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感想 一回目 |
昼の部 7日に前方花道横で観劇。
鳴神
雲の絶間姫の何か企んでいる感じや、してやったりな表情が可愛かった。途中で、鳴神上人と立場が逆転するところが面白かった。「名前が抹香臭くてイヤ!」「あたしのお酒が飲めないの!?」って、さっきまでのしおらしいお姫様はどこ行った? めっきり弱くなって言うことを聞いてしまう上人様の情けない姿に笑ってしまった。 上人様は騙されたと気付いた時、直毛のアフロ(←それってアフロ?)みたいに髪が逆立ち、白塗りだったお顔に隈取が入って形相が変わる。衣装がぶっかえった後は大暴れ。怒り心頭で絶間姫の姫を追いかけていく。例えるなら、ホテルに女性を連れ込んだら、酔い潰されて有り金すられて逃げられた男? 禁欲生活を破ろうとした分、いろいろと爆発したんだろうな。可哀相に(笑)。←笑うな。
歌舞伎十八番って格調の高いものかと思い込んでいたけど、面白かった。
橋弁慶
弁慶(愛之助丈)が従者(宗之助丈)から牛若丸(壱太郎丈)の噂を聞き、外出を控えようとする。しかし、「弁慶ともあろう者が…」と思い直して飛び出していく。弁慶は堂々としていて貫禄があるように見えた。
弁慶は少しだけ衣装(頭巾?)を変えて再登場。
義経千本桜
弁慶(歌六丈)が安徳帝をまたごうとする場面はなく、相模五郎(愛之助丈)と入江丹蔵(男女蔵丈)がやってきて、お柳=典侍の局(秀太郎丈)に絡み始めた。愛之助丈は楽しそうに演じているなぁと思った。マヌケなんだけど、愛嬌があって可愛いのだ。
相模&入江は、魚尽くしや曲げられた刀を鞘に収めるところなどをひょうきんにこなし、愉快に退場する。その間、煙管の煙をくゆらせている銀平が素敵だった。お柳が義経(海老蔵丈)に“うちの亭主自慢”をしたくなるのも納得のかっこよさ。
衣装を改めた典侍の局の元へ相模五郎が御注進にやってくる。額にドクロをつけている。そういえば、さっきまで肌色だったのに、白塗りになってるな。見得をしつつ戦況をつげ、再び戦場に戻っていく。浅草の入江役もよかったけど、相模役もいい。
御注進が去り、女官達が覚悟を決めるところで、安徳帝がおやすみ体制に入っている。体がくたーっと黒衣さんにもたれていて、客席からも眠そうなのがよくわかる。
浅草の七之助丈は安徳帝を軽々と抱え上げ、崖の方まで歩いていったが、秀太郎丈は黒衣さんの力を借りてその場で抱っこしただけ。流石に、年齢的につらいよね。秀太郎丈の典侍の局は、帝を気遣う仕草が優しげで、本当に大事にお育てしたんだなぁという感じが出ていた。
やがて幕が開き、満身創痍の知盛が花道から現れ、敵を蹴散らす。口から血を吐いたり、身体にささった矢を抜いて舐める場面は浅草になかったように思う。悪鬼のごとく、すごい迫力だ。(悪鬼にしてはいい男過ぎるけどな。)
目の前で仁左衛門丈が大熱演だというのに、私の頭の中は「えーっ!? じゃあ、『義経が情け、仇に思うな』の台詞はどうなるの??」でいっぱいになってしまう。結局、典侍の局が自害する時に、上手く台詞に織り込んで知盛に伝えていた。
子役といえどもプロはプロ、というのは、見るからに小さな子供には酷かもしれない。 時間があったら、昔のDVDでも観てみようかな。
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夜の部 7日に前方中央で観劇。
鳥辺山心中
愛之助丈は綺麗だったのだけれど、半九郎という人物はあまり好きになれないなぁ。酒の勢いで人を殺し、後から呆然とする辺りがちょっと…(そこでじたばた騒がずに死を覚悟するのはいいんだけど。) お染もひたすら悲しみ嘆いて泣くだけで、魅力が薄い。
