年 (平成年)

歌舞伎座百二十年
三月大歌舞伎 歌舞伎座

3月2日(日)〜3月26日(水)

配役

昼の部(11:00開演)
一、春の寿(はるのことぶき)11:00-11:43
<三番叟>

翁:五代目 片岡我當
三番叟:三代目 中村歌昇
三番叟:五代目 中村翫雀
千歳:初代 片岡進之介

<萬歳>
萬歳:四代目 中村梅玉

<屋敷娘>
お梅:三代目 中村扇雀
お春:初代 片岡孝太郎

二、一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)11:58-13:24
  陣門・組打

熊谷次郎直実:十二代目 市川團十郎
玉織姫:二代目 中村魁春
平山武者所季重:六代目 片岡市蔵
熊谷小次郎直家、無官太夫敦盛:四代目 坂田藤十郎

三、女伊達(おんなだて)13:54-14:13
木崎のお秀:七代目 尾上菊五郎
淀川の千蔵:五代目 坂東秀調
中之島鳴平:四代目 河原崎権十郎

四、夕霧 伊左衛門
  廓文章(くるわぶんしょう)吉田屋 14:28-15:42

藤屋伊左衛門:十五代目 片岡仁左衛門
扇屋夕霧:九代目 中村福助
太鼓持豊作:六代目 片岡愛之助
番頭清七:三代目 松本錦吾
阿波の大尽:五代目 澤村由次郎
吉田屋女房おきさ:二代目 片岡秀太郎
吉田屋喜左衛門:四代目 市川左團次

夜の部(16:30開演)
一、御存 鈴ヶ森(すずがもり)16:30-17:13
白井権八:七代目 中村芝翫
東海の勘蔵:四代目 市川左團次
飛脚早助:四代目 市川段四郎
北海の熊六:八代目 坂東彦三郎
幡随院長兵衛:五代目 中村富十郎

二、坂田藤十郎喜寿記念
  京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)
  道行より押戻しまで 17:43-18:59

白拍子花子:四代目 坂田藤十郎
所化阿面坊:五代目 中村翫雀
同仙念坊:三代目 中村扇雀
同妙念坊:初代 片岡進之介
同喜観坊:初代 片岡孝太郎
同雲念坊:六代目 片岡愛之助
同阿観坊:初代 中村壱太郎
同覚連坊:初代 中村虎之介
同謹請:六代目 上村吉弥
大館左馬五郎照秀:十二代目 市川團十郎

三、江戸育お祭佐七(えどそだちおまつりさしち)
  浄瑠璃「道行旅路の花聟」19:14-20:39

お祭佐七:七代目 尾上菊五郎
芸者小糸:五代目 中村時蔵
すだれの芳松:四代目 河原崎権十郎
三吉:二代目 中村錦之助
鳶重太:六代目 中村松江
同柳吉:六代目 市川男女蔵
同長蔵:五代目 坂東亀三郎
同辰吉:初代 坂東亀寿
同仙太:二代目 尾上松也
同佐助:初代 中村萬太郎
同勇次:二代目 坂東巳之助
娘お種:四代目 中村梅枝
女髪梳お幸:初代 中村歌江
箱廻し九介:四代目 片岡亀蔵
おででこ伝次:六代目 片岡市蔵
矢場女お仲:三代目 市川右之助
おてつ:十七代目 市村家橘
倉田伴平:九代目 市川團蔵
吉野屋富次郎:二代目 市村萬次郎
世話人太兵衛:六代目 澤村田之助
鳶頭勘右衛門:十五代目 片岡仁左衛門

筋書
愛之助丈関連
舞台写真:「廓文章」太鼓持豊作:2枚
舞台写真:「京鹿子娘道成寺」所化雲念坊:1枚
64ページ:「花競木挽賑」内インタビュー
舞台写真
愛之助丈は「廓文章」太鼓持豊作が3種類、「京鹿子娘道成寺」所化雲念坊が2種類
料金
1等席:15,000円
2等席:11,000円
3階A席:4,200円
3階B席:2,500円
1階桟敷席:17,000円
筋書:1,200円
その頃、他の劇場では…
南座
新橋演舞場
国立劇場

感想
昼の部を22日に中央やや花道寄りで観劇。

春の寿
三番叟
おごそかに翁(我當丈)たちが登場。
千歳(進之介丈)と三番叟(歌昇丈と翫雀丈)が踊る。
無知な私は、「三番叟」と聞いて愛嬌のある隈取を想像していたのだけど、普通に白塗りだった。

