昼の部
23日に前方中央で観劇。
大序 鶴ヶ岡社頭兜改めの場
幕が開く前に、人形による役者紹介ある。大御所の名前を呼ぶ時はもったいぶって「エッヘン、エーッヘン」と咳払いをするのが面白い。
幕が開くと、足利直義(進之介丈)、高師直(左團次丈)、塩冶判官(橋之助丈)、桃井若狭之助(愛之助丈)が目を閉じて座っており、順々に目を開けて動くところが人物紹介のようで、よくできているなぁと思った。
師直は嫌なヤツなんだけど、愛嬌があるというか、なんか憎みきれない感じ。
若狭之助は颯爽としていてかっこいいが、ムキになって(?)、何度もお辞儀するところが可愛かった。塩冶判官はおっとり品があって綺麗だなぁと思った。顔世御前(福助丈)もすごく綺麗。
三段目 足利館門前進物の場、松の間刃傷の場
鷺坂伴内(亀蔵丈)と中間のやり取りが面白い。
もし、加古川本蔵(寿猿丈)が師直(左團次丈)に賄賂を渡していなかったら、若狭之助(愛之助丈)が刃傷に及んだのかなぁ?
判官(橋之助丈)は「お家取り潰しですぞ」と言われて一度は耐えたけど、若狭之助は問答無用でバッサリ斬っちゃいそうなんだよなぁ… 登場した時点で、本気で切れてたもの(笑)。
判官が「お家取り潰し」と言われて怯むと、ここぞとばかりに畳み掛けていじめる師直(左團次丈)が上手いというか、嫌なヤツというか… こういう人って、相手の反応を見て態度を変えるんだよね。
四段目 扇ヶ谷塩冶判官切腹の場、表門城明渡しの場
死装束の判官(橋之助丈)が大星由良之助(團十郎丈)の到着をまだかまだかと待つ様子が切なかった。
何とか間に合った由良之助と見詰め合って、無言で想いを伝える場面はジーンときた。
大星力弥(新悟丈)がでっかくて、少し驚いた。
浄瑠璃 道行旅路の花聟
幕が落ちると、勘平(仁左衛門丈)とお軽(孝太郎丈)が中央にいて、桜と菜の花と富士山が見える。
前の段の重苦しい雰囲気から、一点華やかになった。
伴内(亀蔵丈)はここでも道化役で面白い。花四天との立ち回りもあり、最後は勘平とお軽が仲良く花道を引っ込む。
重い話の後、明るい気持ちで劇場から出られるのがいいな。
夜の部
24日に前方花道寄りで観劇。
五段目 山崎街道鉄砲渡しの場、二つ玉の場六段目 与市兵衛内勘平腹切の場
幕が落ちると、猟師の格好をした勘平(仁左衛門丈)が座っている。マタギみたいな格好なんだけど、綺麗でかっこいいんだよな〜。
斧定九郎(愛之助丈)は花道から登場。
台詞は「五十両〜!」の一言だけで出番は短いのだけど、インパクト大。着物は黒、刀の鞘は赤、破れた傘という格好で、悪いヤツなんだけど、かっこいいんだよな〜。
銃で撃たれて、白塗りの太腿にポタッと赤い血が落ちるところが、絵的に美しいと思った。
勘平が家に戻り、着替えた衣装の色(水色とエメラルドグリーンが混ざったような色)がとても鮮やかで目を引く。
舅を殺してしまったと思い込んで苦しむところとか、疑いが晴れて死の間際に嬉しそうな顔をするところとか、最初から最後まですごく良かった。
そして、秀太郎丈の女将さんと竹三郎丈のおっかさんは素晴らしいと再確認。
お才(秀太郎丈)は物腰柔らかに見えて、しっかりビジネスライクな対応してるなぁと思った。(会社勤めとしては見習うべきか…?)
おかや(竹三郎丈)が「指など切ってたもるなや」とお軽(孝太郎丈)に言うところはジーンときた。勘平を責め立てるところや、疑いが晴れてあやまるところなど、おかやには泣かされっぱなし。
この段の後に幕間で御飯となると、胸がいっぱいで食欲が落ちるんだけど、仕方ないか。
七段目 祗園一力茶屋の場
由良之助(團十郎丈)はさすがの貫禄。
前の段のお軽(孝太郎丈)は貞淑な妻という感じだったが、ここでのお軽(福助丈)はすっかり廓になじんだのか、艶っぽくなっていた。平右衛門(橋之助丈)相手に「察しが悪い」と拗ねるところ、着物を見せるところ、指をくるくる回して脇差を差すところがすごく可愛らしかった。
平右衛門は一生懸命にバタバタと頑張っている感じがいいなぁと思った。
見立てはインフルエンザのマスクと銅鑼を使ってドラゴンズネタ。「クライマックスシリーズで、もう後がないけど、ここから優勝するぞ」みたいなネタで、会場からは拍手が起きていた。結局、この日負けちゃったけど…
十一段目 高家表門討入りの場、奥庭泉水の場、炭部屋本懐の場
幕が落ちて、門前に浪士がずらりと並んでいる様は壮観。「ああ、忠臣蔵だなぁ」と思う。
竹森喜多八(愛之助丈)と矢間重太郎(男女蔵丈)の立ち回りが結構長いので、愛之助丈ファンとしては嬉しい。
雪を投げ合って、手を息で温めるところでは笑いが起きていた。
最後、本懐を遂げ、勝どきを上げて幕。
やっぱり、忠臣蔵はいいなぁ。
愛之助丈の舞台写真が1種類売り切れてたけど、何の写真だったんだろう? 定九郎かなぁ?