身替座禅 玉の井(歌六丈)は声にやたらドスをきかせたりせず、ニタ〜ッと笑うこともなく、あまり崩していなかった。上品だけど迫力は満点だった(笑)。浅草みたいにドカンドカンとは受けてなかったけど、観客が大爆笑するようでは奥方が可哀相なので、ちょうどよかったんじゃないかなぁ。(受ければいいってもんじゃないしね。) 太郎冠者(愛之助丈)はトホホな感じがよく出ていたと思う。情けないお役もいいな。(←所詮は盲目ファンなので、結局は何でもいいらしい。) 千枝(宗之助丈)と小枝(壱太郎丈)が可愛かった。
女殺油地獄
お吉(孝太郎丈)はしっかり者の世話焼き女房という感じだった。
油の中での殺しはすごかった。ツルン、バタン、ツルン、ドタンと大変そう。お吉の髪を掴んで、刀を振り上げて目をむく場面は怖かった。
最後に、与兵衛がブルブルと震えながら花道を引っ込む場面。 |
おまけ 今年も「関西歌舞伎を愛する会」で『大向こう』のバックナンバーなどを売っていた。あまりゆっくり見られなかったけど、とりあえず36号だけゲット。
お昼の幕間には地下2階の「たちばな」で「豆腐御膳」をいただく。これで1500円とは安い。お腹一杯になってしまった。
夜は売店のお弁当「花姿」を購入。小さいのを選んだのだが、半分くらいしか食べられなかった。勿体無いので、ホテルで食べた。
最終の新幹線には間に合う時間だったが、夜遅くにタクシーを使って帰るくらいなら、一泊してのんびり帰ることにした。
モンブランを味わいながら、ふと「橋弁慶」だけ幕見して帰ろうと思いつく。まだ1時間以上あったけど、なんばなら時間を潰すのは楽だろうということで、チケットを購入。
幕見と言っても、三階席の後列なのでオペラグラスを使えば役者さんの表情まではっきりと見える。
帰りに、松竹座向かいの「アンドリューのエッグタルト」でエッグタルトをお土産に購入。 |
感想 二回目 |
2回目なので、簡単に。
夜の部
鳥辺山心中
源三郎は強そうに見えるけど、泥酔状態の半九郎(愛之助丈)にやられちゃったし、口ばかり達者で意外と弱いのだろうか。それとも、半様が酔っ払って強くなるタイプなのか? 余裕かましていたくせに、いきなりプチッと切れちゃうし、半様はスイッチON/OFFが激しいな。
身替座禅
女殺油地獄
まず、与兵衛(仁左衛門丈)が登場した時、「若い!」と思った。お吉(孝太郎丈)の方がお姉さんに見えたもの。そして、「ああ、こんなタイプなら、思わず世話を焼いてしまうかも」という可愛げがあった。 七左衛門(愛之助丈)は前見た時よりせっかちになっていた気がする。お吉が与兵衛に「うちの人が帰ってきたら(借金を)頼みなさい」と言っていたけど、あの様子じゃ絶対に貸してくれないだろうなぁ。子煩悩だし、よく働くし、夫にするにはいいタイプだと思うけどね。
仁左衛門丈がおっしゃっていたように、殺しの途中から与兵衛の表情に「残虐性がにじみ出」て、非常に恐ろしかった。「狂気」という言葉がぴったりの表情だと思った。
それにしても、大阪のオバチャンは芝居中でもうるさくてかなわん… |
昼の部 22日に2階1列目中央で観劇。
鳴神
海老蔵丈の鳴神上人は座っているだけでも目からビームが出そうな眼力だったが、愛之助丈の鳴神上人はそれに比べると優しげで少し人がよさそうにも見えた。 優しげな上人様ではあったけど、ぶっ返ってからは迫力があった。柱のところで見得をして、のっしのっしと歩く姿は立派だったと思う。(←贔屓目?) 最後の六方は、幕見席ではスッポン辺りまで、二階からは半分くらいまで見える。ああ、花道が全部見える席を取っておけばよかったなぁ。 そうそう、岩の上からトンボを返った所化さんがすごかった。客席から驚きの声が上がっていた。後ろの紳士が「あそこまでやっても、名前も載らないのか」と話していた。筋書でお名前がわかるといいよね。
橋弁慶
義経千本桜 渡海屋 大物浦
やはり、最期に安徳帝がいると全然違う。
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