年 (平成年)

第二十六回 四国こんぴら歌舞伎大芝居 金丸座

4月10日(土)〜4月25日(日)

配役
第一部(11:00開演)
一、源平布引滝
  義賢最期(よしかたさいご)

木曽先生義賢:六代目 片岡愛之助
小万:二代目 市川亀治郎
進野次郎:二代目 中村亀鶴
待宵姫:初代 中村壱太郎
葵御前:六代目 上村吉弥
多田蔵人行綱:五代目 中村翫雀

二、棒しばり(ぼうしばり)
次郎冠者:五代目 中村翫雀
曽根松兵衛:二代目 中村亀鶴
太郎冠者:六代目 片岡愛之助

三、澤瀉十種の内 浮世風呂(うきよぶろ)
三助政吉:二代目 市川亀治郎
なめくじ:初代 中村壱太郎

第二部(15:00開演)
通し狂言 敵討天下茶屋聚(かたきうちてんがちゃやむら)
  序 幕 四天王寺の場
  二幕目 東寺貸座敷の場
  大 詰 福島天神森の場
      同川下の場
      住吉の宮境内の場
      天下茶屋村敵討本懐の場

安達元右衛門、片岡造酒守:二代目 市川亀治郎
東間三郎右衛門:六代目 片岡愛之助
早瀬伊織:二代目 中村亀鶴
早瀬源次郎:二代目 尾上右近
葉末:初代 中村壱太郎
染の井:六代目 上村吉弥
安達弥助:五代目 中村翫雀


筋書
愛之助丈関連
7ページ:以前の舞台写真(「義賢最期」木曽先生義賢、カラー)
37ページ:インタビュー(舞台写真あり、カラー。「元禄忠臣蔵」徳川綱豊卿、「女殺油地獄」与兵衛)
料金
上場席(A席):13,000円
中場席(B席):10,000円
並場席(C席):7,000円

筋書:1,000円
記念切手シート:1,200円

その頃、他の劇場では…
歌舞伎座
新橋演舞場

雑誌
『演劇界』2010年6月号→演劇界 2010年 06月号 [雑誌]
愛之助丈関連
87ページ:舞台写真「棒しばり」太郎冠者(カラーグラビア、翫雀丈の次郎冠者の後ろに写っている)
88ページ:舞台写真「木曽先生義賢」木曽先生義賢(カラーグラビア)
94〜95ページ:舞台写真「敵討天下茶屋聚」東間三郎右衛門(モノクロ 3枚)
94〜95ページ:舞台写真「棒しばり」太郎冠者(モノクロ 2枚)
96ページ:舞台写真「義賢最期」木曽先生義賢(モノクロ 6枚)
106〜107ページ:四国こんぴら歌舞伎大芝居の劇評
109ページ:6月歌舞伎鑑賞教室(国立劇場)のチラシ(モノクロ)
127ページ下段:五月花形歌舞伎(御園座)夜の部の紹介(団七の写真あり、モノクロ)

感想

第一部
16日に前方上手側で観劇。

義賢最期
これを見るために、四国まで行った。行って良かった〜!!
戸板倒し、仏倒れはもちろん、矢がびゅんびゅん飛んできたりして、立ち回りが凄かった。(客席からは悲鳴と拍手が…!)
それだけでなく、物語もとても良かった。
義賢(愛之助丈)の親として、夫としての情愛がところどろこ見えるところがいいなぁと思った。

「思い残すことはない」と言いながらも、「未だ見ぬ我が子に会いたい」と言い、さらに「迷うた」と言い直す場面がとても好きだ。
行綱(翫雀丈)と待宵姫ではなく、あくまで葵御前に白旗を託そうとしていたのは、お腹の子供(この時点では男の子とはわかっていないけど)に旗揚げしてもらいたかったからなのかなぁ。
『実朝物語』で小万(亀治郎丈)が死んでも白旗を離さなかったわけがよくわかった。あの最期を見届けたら、そりゃ、離せないよなぁ…
全体的に重い話だが、九郎助(橘三郎丈)と太郎吉が出てくると場面が和んで、ほっと一息つける。

始まって早々、二階席から「「「美吉屋!」」」という合唱のような掛け声が2回ほどかかって驚いたのだが、第二部にさらに吃驚仰天な掛け声がかかるとは…

棒しばり
面白かった〜。 私は踊りは良くわからないのだが、こういうのはわかりやすくて楽しい。
登場人物が皆、のほほんとした感じ。
松兵衛(亀鶴丈)が2人を縛った後、楽しそうに出かけていくところが笑えた。
腕を縛られているのに、次郎冠者(翫雀丈)が扇を左手から右手へ投げて取るのがすごい。
太郎冠者(愛之助丈)も運動量が多くて、『義賢最期』の後に、よくこれを踊れるなぁと思った。

