年 (平成年)

松竹・上方歌舞伎塾卒塾生の会
第一回 若伎会 御堂会館

9月16日(土)〜9月17日(日)

配役
16日(17:00開演)、17日(11:00開演/16:00開演)
実録忠臣蔵 義士銘々伝
制作:五代目 坂東竹三郎

序幕
 松の廊下

浅野内匠頭:片岡千志郎
伊達左京亮:片岡松四朗
吉良上野介:五代目 坂東竹三郎(特別出演)

 江戸城控えの間
浅野内匠頭:片岡千志郎
竹林唯七:片岡當吉郎
片岡源五右衛門:片岡千次郎

 松の廊下
浅野内匠頭:片岡千志郎
伊達左京亮:片岡松四朗
茶坊主珍斉:坂東竹朗
脇坂淡路守:中村鴈祥
梶川与惣兵衛:片岡千蔵(賛助出演)
吉良上野介:五代目 坂東竹三郎(特別出演)

 田村右京太夫邸の場
浅野内匠頭:片岡千志郎
片岡源五右衛門:片岡千次郎
桐島左門:片岡千壽郎
田村右京太夫:片岡佑次郎
大石内蔵之助:片岡松次郎
大石主税:上村純弥

<幕間:20分>

二幕目
 山科大石邸座敷の場

大石内蔵之助:片岡松次郎
妻およし:片岡りき彌
大石主税:上村純弥
お累:坂東竹朗
寺坂吉右衛門:中村鴈大
お累兄甚八:片岡千蔵(賛助出演)
笹屋の花車お品:片岡比奈三(賛助出演)
下男甚兵衛:三代目 片岡當十郎(賛助出演)
内蔵之助母千寿:二代目 片岡秀太郎(特別出演)

 三島本陣座敷の場
大石主税:上村純弥
堀部安兵衛:中村鴈祥
磯貝十郎左衛門:中村鴈大
富森助右衛門:片岡當吉郎
岡島八十右衛門:片岡松四朗
片岡源五右衛門:片岡千次郎
女中おさだ:片岡比奈三(賛助出演)
女中おきた:片岡和之介(賛助出演)
伊藤権左衛門:片岡千蔵(賛助出演)
女将お幸:二代目 中村扇乃丞(賛助出演)
垣見五郎兵衛:四代目 坂東薪車(特別出演)
大石内蔵之助:六代目 片岡 愛之助(特別出演)

<幕間:10分>

三幕目
 赤垣源蔵徳利の別れの場

赤垣源蔵:片岡松次郎
伊左衛門妻おさみ:片岡千次郎
下女お杉:坂東竹雪
下山伊左衛門:片岡佑次郎
下男半助:三代目 片岡當十郎(賛助出演)

 神明通枕水の表の場  枕水亭の座敷の場
小山田庄左衛門:片岡千志郎
枕水亭抱えお雪:片岡千壽郎
枕水亭女将おきん:片岡當史弥
矢田五郎右衛門:坂東竹朗
安井彦右衛門:中村鴈大
枕水亭亭主藤三:片岡千蔵(賛助出演)

大詰
 本所吉良邸討入の場

大石主税:上村純弥
矢頭右衛門七:片岡千壽郎
神崎与五郎:片岡佑次郎
堀部安兵衛:中村鴈祥
不破数右衛門:片岡當吉郎
吉良家付人:中村鴈大
吉良家付人:片岡松四朗
小林平八郎:片岡千次郎
吉良家付人:片岡千蔵(賛助出演)
吉良家付人:三代目 片岡當十郎(賛助出演)

 本懐引き上げの場
大石内蔵之助:片岡松次郎
矢頭右衛門七:片岡千壽郎
大高源吾:片岡千志郎
片岡源五右衛門:片岡千次郎
神崎与五郎:片岡佑次郎
勝田新左衛門:片岡りき彌
岡野金右衛門:坂東竹雪
富森助右衛門:片岡當史弥
堀部安兵衛:中村鴈祥
間十次郎:中村鴈大
不破数右衛門:片岡當吉郎
前原伊助:片岡松四朗
杉野十平次:坂東竹朗
大石主税:上村純弥
吉良上野介:片岡當次郎(賛助出演)

 カーテンコール
瑤泉院:二代目 片岡秀太郎(特別出演)
土屋主税:六代目 片岡 愛之助(特別出演)
垣見五郎兵衛:四代目 坂東薪車(特別出演)
戸田の局:五代目 坂東竹三郎(特別出演)

料金、筋書
全席自由:5,000円
筋書の販売はなし。(ご挨拶、配役の書かれた6ページの冊子?が配られた。)
その頃、他の劇場では…
歌舞伎座

感想
17日昼の部を2列目15番で観劇。

自由席ということで会場の1時間ほど前に並んだら、入り口が見える位置だった。意外というか、拍子抜け。
並んでいる時、周りの方に「愛之助さんのファンならセンターがオススメ。今回は花道まで出てこないし」と教えていただいた。また、ご婦人から「愛之助さんは昔はなかなか役が付かなくて、それで応援しようと思ったファンが多いのよ」ということもうかがった。いろいろお話していただいたおかげで、待っている時間が短く感じられてありがたかった。
えげつない席取りをする人もなく、気が付いたら2列目真ん中あたりの席が取れてしまった。ビックリ。

