年 (平成年)

第二回 若伎会 ワッハホール

8月3日(金)〜8月4日(土)

配役
3日 17:00開演、4日 11:00開演/16:00開演
一、義士外伝 神崎東下り(かんざきあずまくだり)
演出:奈河彰輔

三島宿棒鼻茶店の場
馬方丑五郎:片岡千次郎
藤屋亭主仁助:中村鴈大
藤屋女房おなつ:片岡當史弥
下女おたけ:中村鴈祥
神崎与五郎:片岡佑次郎
下女おとら:片岡比奈三(賛助出演)

元の茶店表の場
馬方丑五郎:片岡千次郎
藤屋亭主仁助:中村鴈大
藤屋女房おなつ:片岡當史弥
下女おたけ:中村鴈祥
宿屋の客清吉:片岡松之
宿屋の客五八:片岡當吉郎
本陣の番頭:片岡千志郎
本陣三郎兵衛:片岡松四朗
講釈師盛山:坂東竹朗
宿屋の客幸兵衛:片岡千蔵(賛助出演)
下女おとら:片岡比奈三(賛助出演)

<幕間:25分>

二、露路の雨(ろじのあめ)
作:郷田悳
演出:水口一夫

船場ぜに屋の台所辺り
袋物職人庄吉:片岡松次郎
女房おたき:片岡千壽郎
女中お蝶:片岡りき弥
女中おたね:上村純弥
女中おとり:片岡松之
丁稚与吉:片岡當吉郎
番頭幸七:片岡千志郎
ぜに屋御寮人おしん:坂東竹雪

夜の路上で
袋物職人庄吉:片岡松次郎
女房おたき:片岡千壽郎
夜泣きうどん屋半助:中村鴈大
金物屋藤蔵:五代目 坂東竹三郎(特別出演)
風呂帰り忠松:四代目 坂東薪車(特別出演)
若い男宗次郎:六代目 片岡愛之助(特別出演)
若い女お秀:二代目 片岡秀太郎(特別出演)

露地の家
袋物職人庄吉:片岡松次郎
女房おたき:片岡千壽郎
おたき弟伝吉:中村鴈祥

<幕間:15分>

三、舞踊 あやめ浴衣(あやめゆかた)
振付:山村若

若い男:片岡佑次郎
若い男:片岡千志郎
若い男:片岡松四朗
芸者:片岡當史弥
芸者:上村純弥
芸者:坂東竹朗

料金
全席自由:5,000円
筋書の販売はなし。(ご挨拶、配役の書かれた6ページの冊子?が配られた。)
その頃、他の劇場では…
歌舞伎座

雑誌
『演劇界』2007年11月号→演劇界 2007年 11月号 [雑誌]
愛之助丈関連
107ページ:舞台写真「蝉しぐれ」牧文四郎(モノクロ 2枚)
112ページ:舞台写真「露路の雨」宗次郎(モノクロ 1枚)
122ページ:「蝉しぐれ」の劇評
125ページ:「若伎会」「竹登会」「上方歌舞伎会」の劇評
132ページ:「梨園薫華艶」恋飛脚大和往来 片岡愛之助の忠兵衛(絵・文=榎その)
138ページ下部:「愛之助が楳茂都流家元後継者に」(梅咲さんとの2ショット写真あり、モノクロ)

感想
1時間くらい前に行ったら、結構な人が並んでいた。満員御礼だったらしい。
待ち時間中はご婦人にいろいろとお話をしていただいた。そのご婦人は「竹登会」と「上方歌舞伎会」も御覧になる予定だとか。


↑席からの眺め

4日昼の部を前方花道横で観劇。

義士外伝 神崎東下り
神崎与五郎(佑次郎丈)が茶店で休んでいると、ならず者の丑五郎(千次郎丈)が「馬に乗れ」としつこく勧める。
与五郎は「馬は嫌いじゃ!」と言ったばかりに、「お侍は『いざ、鎌倉』って時にまっさきに駆けつけなきゃいけない。馬が嫌いだなんて侍じゃない。役者だろう」と散々に絡まれる。

