年 (平成年)

関西・歌舞伎を愛する会 第十七回
七月大歌舞伎 松竹座

7月5日(土)〜7月29日(火)

配役
昼の部(11:00開演)
一、春調娘七種(はるのしらべむすめななくさ)11:00-11:20
曽我五郎時致:四代目 尾上松緑
曽我十郎祐成:五代目 尾上菊之助
静御前:初代 片岡孝太郎

二、片岡十二集の内 木村長門守(きむらながとのかみ)
  血判取 11:35-12:10

木村長門守:五代目 片岡我當
郡主馬之助:初代 片岡進之介
井伊兵部:五代目 坂東亀三郎
成瀬隼人正:初代 坂東亀寿
榊原越中守:二代目 尾上松也
本多忠友:十七代目 市村家橘
酒井左衛門尉:九代目 市川團蔵
徳川家康:四代目 市川左團次

三、伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)
<花水橋>12:40-14:05(下と合わせて)

足利頼兼:五代目 尾上菊之助
絹川谷蔵:六代目 片岡愛之助

<御殿>
乳人政岡:四代目 坂田藤十郎
栄御前:二代目 片岡秀太郎
松島:初代 片岡孝太郎
沖の井:二代目 中村魁春
弾正妹八汐:十五代目 片岡仁左衛門

<床下>
仁木弾正:十五代目 片岡仁左衛門
荒獅子男之助:四代目 尾上松緑

<対決・刃傷>14:25-15:30
細川勝元:七代目 尾上菊五郎
渡辺外記左衛門:四代目 市川左團次
渡辺民部:六代目 片岡愛之助
笹野才蔵:二代目 尾上松也
山中鹿之助:初代 坂東亀寿
山名宗全:九代目 市川團蔵
仁木弾正:十五代目 片岡仁左衛門

夜の部(16:30開演)
一、一谷嫩軍記
  熊谷陣屋(くまがいじんや)16:30-18:10

熊谷直実:十五代目 片岡仁左衛門
白毫弥陀六 実は弥平兵衛宗清:五代目 片岡我當
藤の方:初代 片岡孝太郎
堤軍次:六代目 片岡愛之助
相模:二代目 片岡秀太郎
源義経:四代目 坂田藤十郎

二、黒手組曲輪達引(くろてぐみくるわのたてひき)
  浄瑠璃「忍岡恋曲者」18:40-20:15

花川戸助六、番頭権九郎:七代目 尾上菊五郎
三浦屋揚巻:二代目 中村魁春
牛若伝次:四代目 尾上松緑
新造白玉:五代目 尾上菊之助
朝顔仙平:五代目 坂東亀三郎
三浦屋女房お仲:十七代目 市村家橘
俳諧師東栄:九代目 市川團蔵
鳥居新左衛門:四代目 市川左團次
紀伊国屋文左衛門:六代目 澤村田之助

三、上 羽衣(はごろも)20:30-21:05(下と合わせて)
天女:五代目 尾上菊之助
伯竜:四代目 尾上松緑

三、下 団子売(だんごうり)
お臼:初代 片岡孝太郎
杵造:六代目 片岡愛之助


筋書
愛之助丈関連
舞台写真:「伽羅先代萩 花水橋」絹川谷蔵:2枚
舞台写真:「伽羅先代萩 対決・刃傷」渡辺民部:4枚
舞台写真:「熊谷陣屋」堤軍次:2枚
舞台写真:「団子売」杵造:2枚
31〜32ページ:「楽屋探訪」内インタビュー(素顔写真あり、2/3ページ)
舞台写真など
愛之助丈は、
「伽羅先代萩 花水橋」絹川谷蔵が4種類
「伽羅先代萩 対決・刃傷」渡辺民部が1種類
「熊谷陣屋」堤軍次が2種類
「団子売」杵造が5種類

