年 (平成年)

永楽館大歌舞伎 永楽館

8月4日(火)〜8月11日(火)

配役
第一部(11:30開演)/第二部(16:00開演)
一、菅原伝授手習鑑 車引(すがわらでんじゅてならいかがみ くるまびき)
梅王丸:六代目 片岡愛之助
松王丸:四代目 坂東薪車
桜丸:初代 中村壱太郎
藤原時平:六代目 市川男女蔵

二、藤娘(ふじむすめ)
藤の精:初代 中村壱太郎

三、弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)
  浜松屋見世先より稲瀬川勢揃いまで

弁天小僧菊之助:六代目 片岡愛之助
南郷力丸:六代目 市川男女蔵
赤星十三郎:初代 中村壱太郎
忠信利平:四代目 坂東薪車
日本駄右衛門:五代目 中村翫雀

筋書
愛之助丈関連
14ページ:愛之助丈の紹介、舞台写真あり(「女殺油地獄」与兵衛、「祇園祭礼信仰記」松永大膳、カラー)
15ページ:舞台写真「与話情浮名横櫛」与三郎
26ページ:「永楽館復興から一年」(柿落とし公演の紹介、舞台写真「操り三番叟」三番叟、カラー)
料金
A席券:10,000円
B席券:8,000円
筋書:1,000円
イベント
8月3日(月)18:30〜 出演者らが出石の城下町を「お練り」する。
またパレード終了後は、出演者らが挨拶を行う予定。
その頃、他の劇場では…
歌舞伎座
新橋演舞場

雑誌
『演劇界』2009年10月号→演劇界 2009年 10月号 [雑誌]
愛之助丈関連
62ページ:舞台写真「弁天娘女男白浪」弁天小僧菊之助(カラーグラビア)
78ページ:舞台写真「車引」梅王丸(モノクロ 3枚)
79ページ:舞台写真「弁天娘女男白浪」弁天小僧菊之助(モノクロ 6枚←1枚後姿)
88ページ:永楽館大歌舞伎の劇評

感想
10日の第二部を前方上手側、11日の第一部を中央上手側にて観劇。

台風と地震でどうなるかと思ったが、2日間とも無事に楽しめた。
雨で気温が低かったのか、冷房を増設した効果か、客席は去年より涼しかった。
去年と変わらず、お茶子さんやスタッフの方が親切で感じよかった。

車引
上方式の演出のため、野遠見の背景。
梅王丸(愛之助丈)が花道から、桜丸(壱太郎丈)が仮花道からそれぞれ登場。
“仮花道”と言っても花道が作られているわけではなく、客席の通路をそのまま歩いて舞台に上がる。
升席なので、通路近くの席だと深編笠の中のお顔が下から見える。
がっしり逞しい梅王丸とほっそり華奢な桜丸の姿が対照的。桜丸に隈がないのも上方式なんだとか。
梅王丸は足の親指をぴんと立てているんだなぁ、と思って見ていた。

背景がするするっと引かれて、時平(男女蔵丈)の乗った牛車とお供の者達が現れる。
梅王丸、桜丸が駆けつけ、牛車を止めようとすると、杉王丸(千次郎丈)が出てきて邪魔をする。今回は上方歌舞伎塾の卒塾生さん達が結構いいお役を演じていた。

そして、松王丸(薪車丈)が登場。
松王丸の着物は赤地に松の柄で、これも上方式だそうだ。小屋にかかっている絵(筋書にも載っている)が東京式なので、比べると面白い。
3兄弟が押し合いをし、花道で見得を決める。
更に舞台で押し合い、牛車の中から時平が出てくる。やっぱり時平は不気味。
最後は時平の前に三兄弟が並んで舞台がいっぱいになる。
役者さんは汗だらだらで大変そうだけど、豪華な衣装に「いかにも歌舞伎!」な演目が見られて満足。

藤娘
客席を暗くして、パッと明るくするかと思いきや、普通に幕が開いた。舞台後方に鳴り物さん達が座っている。
狭い舞台の真ん中に木を置いたら、それだけでいっぱいになってしまうんだろうなぁ。
藤の精(壱太郎丈)は花道から登場。
あまりの暑さに、壱太郎丈は汗だくで、額や首からぽたぽたと汗が零れていた。
客席はそれほど暑く感じなかったが、舞台の上はライトが当たって大変なんだろうなぁ。
可愛らしい藤娘だった。

弁天娘女男白浪
浜松屋見世先
南郷(男女蔵丈)と弁天小僧(愛之助丈)が花道から登場。
愛之助丈は少し痩せたのか、お顔回りがすっきりしていて、綺麗なお嬢様に見えた。さっきまで梅王丸を演じえていた人とは思えない。ただ、「首は細せぇが…」と言った時は、「いや、細くない…」と思ってしまったが。(←おい)
これなら、梅川もできそう。
男女蔵丈は江戸の役者さんだけあって、すっきりかっこよかった。