丑五郎がすごく嫌なヤツで、おまけに汚い(笑)。顔は黒く汚れているし、着物はボロだし、登場した時思わず「汚ーっ!」と思ってしまった。「平成若衆歌舞伎」の筋書で確認したら、千次郎丈は割と整ったお顔をしていた。(メイクであれだけ変わるのね…) 散々に悪態をつく嫌なヤツなんだけど、演じている方は面白いだろうな。汗をだらだら流しての熱演だった。もうちょっと愛嬌があったらよかったかなぁと思った。(「敵討天下茶屋聚」の元右衛門みたいに、ムカツクんだけど笑っちゃうような感じで。)

与五郎は何度か刀を抜きかけるが、大事の前に事を荒立てまいとぐっとこらえる。私は写真でしか見たことがないけど、『木の実』の権太と小金吾みたいな形になるところがあった。
与五郎は手をついて詫びを入れさせられ、詫び状まで書かされ、散々な目にあって江戸へ下る。じっと耐えるばっかりで辛そうなお役だなぁ。ストレス溜まりそうだ。

時は流れ、辻講釈の盛山(竹朗丈)がやってきて赤穂浪士の討ち入りが様子を語る。盛山さんの髪型が八嶋さんの武田観柳斎みたいで少し笑ってしまった。扇子でベベンベンッ♪と机を叩いて講釈していた。講釈を最後まで聞きたかったな。(一番いいところで中断されちゃったから…)
その講釈中に、丑五郎は昔絡んだ侍が義士だと知り、後悔する。そして、改心して僧になって、与五郎の墓参り旅に出ることにする。最後は念仏を唱えながら幕。

休憩は25分。
外に出てたこ焼きを食す。久しぶりに食べたなぁ。鈴鹿サーキットでレースを見るときは主食になるんだけど。
めちゃくちゃ熱かった。ミネラルウォーターで流し込みながら食べたけど、口の中を火傷した…


↑外で食べる時は、海苔はなし。(歯につくから)

露路の雨
おたき(千壽郎)は夫・庄吉(松次郎丈)の愚痴と弟・伝吉(鴈祥丈)の自慢話が癖になっている。庄吉は頼まれたら嫌と言えないタイプなのか、次々と雑用を頼まれてしまう。顔はいいんだけど冴えない、でも朴訥でいい人という感じだった。稼ぎは悪いかもしれないけど、夫にするにはいいタイプかも。浮気しなさそうだし。
器量よしのおたきは「なんであんな男と結婚しちゃったのかしら?」と言いつつも、心の奥では庄吉が好きで、それを認めたくないという感じがした。
女中3人(りき弥丈、純弥丈、松之丈)がきゃいきゃい話している様子が可愛かった。

お店のお金30両が盗まれ、その場にいた庄吉に疑いがかかり、夜の路上の場面に移る。
ここで若い女お秀(秀太郎丈)が登場。女中3人に負けないくらいのきゃぴきゃぴ振りで、宗次郎(愛之助丈)に「あんた、浮気したやろー!」と絡む。袖でぴしぴし宗次郎を叩き、宗次郎は苦笑いしていた。宗次郎は白塗り。

宗次郎「あてがほんとに好きなのはあんただけや」←お秀の肩を抱いて、色男ぶりを発揮
お秀「じゃあ結婚してくれる?」
宗次郎「それはちょっと…」
お秀「おかあちゃん(お父ちゃんだったかも)に言うてやる!」
ここで、「結婚してくれなきゃ、死ぬ死ぬ死ぬー!」と、お秀大爆発。

「じゃかーしい!」と藤蔵(竹三郎丈)が戸を開けて登場。毎晩毎晩こんな調子で寝られないらしい。それはご愁傷様(笑)。「明日から枕をあっちにしよ」とか言っていた。
風呂帰りの忠松(薪車丈)が現れて、宗次郎とぶつかる。(この辺り、順番はあいまい) すれ違いざまにお秀が「あら、ええ男」と笑いを取っていた。
藤蔵が忠松に「あんたもいい相手を見つけなはれ」とか何とか会話して、特別出演の場面は終了。この四方、やっぱり濃ゆいわ(笑)。