ガーゼてぬぐい、ガーゼはんかちも売られていた。

料金
1等席:15,750円
2等席:8,400円
3等席:4,200円
筋書:1,500円
船乗り込み
日程:7月1日(火)
(雨天決行、警報時は翌日に順延)
15:00 式典→口上、挨拶 於:八軒家浜船着き場式典会場(京阪天満橋駅北側)
15:30 乗船→(天満橋(大川) → 天神橋 → 高麗橋(東横堀川)→ 農人橋 → 日本橋(道頓堀川)→ 太左衛門橋 → 戎橋)
16:20 下船→口上、挨拶(於:戎橋東側道頓堀川船上)
16:40 式典→挨拶、花束贈呈、手締め(於:大阪松竹座 式典会場)
17:10 終了
その頃、他の劇場では…
歌舞伎座
国立劇場
巡業 東コース
巡業 中央コース
比叡山薪歌舞伎

雑誌
『演劇界』2008年9月号→演劇界 2008年 09月号 [雑誌]
愛之助丈関連
84ページ:舞台写真「伽羅先代萩 花水橋」絹川谷蔵(カラーグラビア 1/2ページ)
98ページ:舞台写真「伽羅先代萩 花水橋」絹川谷蔵(モノクロ 1枚)
99ページ:舞台写真「伽羅先代萩 対決・刃傷」渡辺民部(モノクロ 1枚)
100ページ:舞台写真「団子売」杵造(モノクロ 2枚)
102〜103ページ:舞台写真「熊谷陣屋」堤軍次(モノクロ 3枚)
110〜112ページ:七月大歌舞伎(松竹座)の劇評

感想
夜の部
25日に前方中央で観劇。

熊谷陣屋

テレビで放映されたのを見たことがある。
「陣門・組打」を歌舞伎座で見ていたのと、「日本の伝統芸能 歌舞伎入門」で仁左衛門丈の説明を聞いていたこともあって、その時よりもずっと話に入り込みやすかった。
そして、テレビで見るのと生の舞台を見るのとじゃ全然違う、ということを改めて実感した。

派手な動きはないのだけれど、とにもかくにも仁左衛門丈の熱演に圧倒されて、食い入るように見ていた。(見終わった後、ちょっと疲れた…)
相模(秀太郎丈)と堤軍次(愛之助丈)のやりとりはどことなく微笑ましい。そこへ藤の方(孝太郎丈)が逃げてくる。
熊谷(仁左衛門丈)が登場すると、ガラリと雰囲気が変わったように思えた。上手く言えないのだが、舞台に無常観が漂っている感じ。

相模が「振り向いて、にっと笑った面差しがあるかと思えば…」みたいな台詞を言って嘆く場面が可哀想だった。
義経(藤十郎丈)の表情はどこか憂いを帯びていて、情け深い御大将なんだろうなぁと思った。(現代の感覚で見るとひどいんだけどね…)
弥陀六(我當丈)は登場した時は人の良さそうなおじいちゃんに見えたが、「宗清」と呼ばれて目付きが鋭くなるのは流石だなぁと思った。
軍次は爽やかで、鎧姿が素敵だった。

熊谷に関しては、我が子の首を義経に見せるところとか、弥陀六が鎧櫃の中身を確かめている間も悲痛な表情で座っていたところとか、「十六年も一昔…」の引っ込みの引っ込みとか、いろいろ思うところはあったのだが、思い出すだけで頭がパンクしそう。
すごかったなぁ…(←語彙が少ないので、毎回こんな感想。)

黒手組曲輪達引

こちらは、「熊谷陣屋」とは別の意味ですごかった。
まず、白玉(菊之助丈)がめちゃくちゃ綺麗!(同僚が大ファンなのも頷けるわ〜。)
そして、権九郎(菊五郎丈)がめちゃくちゃブサイク!! そこまでブサイクなこしらえにしなくてもってなくらい、ブサイクだった。観客はクスクス笑ってた。
そしてそして、伝次(松緑丈)がめちゃくちゃヒドイ… 「達者でな(←だっけ?)」と白玉を見捨てて去っていくなよ〜! しかも、五十両持ったまま。白玉、だめんずか?(歌舞伎の女性はだめんず率が高い気がする。)

