年 (平成年)

三月花形歌舞伎 日生劇場

3月6日(土)〜3月26日(金)

配役
通し狂言 染模様恩愛御書(そめもようちゅうぎのごしゅいん)
細川の血達磨 (第一幕 85分/幕間 20分/第二幕 60分)

大川友右衛門:七代目 市川染五郎
印南数馬:六代目 片岡愛之助
横山図書:二代目 市川猿弥
腰元あざみ:二代目 市川春猿
細川奥方照葉:六代目 上村吉弥
細川越中守:八代目 市川門之助
講談:旭堂南左衛門

筋書
愛之助丈関連
2〜3ページ:扮装写真(染五郎丈との2ショット、チラシ表の写真)
7ページ、9ページ:扮装写真
12ページ:扮装写真(染五郎丈との2ショット、チラシ裏の写真)
20ページ:インタビュー
21ページ:扮装写真
42〜43ページ:初演時の舞台写真
料金
S席:12,600円
A席:8,400円
B席:4,200円
筋書:1,500円
参考
『蔦模様血染御書』:国立国会図書館サイト 内「電子図書館」→「近代デジタルライブラリー」にて、「蔦模様血染御書」を検索。
「大川友右衛門」で検索すると、他にも面白そうな資料がヒットする。

浮世絵:早稲田大学坪内博士記念 演劇博物館サイト 内「データベース」→「浮世絵」→「浮世絵閲覧システム」にて、外題に「蔦模様血染御書」を入れて検索。

BL小説とのコラボ。

珠の段
短編集のうち、本のタイトルになっている一作が細川血達磨伝説をモチーフにしたと思われる作品。


ほんの数ページだけど、友右衛門と数馬について触れている。
まるっと一冊武士道と男色の本なので、かなり(←アクセントは、“な”)濃ゆい。


こっちは血達磨伝説についてまるっと1章使っている。(友右衛門と数馬についても触れられている。) タイトルの通り、全編エグイ話がてんこもりなので、お気を付けを。


別冊付録
・漫画「かきつばた恋恋(れんれん) 」(『染模様恩愛御書』のコミック化)
・歌舞伎『染模様恩愛御書』解説(前回の舞台写真あり、モノクロ)
・市川春猿&松苗あけみ(漫画の作者)スペシャル対談
・「歌舞伎入門」
・歌舞伎『染模様恩愛御書』観劇案内

その頃、他の劇場では…
歌舞伎座
南座
国立劇場

雑誌
『婦人画報』2010年3月号→婦人画報 2010年 03月号 [雑誌]
愛之助丈関連
72〜73ページ:手打式の写真(カラー)
150〜151ページ:「歌舞伎の底力」市川染五郎×片岡愛之助
2ショット写真(モノクロ)、『染模様恩愛御書』チラシ写真(カラー)、舞台写真『土蜘』石神(昭和56年南座、モノクロ)あり
152ページ:『染模様恩愛御書』の紹介が少し
インタビューは『染模様恩愛御書』について。

『BEST STAGE』2010年4月号→BEST STAGE ( ベストステージ ) 2010年 04月号 [雑誌]
愛之助丈関連
90ページ中段:「染模様恩愛御書」製作発表の様子(小さい)
90ページ下段:「四国こんぴら歌舞伎大芝居」製作発表の様子(小さい)
105〜107ページ:片岡愛之助インタビュー(素顔写真あり、カラー)
114ページ:インスタント写真プレゼントの14番
インタビューは「染模様恩愛御書」について。

『演劇界』2010年5月号→演劇界 2010年 05月号 [雑誌]
愛之助丈関連
81ページ:舞台写真「染模様恩愛御書」印南数馬(カラーグラビア)
94〜95ページ:舞台写真「染模様恩愛御書」印南数馬(モノクロ 7枚)
103ページ:『染模様恩愛御書』の劇評
116ページ:五月花形歌舞伎(御園座)のチラシ(モノクロ)
127ページ下段:四国こんぴら歌舞伎大芝居の紹介(製作発表の写真あり、モノクロ)
129ページ上段:6月歌舞伎鑑賞教室(国立劇場)の紹介(扮装写真あり、モノクロ)