暗い顔したおたきと庄吉が花道からやってくる。
庄吉は自分が疑われたことがショックで「別れよう」と言う。おたきは「そんな怖いことしたあんたとは別れられない」と言う。藤蔵がまたも「うるさい!」と登場して、重い場面を少し軽くしていた。

自棄酒を飲む庄吉が可哀相で… 「うちの人は冴えない男だけど、盗みをする人じゃない!」って言って欲しかったんだろうなぁ。
家に帰ると、江戸から帰ってきた伝吉が戸の前にいた。庄吉とは面識があるらしい。この辺りで、展開は読める。

おたきに酒を買いに行かせ、庄吉と伝吉が2人で話す。伝吉は博打ですってんてんにされてしまい、「弟が江戸で出世した」と喜んでいる姉を失望させたくないばかりに盗みを働いてしまったらしい。いつの間にか戻ってきたおたきが戸口で聞き耳を立てている。
伝吉が2両ばかり土産代に使ってしまったというので、庄吉は自分の蓄えから2両を出す。残りの金は路銀として伝吉に渡し、「店の者に顔を見られているかもしれないから、早く江戸に戻れ」と言う。庄吉、いい男だなぁ。

伝吉を送り出した後、「実は俺が盗んだんだ。お前、謝ってくれるだろ」と切り出す庄吉。おたきは泣き崩れ、二人は打ち解ける。
このあたりのやりとりが良かった〜。おたきが真実を打ち明けると言うと、庄吉は「私達の弟が…」と止める。
おたきが「私達の弟より、私のダンナが大事」と言った時は、「庄吉、よかったね」と思った。
最後は、2人仲良く相合傘で花道を引っ込む。おたきが相合傘を嫌がって、庄吉が一人ずぶ濡れになった話が最後の伏線になっていたんだな。

いい話だったー。途中でオチ(←?)は見えたんだけど、涙ぐんでしまった。
千壽郎丈はこってりした美人、松次郎丈はさっぱりしたいい男という感じでお似合いだった。

あやめ浴衣
あやめ模様の浴衣にあやめを持った男女6人の踊り。綺麗どころが揃っていたな。
踊りはわからないので、ぼーっと見ていた。

カーテンコール
「あやめ浴衣」の6人が並び、他の塾生さんもこしらえ姿で登場。千次郎丈は丑五郎の姿で「ちょっと可哀相かも」と思ったが、受けを取っていたようなので、おいしかったのかも。
数回お辞儀をした後に、愛之助丈、秀太郎丈、竹三郎丈、薪車丈の順に登場。前者2人はスーツ姿、後者2人はこしらえ姿。愛之助丈はダークグレーのスーツに黒シャツ、ノータイ。クールビズですな。

そこで、秀太郎丈のご挨拶。
観客へのお礼と塾生の頑張りと来週の「竹登会」の宣伝。
「若伎会」に比べると「竹登会」の売れ行きがよくないらしく(←「若伎会」が売れ過ぎなのでは?)、ぜひ来てくださいとのこと。小さく手を合わせて客席に視線を送る薪車丈の姿が可愛かった。
この回は竹雪丈と佑次郎丈がご挨拶(←間違ってたらごめんなさい)。
竹三郎丈の音頭で大阪締め。が、最後の言葉(「におうて三度」?←正しくは「祝うて三度」だそうです)を忘れてしまったらしく、秀太郎丈がフォローしていた。

あまり見る機会のなさそうな演目も見ることができたし、面白かった。
来年もぜひ「若伎会」を続けていただきたい。

終了後、代役の舞台写真が載った筋書を買いに松竹座へ行った。 愛之助丈の鳴神上人は2枚(破戒前と破戒後)、薪車丈の義経は1枚。 仁左衛門丈の与兵衛がたくさん載っていて嬉しい。