年 (平成年)

第四回 永楽館大歌舞伎

11月4日(金)〜11月9日(水)

配役
第一部(11:30開演)/第二部(16:00開演)
※9日は、第一部のみ一回公演

一、双蝶々曲輪日記
  引窓(ひきまど)

南与兵衛、後に南方十次兵衛:六代目 片岡愛之助
女房お早:初代 中村壱太郎
三原伝造:初代 中村隼人
平岡丹平:三代目 片岡當十郎
母お幸:六代目 上村吉弥
濡髪長五郎:二代目 中村錦之助

二、お目見得 口上(こうじょう)

三、茶壺(ちゃつぼ)
熊鷹太郎:六代目 片岡愛之助
麻胡六:初代 中村壱太郎
目代某:六代目 上村吉弥


筋書
愛之助丈関連
16ページ:出演者紹介 片岡愛之助(舞台写真あり、カラー。「義賢最期」木曽先生義賢、「好色一代男」浮世之介)
17ページ:舞台写真「外郎売」曽我五郎(カラー)
料金
10,000円(全席指定)
筋書:1,000円
その頃、他の劇場では…
新橋演舞場
平成中村座
博多座
巡業

雑誌
『演劇界』2012年1月号→演劇界 2012年1月号
愛之助丈関連
71ページ:舞台写真「引窓」南方十次兵衛(カラーグラビア)
102〜103ページ:舞台写真「引窓」南方十次兵衛(モノクロ 5枚)
102ページ:舞台写真「口上」(モノクロ 1枚)
102〜103ページ:舞台写真「茶壺」熊鷹太郎(モノクロ 3枚)
112ページ:永楽館大歌舞伎の劇評
146ページ上段:二月花形歌舞伎の紹介(1/3ページ)

感想
6日の昼の部を前方花道付近で観劇。


引窓
泣いた〜。 この話は何回見ても泣ける。
特にお幸(吉弥丈)が「人相書きを売って欲しい」と頼み、与兵衛(愛之助丈)が「何故にものをお隠しなされます」と言う場面。
ここから先は泣きっぱなし。どうやら私は、母親ものに弱いらしい。

濡髪(錦之助丈)は背も高く、顔も綺麗で、声も聞きやすく、素敵だった。
与兵衛は母と妻の前ではしゃいでいるのと、平岡丹平(當十郎丈)と三原伝造(隼人丈)の前でかしこまってるところのギャップがいい。人のよさそうな感じがよく出ていた。
お早(壱太郎丈)はきゃぴきゃぴした感じで可愛く、また姑のために必死で濡髪を逃がそうとするところが健気。嫁姑が良好な関係なんだなぁ。

濡髪を逃がそうと必死だったお幸が、「冥途の十次兵衛殿に申し訳がたちますか?」と言われ、我が子を後ろ手に縛るところはさらに泣ける。
与兵衛は「こうのうてはかなうまい」とどこかで聞いたことのある台詞を言いつつも、理由をつけて濡髪を逃がしてやる。
登場人物で血がつながっているのはお幸と濡髪だけなんだけど、皆、血の通った家族なんだなぁ。
血がつながっている家族が起こす事件についての報道を目にするが、何かいろいろ考えさせられた。

口上
※だいたい、こんな感じのことを言っていたという程度です。一言一句この通りに喋っていたわけではありません。(聞き間違い、勘違い等ありましたら、ごめんなさい。)

花道側から、吉弥丈、隼人丈、愛之助丈、壱太郎丈、錦之助丈の並び順。

まずは愛之助丈からご挨拶。
・錦之助のお兄さんに濡髪で出ていただけて嬉しい。
・そのご子息の隼人君が僕は大好き。
・隼人君はカラオケでキンキキッズを歌う。
「ここで歌ってくれるそうです」(会場拍手。隼人丈、横でぶんぶんと首を横に振る)
・柿落としは8月で、非常に暑く、温度計が40度を超えて割れた。
・1年目、出石町に近付くたびに人がいなくなり、役者とスタッフの方がお練りで集まる人より多かったらどうしようかと心配したが、どこからともなく集まってきてくれてほっとした。
・今年はお城祭りだということもあり、たくさんの人に来てくれた。
・『引窓』の与兵衛は十三代目が得意とした役で、我當の伯父、仁左衛門の伯父がそれぞれ手がけている。
・今回は我當の伯父に教えていただいた。
・5年目以降も続けたいのでよろしくお願いします。

