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感想 初日 |
2日に前方花道横で観劇。
場面転換が非常に多く、ピンスポット→暗転というパターンが多かったが、物語をぶつ切りされるような感じではなかった。私は原作小説もドラマも映画も観ていないのだが、話の筋や登場人物の性格がわかりやすかったので、上手にまとめられた脚本なのではないかなぁ。(原作を読んでいたら、物足りなく思ったかもしれないけど。)
物語の筋を全部追っていると長くなるので、印象に残った場面など。
愛之助丈は前髪姿で、声も若く作っていて可愛い。
文四郎の親友二人の小和田逸平(松村雄基さん)と島崎与之助(野田晋市さん)がそろって出てくる場面は何だかほっとした。
幼い恋と友情物語だったのが、助左衛門が切腹を命じられてから、俄然重い話になる。
お福が江戸に行く日、文四郎に別れを告げにくるが、会えなかった。追いつけない文四郎と、後ろを振り返りながら旅立つお福の姿が重なる場面が切なかったな。
文四郎は元服したり、道場の師範代となったり、旧録に復すことを許されたり、先代藩主の弟で今はご隠居の加治織部正(長谷川哲夫さん)から秘剣を伝授されたり… まあいろいろあって物語は進む。
“お福様”として登場するお福は見違えるように綺麗だった。(いや、元から綺麗だけどね。) 会場からため息が聞こえたよ。文四郎の驚きを隠せない表情が印象的。
文四郎とお福が乗った小舟は花道を通ってくる。リモコンで制御してるんだろうか? 近くで拝見しても、相田さんはめちゃくちゃ綺麗だった。私より○つも年上だなんて信じられない! 家老の屋敷に乗り込み、それでも家老を斬ることなく去っていく時の文四郎の表情がよかったなぁ。父の敵で、お福を狙う憎い相手で、斬りたかっただろうになぁ。
文四郎とお福様との今生の別れはしんみりと切なかった。互いに好きなのに、昔のように「福!」と呼んで、抱きしめるだけ。
なんとも切ない幕切れだった。
ロビーには秀太郎丈のお姿があった。(ロビーに出るたびにお見かけしたような…)
今回は割と花道を使っているので、これからチケットを取ろうという方は、花道付近を狙うといいかもしれません。そして、涙腺の弱い方は、薄化粧で劇場に行くことをオススメします。 |
「蝉しぐれ」つれづれに |
松竹座の「蝉しぐれ」初日から一夜明けたが、ふと気付くとぼんやり舞台のことを考えている。
文四郎(愛之助丈)とお福(相田翔子さん)が小舟に乗って逃げるとき、「上方歌舞伎なら、ここで『一緒に逃げよう』『一緒に死のう』って言ったかな」などと考えた。
ああ、もう一回観たいなぁ。(←もう一回どころか、もう二回分チケット取ってあるけどな。)
初日が終わったら観ようと思っていた映画版、読もうと思っていた原作小説は手付かずのまま。今月いっぱいは舞台版「蝉しぐれ」にはまっていてもいいかな、と思っている。 |
感想 中日 |
15日昼の部を前方花道横で観劇。 2回目なので簡単に。(←「とにかくよかった!」という感想にしかならないので…)
まずは訂正。
前回も前の方の席だったが、今回はさらに前の席だったので、目が悪くてもいろいろ(見えなくていいものも)見えた。 逸平(松村雄基さん)は「歴史書編纂(だったと思う)」が上手く言えなくて、言い直していた。照れ笑い(?)までもが爽やかだった。藤井様(松山政路さん)の「お前は舌も回らんしな」というアドリブに客席が受けていた。でも、藤井様も台詞があやしかった気がするんだけど…(←「助命嘆願」のところ) 話が前後するが、逸平が砧屋で「出た! 妖怪」って言ったのは、松村さんのアドリブかな?
欅御殿に乗り込む場面は暗闇+「お頼み申す!」の声だけになっていた。その分、場面転換が1つ減ったのはよかったかも。
小舟を漕いでいく場面、初日は舟が岸にガツンとぶつかっていたけど、今日はスムーズに止まった。文四郎が手を差し出すが、お福はなかなかその手を握らない。岸に渡ってしまったらお別れだからかな、などとロマンチ(笑)なことを考えた。
最後の「今生の名残」の場面は、初日より文四郎の感情がストレートに出ていた気がする。この辺りになると、声もずっしりしていて貫禄がある。
子供のことを問われて、文四郎が苦しそうに答える。一番聞かれたくないことだったんだろうな。(そういう時代とはいえ、文四郎の奥さんが可哀相かも)
文四郎もお福も泣いていた。最後に花道を引っ込む時、涙に濡れたお福の顔がすごく綺麗だったのが印象に残ってる。(相田さんのマスカラは全然落ちてなかった。すごい。)
初日の観客は気合が入っているせいか、やたらめったら拍手が起こっていたけど、今日は拍手が少なかった。 |
おまけ |
愛之助丈の舞台写真は5枚出ていた。 意外と少ないと思ったが、20枚も出されると破産するのでこのくらいでいいかも。 ハンカチや手拭の種類が減ってた。特に、文四郎&お福の絵の入ってるものは少なくなっていた。
前から見て「ペンギン!?」と思ったら…
フグだった。(←普通は見間違えないと思うぞ。) |
感想 千穐楽 |
24日に中央花道寄りで観劇。
終わっちゃったなぁ…
以前観た時と変わってたかな、と思ったこと。(以前は気付かなかっただけかもしれない。) 土手で悪童にやられた後も逸平は二人にタックルみたいなことをしていた。最後に与之助に蹴りを入れて去っていく悪童(役者さんがわかりません。ごめんなさい)が「山根さん、待ってぇ〜」と情けない声を上げて、皆の後を追っていくのには客席が受けてた。憎らしいんだけど、ちょっと憎めない感じがした。出世して帰ってきた与之助は「いつもより余分にふんぞり返っています」状態だった。与之助、いいキャラだよな〜。和むわ〜。
父の遺体を運ぶ時、山根(片岡暁孝さん)に「しっかりせんか、牧文四郎! 腰がふらついとるぞ!」と言われた後、文四郎が悔しそうに「何だよぅ」と言っていた。(前見た時はなかった気がする。) そして、お福(相田翔子さん)が荷車に手を貸し、「ふくは平気です!」と言った後、文四郎の「ふくぅ〜」という声が少し甘えた感じで、「ああ、文四郎だなぁ」と私は思った。(原作を読んだら、イメージが変わるかもしれないが。) 今回は少し離れた席だったので、小舟から下りる前に文四郎と見つめ合うお福の顔がよく見えた。大きな瞳がうるうるしていて美しかった。そこから加治様(長谷川哲夫さん)のお屋敷まで、和子を抱いて二人で歩く場面はとても綺麗だった。「文四郎さんの御子が私の子で、私の子が文四郎さんの御子であるような道はなかったのでしょうか」というお福の台詞を思ってうるっと来た。物語がわかってしまっているので、後につながる一見なんでもないような場面でも泣きそうになって困ったよ。
千穐楽だけあって、観客の拍手にも気合が入っているように思えた。
はー、いいお芝居だった。
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