年 (平成年)

(社)全国公立文化施設協会主催 東コース
松竹大歌舞伎

6月30日(火)〜7月31日(金)

配役
一、正札附根元草摺(しょうふだつきこんげんくさずり)
曽我五郎時致:六代目 片岡愛之助
小林妹舞鶴:初代 片岡孝太郎

二、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
下市村茶店の場

いがみの権太:十五代目 片岡仁左衛門
主馬小金吾:六代目 片岡愛之助
若葉の内侍:十一代目 市川高麗蔵
猪熊大之進:四代目 坂東薪車
弥左衛門:五代目 坂東竹三郎
小せん:二代目 片岡秀太郎

釣瓶鮓屋の場
いがみの権太:十五代目 片岡仁左衛門
お里:初代 片岡孝太郎
梶原景時:六代目 片岡愛之助
若葉の内侍:十一代目 市川高麗蔵
お米:十七代目 市村家橘
弥左衛門:五代目 坂東竹三郎
弥助 実は平維盛、小せん:二代目 片岡秀太郎

日程
6月30日(火):江戸川区総合文化センター(東京都)
7月1日(水):厚木市文化会館(神奈川県)
7月2日(木):練馬文化センター(東京都)
7月3日(金):八王子市芸術文化会館(東京都)
7月5日(日):札幌市教育文化会館(北海道)
7月7日(火):青森市文化会館(青森県)
7月9日(木):東京エレクトロンホール宮城(宮城県)
7月10日(金):山形市民会館(山形県)
7月12日(日):栃木県総合文化センター(栃木県)
7月14日(火):群馬音楽センター(群馬県)
7月15日(水):ベイシア文化ホール(群馬県民会館)(群馬県)
7月17日(金):新潟県民会館(新潟県)
7月18日(土):埼玉県熊谷会館(埼玉県)
7月19日(日):鎌倉芸術館(神奈川県)
7月20日(月):沼津市民文化センター(静岡県)
7月21日(火):アクトシティ浜松(静岡県)
7月23日(木):アイプラザ豊橋(愛知県)
7月24日(金):可児市文化創造センター(岐阜県)
7月25日(土):春日井市民会館(愛知県)
7月26日(日):高山市民文化会館(岐阜県)
7月28日(火):静岡市民文化会館(静岡県)
7月29日(水):サンシティ越谷市民ホール(埼玉県)
7月30日(木):土浦市民会館(茨城県)
7月31日(金):茨城県立県民文化センター(茨城県)

筋書
筋書:1,500円

愛之助丈関連
5ページ:舞台写真「正札附根元草摺」曽我五郎時致(カラー)
24〜25ページ:出演者インタビュー(カラー)
素顔写真、舞台写真あり(「祇園祭礼信仰記」松永大膳、「与話情浮名横櫛」与三郎、「夏祭浪花鑑」団七九郎兵衛)

その頃、他の劇場では…
歌舞伎座
松竹座
巡業(中央コース)
コクーン
国立劇場

雑誌
『演劇界』2009年9月号→演劇界 2009年 09月号 [雑誌]
愛之助丈関連
72ページ:舞台写真「義経千本桜」主馬小金吾(カラーグラビア)
93ページ:舞台写真「正札附根元草摺」曽我五郎時致(モノクロ 1枚)
93ページ:舞台写真「義経千本桜」主馬小金吾(モノクロ 2枚)
94〜95ページ:舞台写真「義経千本桜」梶原景時(モノクロ 2枚)
109ページ:松竹大歌舞伎 東コースの劇評

感想

25日の春日井市民会館で、昼の部と夜の部を中央上手側にて観劇。
昼の部は手すりより上の席で見たが、段差があって見やすかった。

土曜日ということもあってか、客席はほぼ埋まっていた。案の定、おしゃべりの声が大きいオバチャンもいたけどね。

正札附根元草摺
曽我五郎(愛之助丈)と舞鶴(孝太郎丈)の舞踊。
舞台中央の鳴り物さん達が座っているひな壇が左右に分かれて、2人が登場する。(南座の顔見世の時は舞台が競り上がって登場していたような記憶があるが、記憶違いかもしれない…)
短いけど、華やかで目の保養になる。