番頭(松之助丈)がお嬢様の好きな役者を当てる場面で、浅草で見た時は弁天役者と南郷役者の2人の名前しか出さなかったけど、今回は五人男を演じる役者さん全部の名前を出していた。
番頭さんがいい味を出していて、表情や動きが面白かった。
以前は気付かなかったが、今回は弁天は山形屋の緋鹿の子を懐から出してるところも見えた。
鳶頭(松次郎丈)が江戸っ子っぽくてかっこよかった。男女蔵丈を相手に堂々としていて良かったなぁ。

強請が成功するかと思いきや、日本駄右衛門(翫雀丈)が登場し、正体がばれる。
そして有名な「知らざあ言って聞かせやしょう」の台詞になる。
これが聞きたくて永楽館に行ったので、嬉しかったなぁ。愛之助丈の弁天なんて、次はいつ観られるかわからないもんね。
愛之助丈の江戸弁は特に気にならなかった。(ネイティブの江戸っ子がどう思うかはわからないが。)

弁天と南郷が「何? けぇれって?」とかぼそぼそ話していたが、以前見た時は駄右衛門がキセルでコンコンと指示を出して、南郷がそれを頷きながら見て、あっさり帰っていたような気がする。(記憶違いかも。)

稲瀬川勢揃
鳥屋から傘が出てきて、五人男が花道に登場する。
役者さんが花外を向くと、二階席の目の前に役者さんの顔がくる。「いいなー。あの席で見たいなぁ」と思ってしまった。
浜松屋での3人の他に、男前の忠信利平(薪車丈)、なよっと色っぽい赤星十三郎(壱太郎丈)も揃い、舞台はいっぱいいっぱい。
捕り手さんが出てくると、更にぎゅうぎゅう。
でも、それが“芝居小屋”という感じで、逆に良かったと思う。
そうそう、駄右衛門の下駄が妙に高かったのに気付いてしまった(笑)。

カーテンコール
10日、拍手が鳴り止まず、幕が開いて五人男が三方礼。
翫雀丈が日本駄右衛門の格好のまま、にっこり笑って手を振るのが可笑しかった。笑う日本駄右衛門なんて、初めて見たぞ。

11日、千穐楽のため、お茶子さんから出演者(五人男)に花束贈呈と、出演者のご挨拶。
皆さん口々に、「客席と近い」「いい芝居小屋」とおっしゃっていた。そして、とってもいいことをたくさん仰っていたと思うのだが、ハイテンションのため記憶が飛んでいる。(←年のせい?)
だいたいこんなことをおっしゃったというのを、覚えている範囲で箇条書き。

翫雀丈
・「日本駄右衛門の格好でニヤニヤするのも変ですが…」と前置き。
・去年は出演しなかったが、息子の壱太郎が出演していた。
・でも、見に行かなかった。→曰く、「冷たい親です(笑)」
・話を聞いて、どうしても出たいと思い、今年は出演できて嬉しい。

愛之助丈
・台風、地震の中ありがとうございます。
・お茶子さん、スタッフさん、ボランティアの方、豊岡市の方への感謝。
・去年はとても暑かったが、今年は冷房をたくさんつけてもらった。
・周りの人に宣伝して、次はお友達を連れてきてください。

薪車丈
・いいお役をやらせてもらえて嬉しい。
・感激屋さんなのか今にも泣きそうで、ご挨拶は短め。

壱太郎丈
・去年は誕生日を祝ってもらった。
・あんなにたくさんの人にハッピーバースディを歌ってもらったのは初めて。
・来年の誕生日もここで迎えたい。

男女蔵丈
・関東の人間なので、出石がどういうところなのか全く知らなかった。
・「すごく暑い」と聞かされて、どんなところだろうと思っていた。
・この芝居小屋が大好きになった。
・これからも歌舞伎を続けて行くことが大事。

最後は翫雀丈の大阪締め。
最初に練習をした。
「打ーちましょ(パン、パン)。も一つせ(パン、パン)。祝うて三度、よよいのよい(で、手拍子3回)」
最後のよよいのよい、が揃わず。
翫雀丈「最後が合わないんですよ(笑)」

無事、手も締めて、出演者の三方礼で幕。

楽しかった〜。
ぜひ来年も歌舞伎をやってほしい。

写真など

飾られている絵では、松王丸の着物が白い。


のぼり。


まねき。


のぼり。


お蕎麦。美味しかった!


葛餅と蕎麦湯。
店内には、愛之助丈、薪車丈、壱太郎丈のサインが飾ってあった。