年 (平成年)

「花の武将(ひと)前田慶次」松竹座

9月3日(金)〜9月23日(木)

配役
昼の部(11:00開演)/夜の部(16:00開演)
花の武将(ひと)前田慶次
前田慶次:片岡愛之助
伽耶:佐藤江梨子
直江兼続:山崎銀之丞
捨丸(金蔵):石井正則
四井主馬:安藤一夫
風見小次郎:野田晋市
山上道及:角田信朗
徳川家康:新藤栄作
庄司又左衛門:田山涼成
前田まつ:賀来千香子


筋書
10〜11ページ:役者紹介(扮装写真あり、カラー)
26〜28ページ:賀来千香子×片岡愛之助×佐藤江梨子 座談会(写真あり、カラー)
32〜34ページ:「生粋のカブキ役者 愛之助(亀岡典子)」{素顔写真(カラー)、舞台写真(モノクロ):「義賢最期」義賢、「女殺油地獄」与兵衛、「蝉しぐれ」文四郎}
グッズなど
フォトセット(扮装写真1枚、素顔写真2枚):1,200円
前田慶次の舞台写真(5種類):各500円

ガーゼハンカチ:350円
ガーゼ手拭い:450円
豆半被ハンカチ:550円

料金
1等席:12,600円
2等席:7,350円
3等席:4,200円
筋書:1,300円
その頃、他の劇場では…
新橋演舞場
南座
巡業 西コース
新歌舞伎座

雑誌
『PLUS LUMINO』2010年8月号
愛之助丈関連
69ページ:「Scoop! 片岡愛之助」(写真あり、カラー)
愛之助丈は黒のスーツに銀のネクタイを着用。
赤いソファーに脚を組んで座っている。

『SAVVY』2010年10月号→SAVVY (サビィ) 2010年 10月号 [雑誌]
愛之助丈関連
145ページ(1/3ページ):「STAGE 片岡愛之助」(素顔写真あり、カラー)
黒のスーツに白いシャツ、ノーネクタイ。

『Leaf』2010年10月号→Leaf (リーフ) 2010年 10月号[京都・滋賀のタウン情報誌]
愛之助丈関連
61ページ:片岡愛之助インタビュー(素顔写真あり、モノクロ)
『北斗の拳』や『魁!男塾』が好きなのだとか。

『BEST STAGE』2010年10月号→BEST STAGE (ベストステージ) 2010年 10月号 [雑誌]
愛之助丈関連
102〜103ページ:片岡愛之助インタビュー(素顔写真あり、カラー)
106ページ:インスタント写真プレゼントの12番
ピンクのシャツに白ズボン。
最初は「ミュージカルをやりたい」と言っていたらしい。

『演劇界』2010年11月号→演劇界 2010年 11月号 [雑誌]
愛之助丈関連
105ページ:舞台写真「花の武将 前田慶次」前田慶次(モノクロ 2枚)
117ページ:「花の武将 前田慶次」の劇評
143ページ上段:「永楽館大歌舞伎」記者会見の様子(写真あり、モノクロ)

1回目 感想

14日に前方中央にて観劇。

面白かった〜。
この前田慶次(愛之助丈)という主人公、動いていく世の中で、ただひたすら傾(かぶ)いている。
敵討ちとか、ライバルとの決闘とか、天下を取るとか、悪の親玉を倒すとか、そういった客に受けそうなエピソードはない。
それでいて、最後まで飽きさせないんだから、すごい。
舞台変換はスピーディだし、愛之助丈のお色直しの回数は多いし、物語は爽快だし、楽しかった〜。

まず、場内が暗くなり、スッポンから庄司又左衛門(田山涼成さん)が登場し、慶次について語る。(←劇中でナレーションのような役も勤めている。)
どこかで見たことある… と、思ったら、『朧の森に棲む鬼』のイッチャンだ!

花道から松風(慶次の愛馬・どちらかの脚はおそらく千蔵丈)、金蔵(石井正則さん)、少し遅れて慶次が登場する。松風と金蔵のやり取りが面白い。
慶次は“傾奇者”に絡まれている男装の麗人・伽耶(佐藤江梨子さん)を助け、そこへ山上道及(角田信朗さん)も現れる。
慶次「お前、立会いになってくれ。審判は得意だろ」
道及「マサトにボブサップに…」とK-1ネタがあったけど、残念ながらK-1は詳しくないので、よくわからなかった。
角田さん、すっごい筋肉だった。

伽耶は慶次の弟子になり、身の回りの世話をするようになる。
そこへ豊臣秀吉(江口直彌さん)の使者が「家来に取り立てるから聚楽第に参内せよ」という書状を持ってやってくる。
さらに、上杉の家臣(先ほど蹴散らした傾奇者の身内)が敵討ちにやってくる。
その上、又左衛門夫妻(伽耶の両親)もやってくる。この辺りのやり取りが面白かった。