義経千本桜
下市村茶店の場
この場面は初めて観た。 権太(仁左衛門丈)は小悪党なんだけど、表情に愛嬌があって、なんだか憎めない。黙って立っていれば男前なのに、表情がくるくる変わって面白い。
小せん(秀太郎丈)とのラブラブっぷりが微笑ましかった。秀太郎丈はこういう可愛い女性の役がとても似合うと思う。女性として見習いたいところだが、私には無理(笑)。

権太にまんまと騙されて、若葉の内侍(高麗蔵丈)に向かい、「口惜しゅうございます」と泣く小金吾(愛之助丈)が可哀相なんだけど可愛かった。しっかりしているようでも、まだまだ前髪の若者でツメが甘いというか…
そんな若者が女子供を守護して敵から逃げ回っているんだから、さぞかし大変なことだろう。
以前は、お里に肩入れするばっかりに若葉の内侍を好きになれなかったが、今回は「木の実」と「小金吾討死」を見たせいか、若葉の内侍にもいたく同情してしまった。(←単純)

場面が変わり、若葉の内侍と六代君が走りながら登場。舞台中央で六代君が転び、2人で懸命に逃げていく。
その後から、髪を振り乱しボロボロになった小金吾が追っ手と戦いながら登場。
追っ手に囲まれての立ち回りでは、今まで写真でしか見たことのなかった縄を使った見得を見ることができて嬉しかった。
茂みの中から、猪熊大之進(薪車丈)がいきなり小金吾を刺す。卑怯な奴なのだが、倒れた小金吾に「おい」と声を掛けながら近付き、止めを刺そうとしたところを逆に自分が斬られてしまうところが間抜け。
薪車丈の出番はこれだけ。もう少し長い時間見たかったな。
フェリシモ神戸学校で愛之助丈が言っていた「女人禁制の山なれば」の台詞はしっかりと聞き取った。

釣瓶鮓屋の場
弥助=維盛(秀太郎丈)がすし桶を担いで、花道(と言っても舞台の端、客席の中を花道が通っているわけではない)から登場。すし桶にふらついたりせず、普通に運んでいた。
浅草で「すし屋」を見た時に自分が書いたレポを読み返してみたら、上記の他にも、今回とは少しずつ違う箇所があるっぽい。

お里(孝太郎丈)はやはり健気で可哀相だった。そして、やはり私は維盛が嫌いだ。何度見ても、誰が演じても維盛が嫌いだ。申し訳なさそうにちょこんと座っている様が可愛かったが、それでもやっぱり維盛が嫌いだ。
弥左衛門(竹三郎丈)が上品でりりしくて、厳しい父親という感じで素敵だった。
梶原景時(愛之助丈)も堂々としていて良かったと思う。

仁左衛門丈の権太は、言うまでもなく良かった。 前半、愛嬌ある仕草で客席を沸かせた分、後半の悲劇が際立つなぁ。
身代わりになった小せんと善太が引き立てられていく時、権太は梶原からもらった陣羽織をがばっと頭の上に被って、臥せってしまう。最後、妻子を身代わりに差し出したと告白する場面で、弥左衛門への態度とお米(家橘丈)への態度が少し違って、母親には少し甘えた感じになるんだなぁと思った。

途中、20分、10分の休憩をはさんで3時間強の舞台だった。
巡業の限定グッズが売られていて、仁左衛門丈のTシャツ、手拭、風呂敷、巾着などが売られていた。襲名記念の写真集や、助六、吉田屋の大判の写真、襲名記念のテレカなどもあった。

舞台もとても素晴らしかったし、荒事、前髪、敵役といろいろなお役の愛之助丈が見られて満足。
巡業はお値段も手頃なのが嬉しいな。