萬歳
とっても貴公子チックな萬歳(梅玉丈)が登場。
梅玉丈のお声が好きなので、舞踊だと台詞がなくて少し残念…
前髪の貴公子が「はーまぐり、はーまぐり」という声に合わせて踊るのは、ちょっと不思議な感じ。

屋敷娘
色っぽいお梅(扇雀丈)と可愛らしいお春(孝太郎丈)が登場。
引き抜きもあって、見ていて楽しかった。孝太郎丈の少し拗ねた顔が可愛かった。


少しお腹が空いたので、幕間に3階まで「めで鯛焼き」を買いに行く。美味しかった。
大福とか、くずきりとか、ゆであずきとか、他にも食べてみたいものはあるのだけど、なかなか制覇できないな。

一谷嫩軍記 陣門・組打
小次郎(藤十郎丈)が出てきたとき、一瞬、翫雀丈かと思った。藤十郎丈、若い〜!
熊谷(團十郎丈)は迫力があって、いかにも立派な武将という感じ。着ている鎧も立派で、獣の角?らしきものがついている兜がすごかった。声も大きくて、強そうだ。

熊谷が敦盛(藤十郎丈)を斬ろうとして、なかなか斬れない場面は切なかった。
仁左衛門丈の『熊谷陣屋』をテレビで見ていたので、「ああ、本当は小次郎なんだよなぁ」と思って、可哀想で… 躊躇う表情や、首を斬った後の表情を見て、「これが出家につながるんだなぁ」と思った。
平山(市蔵丈)が本当に憎憎しかった。事実を知らずに死んでいく玉織姫(魁春丈)も哀れだった。「世が世だったら、あんたなんか!」みたいなことをいう場面では、静御前のエピソードを思い出した。それにしても、戦場であの衣装はどうかと思うぞ。

さて、新幹線の中で『役者は勘九郎』を読んでいたら、ちょうど、この演目のことが書いてあった。馬の足の名人が言うには、『組打』の熊谷の馬が「馬第一の大役」だそうだ。 そのため、馬が出てくる場面では、「お馬さん、頑張れ〜!」と心の中で思っていた。最後、熊谷を促すように、背中を押す場面がよかった。(なぜか笑いが起きてたけど、そこは泣く場面じゃないの…?) 遠見の子役さんはすごく可愛かった。


今回のお昼御飯はとろろ蕎麦。安くて美味しくて、ささっと食べられる。
先ほど書いた『役者は勘九郎』の中に吉右衛門丈がお蕎麦を食べる様子が書いてあって、どうしても蕎麦が食べたくなったのだ。
私の場合、蕎麦をつゆにたっぷりとつけて、野暮ったく食べるのだけど。

女伊達
粋な姐さんのお秀(菊五郎丈)と若い者の立ち回り。
くるんくるんとトンボを返っている役者さんがいたけど、お名前がわからず。
やはり、立ち回りを見るのは楽しい。

廓文章 吉田屋
伊左衛門(仁左衛門丈)が可愛かった〜!
あそこまでいくと“アホボン”なんだけど、それすら「ま、いいか」と思えるような可愛さだった。
伊左衛門がにっこり笑うと、こっちも釣られてへら〜っとしてしまう。舞台も華やかで、見ているだけで楽しい。

喜左衛門(左團次丈)は渋くて素敵だった。ワガママな伊左衛門に少し手を焼いている感じもいい。おきさ(秀太郎丈)とのやりとりが仲のいい夫婦という感じ。
おきさは、「若旦那と思って声を掛けたら、松嶋屋の仁左衛門だった」「知らない間じゃありませんから…」と話すところが面白かった。

太鼓持(愛之助丈)は最後の方に登場。
ちょこちょことやってきて、2人の仲を取り持とうとするのが可愛い。「そんな私は(←だっけ?)太鼓持」という振りで笑いをとっていたな。仲直りした2人を見て、本当に嬉しそうににこにこしていた。
夕霧(福助丈)は綺麗だった。登場するまでが長くて、もう少し見ていたかったなぁ。最後の打ち掛けがすごく豪華で綺麗だった。
伊左衛門も太鼓持も、衣装にさりげなく(の割にはすぐわかるけど)「松嶋屋」って入ってるのね。

とっても楽しい一日だった。
お土産は、「京嵯峨野竹路庵」のわらび餅。私の中では、これが定番。東京駅で待ち合わせた友達に、「(歌舞伎座に行って)何で京都(のお土産)?」と言われたけど、美味しいんだから仕方ない。