直江兼続(山崎銀之丞さん)が登場し、「非は我が方にある。かまわず斬り捨ててください」と言う。
兼続が名乗ったら、会場から「ほーぅ」という声が上がった。
2人は意気投合し、慶次は兼続に「前田慶次は“傾奇者”で役に立たないから、秀吉に断りを入れてくれ」と頼む。
兼続がいいキャラしてるんだ、これが。
兼続「『北斗の拳』を全巻そろえた。書物は良いぞ」
兼続「好きな言葉は… 愛(Vサイン)」←効果音付き
さすが、ただの二枚目ではない。ちょっと軽いような、ツッコミドコロがあるところがいい。

慶次は遊郭へ行く。
愉快な遊女達とやり合っているところへ、まつ様(賀来千香子さん)が登場。
お付きの者を追い払うのに、財布をぽんっと投げて、「これで遊んで参れ。命令じゃ」というときのかっこよさ!
賀来さんは、子供の頃にテレビドラマで見た印象そのままで、綺麗〜。“THE 女優”という感じで、オーラが出ていた。
まつ様がねねに頼んで、秀吉に「慶次を召抱えてほしい」と頼んだということがわかる。
「慶次という虎を飼いならせなかった。それがあの人(利家)の器」と言い切る姿の凛々しいことったら!
手を握ったりしても決して近付きすぎない、まつ様と慶次の距離感がいい。

加賀忍の頭領・四井主馬(安藤一夫さん)と風見小次郎(野田晋市さん)の場面が、ところどころに入る。
主馬は加賀を裏切って、徳川と通じている。安藤さんは『蝉しぐれ』でも敵役だったなぁ。
野田さんは『蝉しぐれ』で気の弱い優等生役だったが、今回は全く違うタイプの役。暗くて、怨みつらみを胸に抱いている屈折した感じがいい。
実は、金蔵が慶次を狙っている加賀忍の捨丸ということもわかる。
慶次はとっくにそれに気付いていて、「出会ったときから気付いていた。お前の目は暗過ぎる」と言う。
ひょうきん者だと思っていた金蔵が、途端に暗い人間に見える。役者さんってすごいなぁ。

慶次は聚楽第へ赴き、秀吉に直接断りを入れに行く。
奇抜な格好で現れ、秀吉を小ばかにしたように、猿のように踊る。
秀吉がなんともいい味を出していた。特に三河弁がいい。(大袈裟な名古屋弁にならないところが、いい。)
徳川家康(新藤栄作さん)を足蹴にして、「おみゃーのこすい三河の人間の性格… わし、好きだぎゃ」と言うところなんて、サイコー!(笑) そうそう、「せこい」でも「ずるい」でもなくて、「こすい」なんだよねー。
また、千利休(田畑猛雄さん)の知恵者っぽくも胡散臭いところが良かった。
慶次は、正装をして、再度秀吉に挨拶をする。
秀吉は慶次の男っぷりを認め、“傾奇御免状”を許す。

まつ様と慶次が月と桜を見て語り合い、一度は逃げ出した金蔵が戻ってくる。
花見の宴が開かれるが、衣装がすごい。ミニスカートに金髪のギャルのような格好だ。
又左衛門「あらかじめお断りしますが、舞と言っても、千日前のショーパブ風の舞でございます。本職の慶次様にはかないませんので」
…と、いうことらしい。
ここで、伽耶も踊るのだが、その細さにビックリ!
内臓、どこに入ってるの!? 太腿、私の脹脛より細いんじゃないか!? 顔も細くて顎が尖ってるし、痛々しいくらいだけど、芸能人はこれが普通なんだろうか???(それでも、胸だけふくよかなのが羨ましい…)

慶次と金蔵と松風は上杉軍の佐渡討伐に加わり、活躍する。
金蔵は加賀忍を裏切って慶次についているため、小次郎らに裏切り者として狙われる。
「わしの名前は金蔵じゃー!」と叫ぶ金蔵の姿に、涙。
瀕死の状態で小次郎をかばおうとする金蔵を見て、また涙。
結局、主馬の裏切りを知り、小次郎は主馬を殺して、「忍だって、意地もあれば誇りもある」と自害する。虐げられ、闇の中でうごめく忍の姿が切ない。

「前田慶次は傾き通すぞ!」と宣言する慶次がかっこいい。
兼続と2人で、
「好きな言葉は… 愛(Vサイン)」←効果音付き
と響き合い、疎外感を感じて悔しがる道及の場面が笑いを誘う。