「忠臣蔵」にはいろいろな話があるけれど、今回のは“忠臣蔵ダイジェスト”という感じで、吉良のいじめ→松の廊下→内匠頭切腹→世を欺く内蔵之助→赤穂浪士の味方→浪士たちの別れの場→落ち零れてしまった浪士→討ち入り→勝ちどき→カーテンコール、という流れでわかりやすかった。しかし、「歌舞伎というより時代劇に近いかなぁ」とも思った。普段はあまり思わないのに、愛之助丈がかな〜りこっっってりしてるように思えたので、卒塾生さんたちがあっさりめだったのではないかと…

卒塾生さんのお顔とお名前が一致しないので、配役表を見ながら舞台を観た。「松次郎丈は本心を隠した難しそうなお役ばかりだなぁ」とか「千志郎丈は二枚目ばかりだなぁ」などと思った。千壽郎丈のお雪がすごく色っぽかった。(十月花形歌舞伎でもあれくらいの濡れ場があるんだろうか…?) りき弥丈は今回みたいなきりっとしたお役の方が似合うと思った。(若衆歌舞伎のときは、脚本のせいもあるけどイマイチ魅力が感じられなかった。) 竹雪丈のお杉は「ごじゃりまする」という言葉遣いで笑いをとっていた。ある意味、一番おいしいお役だったかも。

竹三郎丈の吉良は本当に憎憎しかった。「そこまでやったら、吉良の殿様が可哀相」と思うくらい。笑い方が本当に憎たらしかった。
一幕目が終わったら、竹三郎丈がご挨拶。さっきまでの憎たらしい笑顔はどこへやら、優しそうな笑顔で塾生の頑張りについて語り、「昼の部を見ていいなぁと思ったら、ぜひ夜の部も」とアピール。
台風と帰りの電車の心配と前日の衝動買いさえなければ、夜の部も見てから帰りたかったよ。

二幕目に秀太郎丈が内蔵之助(松次郎丈)の母役で登場。
ちょっとした仕草が綺麗で、思わず視線が吸い寄せられた。「主税(純弥丈)、顔を見せておくれ」という場面から、幕が下りるまですごく泣けた。主税が健気で可愛かった。

愛之助丈が登場したのは、三島本陣座敷の場。
内蔵之助(愛之助丈)が垣見五郎兵衛(薪車丈)の名前を騙っていたら、本人がやって来てさあ大変!という場面。
「通行手形を見せろ」と言われて、白紙の通行手形を渡す内蔵之助。五郎兵衛は白紙の手形に驚くが、袱紗についているご紋を見て彼らが赤穂浪士だと気付く。そして、本物の通行手形を内蔵之助に渡し、自分がニセモノだと言って去っていく。勧進帳を意識したような、行き詰まる場面だった。
お二人はお互いの手を握り締めての大熱演。愛之助丈はどっしりと貫禄があるように見えた。薪車丈はスマートな二枚目だった。
すごくいい場面で、泣けた。が、ふと「通行手形渡しちゃって、あの人どうするんだろう?」と思った。…かなり困るよねぇ?(家来達はどえりゃー迷惑だ。)

この後、源蔵(松次郎丈)が不在の兄(佑次郎丈)の紋付を前に別れの酒を飲む場面で泣き、庄左衛門(千志郎丈)が酒と女で失敗した場面で少し笑い、あっという間に大詰。
最後の大立ち回りは、舞台が近かったこともあって迫力があった。雪をかけあう場面には笑ったけど。(その後で、寒そうに手にはぁーっと息をかけるところが可愛いと思った。)
「あれ? あの人薪車さんに似てるけど、配役表に薪車さんの名前はないぞ。誰?」と思っていたら、どうやら御本人だったようだ。
時間の都合か、吉良を討つ場面が短かったのが残念だったかな。あと、首を落としてから槍にくくりつけるまでが早過ぎるとか、首が小さすぎるとか、その辺りがツッコミドコロだった。

勝ちどきを上げた後、ずらりと並んだ卒塾生さんの前に、向かって左から薪車丈、愛之助丈、秀太郎丈、竹三郎丈の順に並んで、カーテンコール。薪車丈以外は物語には登場しなかった人物の衣装だった。なぜ? 配役に「土屋主税 片岡愛之助」って書いてあったから、討ち入りの様子をわくわくしながらうかがっている愛之助丈が見られると思ったのになぁ。
秀太郎丈がご挨拶で「竹三郎さんが制作、企画、演出… すべてなさって」というようなことを話したら、竹三郎丈が恥ずかしそうにお顔を隠していた。竹三郎丈のおかげで、今日のお芝居を観ることができたんだなぁ。ありがたや。それから、「私達も端役でいいから出させてください、と言ったら、こんないいお役を頂いて…」とすらすらとご挨拶。ちょうど目の前に秀太郎丈と愛之助丈が立っていて嬉しかった。後ろにずらりと並ぶ卒塾生さんたちは少し緊張の面持ちだったような…?

そんなこんなで15:00過ぎに終了。外に出ると、夜の部の会場を待つ人がずら〜っと並んでいた。昼の部は満席ではなかったけど、ずいぶんと後ろの方まで客席が埋まっていて盛況だった。
最初、見に行こうかどうか迷っていたけど、行ってよかった。泣いて笑って、最後はすっきりと終わるお芝居で後味もよく帰ることができた。卒塾生さんのお顔もだいぶ覚えた(…はず)。
二回目、三回目とぜひ続けていただきたい。