舞台の中央にぐるぐると渦が巻いてるような影が映り、歌舞伎らしからぬ音楽(映画の音楽のような…?)がかかり、池の中から、虎縞の鴨と合体した権九郎が出てくる。そういえば、冒頭で鴨が泳いでいて、一羽だけ黄色と黒のシマをつけたのがいたっけ。
さらに、トラッキー(田之助丈)とカーネル・サンダース(團蔵丈)が登場。カーネル・サンダースはエド・はるみネタまでやり出して、何がなんだか…(笑) 阪神応援団(?)が風船まで飛ばして、皆で去っていった。
御園座だったら、ドアラが出てきたのかな?
いやはや、すごかった。

舞台は新吉原に移り、白酒屋(橘太郎丈)が朝顔仙平(亀三郎丈)らになぐられているところへ、花川戸助六(菊五郎丈)が現れる。権九郎と同じ役者さんが演じているとは思えないかっこよさ。
朝顔仙平、嫌なヤツだけど、見た目は悪くない。そうそう、白酒屋が天女の話をしていて、「あ、次の演目じゃん」と思った。
揚巻(魁春丈)は衣装とかは豪華なんだけど、蓮っ葉な白玉の方が印象が強くて、少し損してる感じがする。

いろいろあって、助六は父の敵である新左衛門(左團次丈)を討ちに行く。
立ち回りはすごかった。足場を組んで、「おとわや」と書かれた傘を持っての大立ち回り。
結構高い場所からトンボを返ったりして、見てて声が出そうになった。面白かった〜。

羽衣

この演目を見るのは3回目だが、見るたびに演出が違う。
今回は、天女(菊之助丈)が段を上っていくと、その前に描かれている松の絵が下がって雲の絵が出てきた。
そして、伯竜(松緑丈)がすっぽんを下がっていく。
綺麗だなーと思ってぼんやり観ていた。

団子売
見ていて羨ましくなるくらいのラブラブ夫婦っぷりだった。姉さん女房に、年下の可愛いダンナを見せびらかされているような気分(笑)。
お臼(孝太郎丈)も杵造(愛之助丈)もすごくにこにこしているので、釣られてこっちまで笑顔になる。

今年の2月に博多で見た時とは、振りが少し違っていた気がする。(はっきりとは覚えてないのだけれど…)
衣装も違った。私は今回の衣装の方が好きだな。
衣装と言えば、昼の部も夜の部も綺麗な衣装ばっかりで、見ているだけで楽しかった〜。

昼の部
26日に前方花道横で観劇。

春調娘七種

曽我五郎(松緑丈)、曽我十郎(菊之助丈)、静御前(孝太郎丈)の踊り。
ぼーっと見ていた。綺麗なんだけど、クーラーの効いた劇場で半袖を着て、お正月の演目を見るのは妙な感じ。

木村長門守 血判取

木村長門守(我當丈)が若々しかった。
そして、徳川家康(左團次丈)の狸親父っぷりがいい味を出していた。ちょっとした表情がおかしくて、観客の笑いを誘っていた。笑顔は愛嬌があって、なんだか可愛かった。
最後、長門守を見送る時の顔つきが「うわーっ! 悪い顔!」という感じだったな。

伽羅先代萩

花水橋
足利頼兼(菊之助丈)が優雅に刺客を跳ね除ける。
そこへ絹川谷蔵(愛之助丈)が登場して、刺客を一気に蹴散らす。
短い幕だけど、頼兼は綺麗だし、谷蔵は頼もしいし、見ていて楽しかった。