慶次との別れを決意した伽耶は、又左衛門の胸にしがみつき、「生まれ変わったら、素直な女子になりたい」と泣く。
「正直、芝居はあまり上手くないなぁ」と思ったが、一生懸命さとかいじらしさとか健気さが伝わってきて、もらい泣きしてしまった。この辺りから、ずっと泣きっぱなし。(年を取ると、涙腺が緩くなるなぁ…)
伽耶はその後、阿国として、歌舞伎踊りを始める。

伊賀忍(徳川の忍)が狙っている信長の書状には、「四男利家が家督を継ぐように。ただし、それは10年に限る。10年後は長男かその息子(=慶次)が家督を継ぐように」と書かれている。
それを知ったまつ様は慶次のもとへと馬を走らせる。
しかし、それを受け取った慶次は、書状を火にくべてしまう。
まつ様の「男に生まれたかった」「慶次に惚れた、と言いたかった」という言葉が泣ける。

その後もまつ様は大活躍。
家康に謀反を起こそうとした我が子を張り倒し、「私が人質になる」と江戸に乗り込む。
「慶次の贔屓にしていた呉服屋で仕立てた」という内掛けをまとい、「これがまつの一世一代の大傾奇じゃ!」と堂々と花道を歩く姿がかっこよかった〜。

家康の矛先は上杉に向かう。
家康のイヤ〜な感じが上手いなぁ、と思った。
慶次と金蔵は山に篭っていたが、そこへ伽耶が「家康が上杉に攻撃をしかける」ことを知らせに来る。
「傾いてみて、よくわかりました。傾奇者は寂しゅうございます」「今夜だけは、慶次様は伽耶のものです」と言ってすがる姿がいじらしい。

慶次と松風、金蔵、道及は兼続の元へと駆けつけ、勝ち目のない戦へ身を投じる。(兼続の兜には金色に輝く“愛”の文字が…)

カーテンコール。
幕が開き、又左衛門一座や松風が並ぶ中、メインキャストが1人ずつ登場。(賀来さんとサトエリちゃんは一緒に出てきた。) 全員で三方礼して幕。
ちゃんと松風もお辞儀をしていた。松風、可愛い。
舞台には桜の花びら、客席にはきらきらしたテープが降ってきた。

面白かった〜。
もっと早くに観に行けばよかった。
慶次はとにかくかっこよくて、かっこいいのが当たり前という感じだったなぁ。
“広告に偽りなし”の、痛快な時代劇だった。

それでは、最後に。
「好きな言葉は… 愛v(^^)」


お昼は、いつも通り、「たちばな」の豆腐御膳。

お土産も、いつも通り、アンドリューのエッグタルト。

千穐楽 感想
23日に前方花道寄りで観劇。
前回長々と書いたので、今回は短めの感想。

開演前、なんだかざわついていると思ったら、それもそのはず、秀太郎丈がきれいどころと一緒に桟敷席(松竹座でも“桟敷”というんだろうか?)にいらしていた。

愛之助丈は常々「最低3回は見てください」とアピールしているが、実にもっともだと思った。
1回しか見ないと、どうしても好きな役者さんの一挙手一投足に視線が集中し、周りが見えなくなってしまう。
筋書を見て配役を知ってはいたのだが、千壽郎丈とりき彌丈が又左衛門(田山涼成さん)一座で、ギャルメイクで踊っているのを見つけてびっくりした。(←それは最初に観た時から気付いとけ。)

金蔵(石井正則さん)がところどころで実に暗い目をしていたことにも気付いた。
松風はただ突っ立っているわけではなく、首を動かしたりしていた。
慶次(愛之助丈)の野太い声と兼続(山崎銀之丞さん)のソフトな声の対比がいいなぁと思った。

慶次と傾奇者のケンカに道及(角田信朗さん)が立ち会う場面の台詞が変わっていた。
慶次「審判は得意だろ」
道及「今年も大晦日にかり出されるかのう」
あと、結城秀康(仁科克基さん)が登場したときの語尾が「だっちゃ!」から「ちゅーの!」に変わっていた。(慶次と道及も「ちゅーの!」を使っていた。)

最後はWアンコール。
愛之助丈は客席から花束を渡されていた。
サトエリちゃんの笑顔を見て気付いたんだが、劇中、伽耶はずっと八の字眉毛にへの字口で、まともな笑顔がなかったなぁ…

千穐楽スペシャルみたいなことはなかったと思う。
面白い舞台だった。


お昼は「たちばな」のきつねうどんとかやく御飯のセット。

うどん、美味しかった〜。

お土産は「アルション」の塩カラメルカステラ。紅茶も買った。
名古屋で「アンティーク」の「とろなまクリームパン」のチョコレート味を購入。