感想

12日夜の部を2階後方から観劇。

かきつばたソングに、奥方様(吉弥丈)の金色に輝く防災頭巾…
「嗚呼、『染模様〜』を観にきたんだなぁ…」としみじみ思った。(←そこで!?)
初演時とはところどころ変わっていたが、相変わらず面白かった〜!!
今回もシンプルな舞台装置で、場面転換がスピーディなので、途中セットが出来るのを待って中だるみすることがないのがいい。

初演時と比べ、図書(猿弥丈)はかなりわかりやすい悪役になっている。
きく(芝のぶ丈)を張り倒すわ蹴りを入れるわ、DV度とスケベ度がUP。(初演時はきくには優しかったのに…)
図書は刀欲しさに十内(欣弥丈)を闇討ちするので、十内がいよ(芝のぶ丈)に薬をもらいに行く場面はない。
なので、不義密通の汚名を着せられることもない。
数馬(愛之助丈)の母親も登場しないので、「父の無念を晴らすため、何が何でも敵討ちをしなくてはいけない」というところが薄いかな。

いくつかの場面を省いて、より簡潔に分かりやすくしてあるのだけれど、因果関係も省略されているのが勿体無いと思った。(しかし、簡潔で間延びすることもなかったから、どちらがいいのかは難しいところ。)
紫之助君とパパの代わりに、テンションの高い質屋が登場。冬季オリンピックネタなどを披露して去っていった。

さて、数馬は綺麗だった。 友右衛門(染五郎丈)と一緒の場面では、やたら客席から笑いが起きていた。
一目惚れし合う場面、「お袖に汚れが…」の場面、袖助(染五郎丈)の帯くるくる、シルエットロマンス(笑)、「恋い慕いたる数馬様をよもや男に…」の場面、殿(門之助丈)が2人を許して「天晴れ!」と言う場面などなど。

段治郎丈の殿様も素敵だったけど、門之助丈の殿様も素敵だった。おっとり上品で、この殿様なら不義密通も広い心で許してくれるかも、という感じだった。
でも、あの「天晴れ!」には笑うしかないよな〜。
友右衛門も数馬も、「お前らは梅川忠兵衛か!?」ってくらい、殿様の前でじゃらじゃらじゃらじゃら…
殿様、もしかして「余も若い頃は奥と… おお、照れくさ!」とでも思ったのか?(それじゃ、おえんさんだ。)

シルエットロマンス(笑)はパワーアップして、よりきわどくなっていたような気がする。
が、客席の笑い声もボリュームアップされてた気がする。
図書の居所を知った2人が屋敷に戻る場面、初演時は客席を歩いていたが、今回はなし。
その代わり(?)、2人で手をつないで帰っていった。
おいおい、きくが我が身の不幸を嘆いているっちゅーに、何やっとんねん、友右衛門っ!?
この物語で最も不幸なのはきく、続いてあざみ(春猿丈)だと思うぞ。

今回、あざみは罪を恥じて自害する。
初演時は引っ立てられてたので、それは今回の方がいいと思った。
火事場には大階段が現れ、友右衛門は派手に階段落ち。ごろごろごろごろ転がって、最後は柱にどかーん!
いやぁ、すごかった。大迫力、大拍手。
「肝、腎、腸」はなかったので、ほっとした。が、「あったらドン引きしたと思うけど、ないとちょっと寂しいかも…」と思ってしまった勝手な私。
2階から見ると、火の粉がきらきらしていてとても綺麗だった。

最後はカーテンコール。
友右衛門と数馬が中央で頭を下げて、左右に別れて引っ込む。メインキャストが左右から次々と登場する。最後に、友右衛門と数馬が再登場し、全員で礼をして終わり。
しかし、きくが出てこないのが不満。いろいろ事情はあるんだろうけど、あれだけ出番の多い役なんだし、カーテンコールできくも見たい。

今回の筋書は綺麗な写真(チラシの写真を含む、スタジオ撮影)が満載で、初演時の舞台写真も載っている。
さらに、かきつばたソングの歌詞(の一部)まで載っているので、オススメ(笑)。
やっぱり『染模様〜』は面白い。
もう1回観に行く予定。東京に住んでいたら、もっと観に行けるんだけどなぁ。

余談。
大丸の「銀のぶどう」で買った桜もち「江戸大桜」がとても美味しかった。

千穐楽感想

前方中央付近にて観劇。
前回は舞台全体が見えたので、ライティングが綺麗なことがよくわかった。今回は役者さんの表情までよく見えた。(が、前回より良くなってるように感じたのは、表情がよく見えたからだけではないはず!)

