前振りでお父様のことを話されたのだが、これがすごく面白かった。
落語も面白くて、笑い涙が出てきた。これほど笑ったのは久しぶり。「つーろーよー♪ つろーよ♪」が耳について離れない。 落語ってこんなに笑えるものだったんだなぁ。また機会があったら聞きに行きたい。