御殿
八汐(仁左衛門丈)、怖い〜っ!!
千松の首を短刀でえぐり、非難する沖の井(魁春丈)や松島(孝太郎丈)に向かって、「何をざわざわ…」と言うところの憎たらしいことったら! さらに、千松をぐりぐりと弄り殺す残虐さ。いやー、怖いよ、あれ。
証拠隠滅のため、毒入りのお菓子を持ち去る時、客席を振り向いてニーッと笑うのだが、もー、本当に怖い。(ちょうどその場面の舞台写真が売られていて、Mさんと「これ、夢に出そうだよね〜」と話した。で、その怖い舞台写真を買ってしまった。)
なのに、千松の身体をそっと床に寝かせる時、優しそうな手つきだったのが印象的だった。

栄御前(秀太郎丈)は悪人なんだけど、「取替え子なんでしょう?」などと勝手に勘違いして連判状を置いていってしまうあたり、ツメが甘いというか、抜けてるというか、ちょっとだけ可愛げがあるというか…
栄御前が去ってから、政岡(藤十郎丈)が辺りを伺い、よろよろと倒れそうになりながら、我が子の亡骸の側に行き、「でかしゃった!」と言う場面は泣けた。

床下
荒獅子男之助(松緑丈)がネズミを踏んづけている。ネズミ、でかっ!!(←そこは突っ込まないお約束?) ネズミはぐるぐる回ったりして頑張ってた。
ネズミがスッポンに飛び込んだら、煙がもくもくと出てきて、連判状を口にくわえた仁木弾正(仁左衛門丈)登場。
弾正は、後ろ斜め下の方向に流し目を送り、フッと笑う。悪人と分かってはいるのだが、かっこよすぎてどうしようという感じ。あまりのかっこよさに魂が抜かれそうになったよ(笑)。
ロウソクの灯りの中、弾正は一言も発せずに花道を引っ込んで行く。ロウソクは本物で、蝋の焼ける匂いが漂ってきた。

対決

外記左衛門(左團次丈)らが弾正を訴えるが、裁きを下す山名宗全(團蔵丈)が弾正側だからどうしようもない。
弾正はふてぶてしく「知らぬ存ぜぬ」を通して座っている。宗全は、時代劇によく出てくる「おぬしも悪よのぉ」「お代官様こそ…」のお代官みたいだと思った。
民部(愛之助丈)が証拠となる書状をもってきても、弾正の優位は変わらず、絶体絶命のところへ細川勝元(菊五郎丈)が颯爽と登場する。「正義の味方! 悪者をやっつけて!」という感じ。
最初、勝元はは外記左衛門側につれないことを言っていたが、弁舌爽やかに弾正側を追い詰め、裁定をひっくり返してくれる。素敵だった。

刃傷
外記左衛門が傷を負った状態で、よろよろと花道から逃げてくる。髪を振り乱した弾正がその後を追って来るのだが、これがまたすごい迫力。悪いヤツだとわかっているけど、やっぱりかっこいい。
結局、民部が後ろから支えるような形で、外記左衛門が弾正に止めを刺した。弾正は、もがき苦しんで倒れる様も、担ぎ上げられて運ばれる様も、最期までタダモノじゃない感じだった。
民部は父上の後ろにぴったりとくっついて、健気だったな。
勝元は、薬湯をくれたり、自分の駕籠を使えと言ってくれたり、とてもいい人なんだけど、「一さし舞え」っていうのは…
舞ってる間にグハーッと血ぃ吐いちゃったらどうするんだよ〜。(←そんなわけはない。)
最後はめでたしめでたし、で幕。

昼も夜も、どの幕も見ごたえがあって楽しかった。

おまけ
今回は、観劇ついでに新世界へ観光へ行ってきた。
串カツ。


通天閣。
写真を撮ろうとして、デジカメが壊れていることが判明。急遽、難波で新しいデジカメを買った。(出費が〜っ!)


ビリケンさん。


旅に出てしまった太郎さん


夜も昼も(別の日だけど)、幕間に「たちばな」の豆腐御膳を食べた。これ、結構好き。


お土産に、久しぶりにアンドリューのエッグタルトを買った。これも好き。