22日に前方上手側にて観劇。
いやー、しんどかった。
最後までスカッとしないし、見ててストレスがたまる物語だ。
役者さんは良かったんだけど、いや、良かったからこそ、しんどかった〜。
ダメ男で色男の夫、共依存でだめんずうぉ〜か〜の妻、地雷女の愛人… もう、サイアクの取り合わせだね。
治兵衛(愛之助丈)は「むかつく!」を通り越して、「ありえん!(と言いつつ、どこかにいそう)」というアホなのだが、ふにゃふにゃ〜っとした笑顔と情けなさそうな表情を見ると、おさん(鴫原桂さん)が見捨てられないのもわかる気がする。
治兵衛が金額なしの手形に印つくところでは、あまりにアホすぎて、客席にどん引きしている空気が流れたっけな。客席では、「しょーもねーなぁ」という感じの笑いが起きたりしていた。
一度、客席から「セット!」という声がかかり、何かと思ったら、大向こう(というのか?)が瀬戸さんに声を掛けていたようだ。おきん(英太郎さん)が出てくる場面は、悲劇の前の息抜きという感じで面白かった。
治兵衛が自分で言っていた通り、心のおさん、体の小春(瀬戸摩純さん)という感じ。
おさんが「わてがあんたに可愛がられる女だったら…」などと言わず、「浮気しないで!!」とすがることができたら、もう少し違った展開になった気がする。
治兵衛が「おさんの前では気恥ずかしくなる」と言うのを聞いて、『源氏物語』の薫を思い出した。本命で皇女の大君には手を出せなかったくせに、身代わりで身分の低い浮舟には速攻で手を出すあたり、何となく治兵衛と共通する部分があるような…
そうそう、私の上方女性のイメージは、秀太郎丈や竹三郎丈の女形なので、おさんも小春も妙にシャキシャキしているように見えた。
治兵衛の身体は小春と心中するが、死の間際に思い浮かべるのは、風呂桶を持って出て行ったおさんの顔ではないかと思う。(というか、そうであってほしい。)
小春は激しすぎてあまり哀れを感じなかったが、唯一の相手として愛されて心中するわけではないところは可哀想に思う。
最後に現れたのが小春ではなくおさんで、おさんが「わても一緒に死にます」と言ったら、治兵衛はおさんと死んだだろう。
しかし、治兵衛は川にぷかぷか浮いてしまって死に切れず、捕まって打ち首になりそうだ。
最後はカーテンコール。
治兵衛のこしらえのままの愛之助丈が鴫原さん、瀬戸さんと顔を見合わせてお辞儀をするところで、客席が笑っていた。(夫、妻、愛人が横並びの図だもんね。)
3人が三方におじぎして、幕。
愛之助丈は相変わらず素敵だったが、物語はしんどかった。
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劇場で売っていたお弁当。
この物語の幕間では食が進まず、残してしまった…
愛之助丈宛てのお花。
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