千穐楽スペシャルの演出以外は、前回との違いはあまりわからなかった。
数馬(愛之助丈)の部屋にかきつばたが飾ってあったくらいかな。
それと、友右衛門(染五郎丈)と寄り添う時(シルエットロマンスの前)、キスしそうになってて驚いた。唇がくっつきそうなところで離れたけど(笑)。

今回は千穐楽スペシャル。
宝蔵へ向かう友右衛門が客席に登場。客席は大喜び。(初演の千穐楽でもやったから、これはやると思ってた。)
まずは2階席に現れ、南左衛門さんが「そこは一の蔵です」と言う。
ちなみに、初演の千穐楽(松竹座)では、3階→2階→1階の順に客席に現れた。
友右衛門がロビーを駆けているであろう間、南左衛門さんが「友右衛門は細川家に来て日が浅いため、宝蔵の場所をよく知らなかったのかもしれません」みたいなフォローをして時間稼ぎ。
1階では、花道ではなく、上手前方の入り口から現れた。
通路で台詞を喋ってから、3列目と4列目の間の通路を走って、花道へ向かう。ズタボロの友右衛門はなかなか花道に上がれず、近くの席の御婦人の手を握って(手助けしてもらって?)花道に上がっていた。

友右衛門が階段落ちして、舞台中央で見得をした時に火の粉(=金、銀、赤のセロファン)がドシャーッと降ってきた。
お笑い番組のコントで、上から白い粉が降ってくるような、あんな感じの土砂降り状態だった。
キラキラギラギラしててすごかった。もちろん、客席は大喜び。
しかし、舞台に火の粉が降り積もったままになるため、帯刀(錦吾丈)がちょっと滑りそうになってたような?

カーテンコール。
主役2人がいったん引っ込み、吉弥丈、錦吾丈、春猿丈、門之助丈、猿弥丈、愛之助丈、染五郎丈の順に(←たぶん)登場。
染五郎丈は火の粉の上を横になってシャーッと滑っていた。猿弥丈は一人でセットの階段を上って、ぐるりと歩いて降りてきた。(図書の時と違って優しそうな笑顔だった。)
客席はスタオベ状態。実は、カーテンコールを何回やったかよく覚えてない。(←興奮しすぎや。)
笑顔の役者さん達がとっても素敵だった。

スタッフ(?)が舞台の下から染五郎丈と愛之助丈に花束を渡し、2人はそれを持って花道でご挨拶… と思いきや、愛之助丈がすっぽんの辺りまで行くと、煙(火事場で噴き出すヤツ)がブシューッ! 愛之助丈、ビックリしてたな。
その後、染五郎丈が「数馬!」と近付き、2人で寄り添っていた。
染五郎丈が「これからも歌舞伎を観に来てください」とご挨拶。「来月は滝沢歌舞伎がありますが(笑)、歌舞伎を観に来てください」とのこと。


↑最後に、かきつばたの花びらが噴射され、客席はすごいことに…!(暗くて画像では見難いけど…)


↑記念にもらってきた。

はー、面白かった。
セットといい、かきつばたソングといい、歌舞伎っぽくはないかもしれないが、場面転換がスピーディで、物語がわかりやすくて面白い。豪華絢爛なセットも好きだけど、たまにはこういうのもいいんじゃないかな。
再々演もやってほしいな。
友達に筋書を頼まれていたのだけど、売り切れだった。(そういえば、初演の時も売り切れてたな。)
そうそう、カーテンコールでプレゼントを渡してる人がいたけど、アレはありなのか?(反語)

おまけ。

↑再び、大丸の「銀のぶどう」で「江戸大桜」(最後の1つだった)を購入。