浮世風呂
開始直後は真っ暗。そこへ、薄く光が差し込む。
煙か何かわからないが、白く湯気みたいなものがもわもわと光に浮かび、本物の風呂場に朝日が差し込んでいるように見えた。

政吉(亀治郎丈)は白塗りの粋なアンチャンという感じで、かっこいい。
なめくじ(壱太郎丈)がスッポンから登場。頭になめくじのぬいぐるみ(?)をつけていて、動くたびに触覚が揺れて可愛い。動きも可愛い。ちなみに、着物には「なめくじ」と書かれている(笑)。
塩を撒かれて追い払われたのには笑ってしまった。
政吉が「こんぴらふねふね〜♪」と歌うと、客席が受けてたなぁ。
若い者との立ち回りもあり、こちらも面白い踊りだった。

第二部
16日に前方花外で観劇。

通し狂言 敵討天下茶屋聚
以前、浪花花形で観て面白かった芝居。
東間(愛之助丈)と造酒守(亀治郎丈←と言っても、最初の内は吹き替えだと思う)が深編み笠を被って行ったり、着たり。笠を取る場面が待ち遠しかった。

染の井(吉弥丈)と葉末(壱太郎丈)が花道に登場。(浪花花形で観た時、葉末は登場しなかった。)
すると、やたらめったら「美吉屋!」「美吉屋!」「美吉屋!」「美吉屋!」「美吉屋!」と声をかけまくる人が… あまりの勢いに吉弥丈も驚いたのか、台詞がつっかえていた。客席も大笑い。
おいおい、芝居をぶち壊す気か!?(流石にクレームが入ったのか、それ以降、掛け声は止んだ。)

元右衛門が按摩になって現れ、花道で本性を現して目を見開く場面がある。
翫雀丈の元右衛門で見た時は「もしかして、改心した…? えーっ!? やっぱり悪いヤツだったのか!!」と思ったのだが、亀治郎丈の元右衛門は「絶っ対に何か企んでるでしょ? やっぱりねー。待ってました!!」という感じだった。
東間達と伊織(亀鶴丈)を惨殺する場面では、元右衛門に凄みがあり過ぎで小悪党に見えない。

大詰で元右衛門が逃げ回る場面は面白かった。
客席に下りてお客さんのストール(?)を被って丸くなって隠れたり、はしごを使って仮花道から2階へ上がり、2階の端から舞台へ飛び降りたり、附け打ちさんの附けを奪って、バタバタと打ってみたり、白馬にまたがってみたり、やりたい放題だった。

腕助(段一郎丈)が客席に向かって「元右衛門はどこへ行ったか知らねぇか?」と聞いて回っていた。「今日のお客さんは元右衛門の味方らしい」「人は見かけによらねぇな」なんてやり取りもあった。
カトキチのうどんを売っていたお婆ちゃんが面白かったな。(耳が遠くて何度も聞き直したり、元右衛門に羽織を取られて「私は亭主がある身」と言ったり、「出てきたばっかりなのに〜」と引っ込んだり…)
元右衛門は追い詰められ、染の井を「美吉屋さん! 美吉屋さん!!」とものすごい勢いで持ち上げる。(吉弥丈、後ろを向いて笑いを堪えていたような…?) 死ぬ時は猫みたいに丸くなって、パタッと倒れた。

客席は亀治郎丈のやることなすことに大受けだったんだけど、造酒守として登場した時も喋るたびに笑いが起きて、ちょっと気の毒だった。
東間が刺されたところで「本日はこれぎり」となり、出演者が舞台で礼をして幕。
浪花花形の時も思ったけど、東間、実は弱いんじゃ…?

外は雨で非常に寒く、1日中小屋の中でコートを着ていた。
出店のお団子とわらび餅がとても美味しかった。
お土産は「釣女」(栗の入ったお饅頭)と「加美代飴」。


おまけ

↑岡山駅で買った栗おこわ弁当。第一部の幕間に食べた。


↑第二部終了後、「狸屋」さんで食べたさぬきうどん定食。
こしがあって、美味しかった。
お店の中もこんな感じ(↓)で素敵だった。

帰り、切符売り場で「明日の第一部のチケット余ってますか?」と聞いたところ、売り切れだった。
なので、翌日はこんぴら参りをすることにした。