年 (平成年)

11月歌舞伎公演 国立劇場

11月3日(土)〜11月26日(月)

配役
11:30開演(8日は16:00開演)
通し狂言 摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)
序幕 住吉社前松原の場(11:30-11:55)
二幕目 高安館表書院の場、奥御殿庭先の場、河内国竜田越の場(12:00-12:50)
三幕目 天王寺南門前の場、万代池の場(13:20-14:00)
四幕目 合邦庵室の場(14:15-15:45)

玉手御前:四代目 坂田藤十郎
誉田妻羽曳野:二代目 片岡秀太郎
高安俊徳丸:十代目 坂東三津五郎
奴入平:五代目 中村翫雀
浅香姫:三代目 中村扇雀
高安次郎丸:初代 片岡進之介
誉田主税之助:六代目 片岡愛之助
合邦妻おとく:六代目 上村吉弥
桟図書:五代目 坂東秀調
高安通俊:八代目 坂東彦三郎
合邦道心:五代目 片岡我當

筋書
愛之助丈関連
30ページ:出演者のことば(1/3ページ、素顔写真あり、カラー)
グッズ
ガーゼ手拭い(菊):500円
ガーゼハンカチ(傘):450円
料金
特別席:12,000円(学生8,400円)
1等A席:9,200円(学生6,400円)
1等B席:6,100円(学生4,300円)
2等席:2,500円(学生1,800円)
3等席:1,500円(学生1,100円)
筋書:800円
社会人のための歌舞伎入門
11月16日(金)
解説「義太夫狂言の楽しみ方」
「摂州合邦辻」合邦庵室の場 一幕

1等:5,000円(学生4,500円)
2等:2,500円(学生1,800円)
3等:1,500円(学生1,100円)

その頃、他の劇場では…
歌舞伎座
巡業
巡業

雑誌
『演劇界』2008年1月号→演劇界 2008年 01月号 [雑誌]
愛之助丈関連
86〜88ページ:舞台写真「摂州合邦辻」誉田主税之助(モノクロ 3枚)
98〜99ページ:「摂州合邦辻」の劇評
その他未確認

感想
17日に前方中央で観劇。
あらすじを読んだ時は「何、このメチャクチャな話…」と思ったが、舞台を観たらすんなり納得できてしまうのが不思議。

花道から俊徳丸(三津五郎丈)と玉手御前(藤十郎丈)が登場。
最初こそ「やっぱり実年齢は隠せないなぁ」と思ったが、物語が進むにつれて実年齢がわからなくなってくるのも不思議。
続いて、次郎丸(進之介丈)と桟図書(秀調丈)が登場。次郎丸は敵役だが、白塗りでオマヌケさん。「エッヘン!」という感じだった。(←何だ、そりゃ?)
次郎丸は、俊徳丸を殺して家督を継ぎたい様子。俊徳丸は、玉手御前に毒を盛られて醜い顔になってしまう。

迫る玉手御前、逃げる俊徳丸、企む次郎丸…と、話は進む。
玉手御前と羽曳野(秀太郎丈)の女の戦いがすごかった。バチバチと火花が散っているようだ。
「母が子を見舞うのに問題があるの?」と言う玉手御前に、「近頃は母と言っても油断できないのよ」ってな嫌味を言う口調や、玉手御前をイヤそ〜に見る目付きが女性っぽいと思った。秀太郎丈はすごく女性を観察してるんだろうなぁ。

この女性二人は、舌戦だけでなく立ち回りも繰り広げる。
家出した俊徳丸を追おうとする玉手御前と、行く手を阻む羽曳野。女の戦いは恐ろしい。
玉手御前の当身をくらい、羽曳野が倒れたところに、夫・主税之助(愛之助丈)がやってくる。先月の白塗りとは打って変わって、どっしりとしたお侍だった。
主税之助は出番が少ないけれど、舌先三寸で綸旨を取り返したり、立ち回りで見得をしたり、桟図書をばっさりと斬り捨てたり、とってもいいお役だった。

入平(翫雀丈)が浅香姫(扇雀丈)を探している。
そして、合邦(我當丈)が木彫りの閻魔様を乗せた車を引いて、花道から登場。
見るからに好々爺で、参詣人と踊ったりして、和むなぁ。
一方、俊徳丸はすっかり落ちぶれてかまぼこ小屋の住人になっていた。襤褸をまとい、杖をついてヨロヨロと歩いていても、どこか上品で“薄幸の美男”という感じだった。
そこへ現れた浅香姫。最初、乞食を見て「あら、臭うわ」みたいに眉をひそめた。それが俊徳丸とわかっても、見捨てずに喜ぶところが健気だなぁ。

今度は次郎丸が家来を引き連れやってきて、浅香姫を奪おうとする。
入平は浅香姫と俊徳丸を逃がし、家来を相手に立ち回り。その間に、次郎丸がぴょこぴょこと二人の後を追い、姫を連れ去ろうとする。絶体絶命かと思いきや、合邦が助けに入り、浅香姫は俊徳丸を乗せた車を引っ張って逃げる。お手手つないで走るわけにはいかないんだろうか? 車を引いた方が早いのか…?
次郎丸はお池に投げられ、さあタイヘン。あの衣装で池に投げられたら溺れちゃうじゃん… と、思ったが、最後に名前が出てきたので、泳げたらしい。

いよいよ、大詰。
幕が開き、「美吉屋!」の声で、座っているおばあさんがおとく(吉弥丈)だとわかった。
先月はあんなに色っぽい美女だったのに、猫背の可愛いおばあちゃんになっていた。(←「それにしても、玉手御前はいくつの時の子供なんだ?」と野暮なことを考えた。) 役者さんって、つくづくスゴイ。
おとくと合邦は亡くなった(と思っている)玉手御前の供養をしている。
ここで、今回のチラシの場面になる。花道から玉手御前が登場すると、客席にも緊張感が流れた気がした。

玉手御前「かかさん、かかさん、ここ開けて」
おとくは開けようとするが、合邦は許さない。おとくの「幽霊でも狸でも狐でもいいから一目会いたい。恐ろしいものでもかまわない」という台詞が泣ける。
結局、外にいるのは幽霊だということにして、戸を開けることにするのだが、
合邦「茶漬けでも出し…」(ハッとして、黙る)
泣かせつつ、笑わせるなぁ。

玉手御前はあくまでも「俊徳様と夫婦になりたい」と言い張る。「フン!」とか、ツンとする仕草が可愛い。
俊徳丸に毒をもったことを白状し、なおも俊徳丸に迫る。ここで浅香姫と女の戦いが勃発。
浅香姫「俊徳様を元に戻しなさいよ!」
玉手御前「邪魔しやったら蹴殺す!」
すごい迫力。玉手御前は嫉妬に狂って目がイッちゃってる。
とうとう、合邦が玉手御前に刀を突き刺した。
ここで、玉手御前の口から真実が語られ、俊徳丸の病は治る。
最後、主税之助が「俊徳丸の家督相続が認められた」と告げにきて、玉手御前は満足そうな表情で息を引き取る。

面白かった〜。
とっても濃いお芝居だった。
特に、大詰はじーっと見入っていたから、終わった後に少し疲れてしまった。(まあ、早い時間に帰れるし、新幹線でも寝るからいいんだけど。)
次は南座の顔見世。1年経つのが早いなぁ…


↑半蔵門駅の壁画