壱太郎丈。
・永楽館の周りには、お蕎麦屋さんだけでなくお菓子屋さんやお土産物屋さんがたくさんある。
・永楽館歌舞伎を続けて行くために、ぜひたくさんお土産を買って帰ってほしい。
・出石町だけでなく、豊岡市のことも知らないといけないと思って勉強した。
・玄さんというキャラクターがいる。
・オオサンショウウオのオオちゃん、コウノトリのコウちゃんもいる。
・オオちゃんとコウちゃんは見たことがないので、情報があったら壱太郎の楽屋までご連絡ください。
・お早は憧れの役。
・『茶壷』では田舎者の役で、女形が多い自分には今までない役。→「僕の新境地」
・隣近所、左右だけでなく前後にも「永楽館が面白かった」と宣伝してください。
・特に7日と8日の夜の部は切符がまだあるらしいので、よろしくお願いします。
・話したいことはまだまだあるが、次の『茶壷』に差し支えるのでこの辺で。

錦之助丈。
「他の方がたくさん話してくれたので、あまり話すことはありません」(と言いつつ、たくさんお話してくれた。)
・出演している役者さんとの関わりについて語る。
・松嶋屋さんとは血縁らしい。
・十三代目さんと三世時蔵は西の松嶋屋、東の小川家というくらい子沢山。
・今は松嶋屋さんが7人、小川家は11人で、小川家の方が4人多い。
・愛之助さんに早く結婚してもらって、男の子を4人産んでもらって、同じ11人にしてサッカーがしたい。
・壱太郎君のお父さんの翫雀さんとは小学校から高校まで先輩後輩。
・翫雀兄さんが1つ先輩で、いろいろ遊んでもらった。
・小学生の頃は1つ上だったのに、高校になったら、なぜだかわからないが2つ上になっていた。
・吉弥さんとは以前恋人同士の役だったが、なかなか上手くいかなかった。
・珍しく女性の方が積極的に迫る役で、先輩に「いつも通りにやればいいのよ」と言われた。
・そしたら、吉弥さんが「そんなことしたことありません! 芸! 道一筋です」と答えた。(←変なところで切るから吃驚したよ。)
・倅の隼人は、妻の実家が九州なので、薩摩隼人から隼人と名付けた。
・歌を歌うらしいが、まず自分が一曲歌う。(会場大拍手)
「私の年代では演歌です。(と、扇子をマイクに見立てて)浪のぉ〜谷間にぃ〜命の花ぁがぁ〜♪」
・続きはまた今度。7日か8日の夜にでも。
・続きを歌いたいので、ぜひお越しください。
「愛之助さん、また呼んでください」

吉弥丈。
・錦之助丈の方を見やって、「錦之助さん、あとで楽屋でお稽古しましょう」と言う途中で噛んでしまい、客席が受ける。
・『引窓』のお幸、『茶壷』の目代と、あまりしたことのないお役ばかり。
・去年、吉村さんで愛之助さんと間違われ、お代を払おうとしたら「いいです」と言われた。
「愛之助さん、ありがとうございます」
・今年は忙しくて行けてない。
「皆さん、ぜひ吉村さんでお蕎麦を食べてください。必ずお代はお払いください!」

隼人丈。
・愛之助丈、錦之助丈の方を見やって、「愛之助お兄さん、お父さん、無茶振りしないでください」
・今年17歳の高校3年生。
・高校最後の年に永楽館に出させてもらえて嬉しい。
・出石町はお蕎麦が有名で、20皿食べると手形がもらえる。
・20皿食べて手形をもらってきた。(と、懐から手形を取り出す。)
「すし屋 勘兵衛さん…(客席から「すし屋?」「蕎麦屋、蕎麦屋!」の声)蕎麦屋! 勘兵衛さん!」
・愛之助丈が横を向いて何やら言っている様子。
「名前を言うのを忘れてました」と、ここでようやく自己紹介(笑)。

愛之助丈に戻って。
「ご清聴ありがとうございました(笑)」(場内も笑う)

面白かった〜。
愛之助丈のご挨拶はいつも通りすらすら、壱太郎丈は若いのにしっかりしていて、吉弥丈はちょっと天然な感じ。
錦之助丈がこんなにお茶目とは思わなかった!(すっかりファンになってしまったよ。)
隼人丈は初々しくて可愛かった。


茶壷
花道から酔っ払った麻胡六(壱太郎丈)がやってきて、茶壷を担いだまま寝入ってしまう。
そこへすっぱ(=盗人)の熊鷹太郎(愛之助丈)がやってくる。口の周りを黒く塗った拵えで、登場した時に客席から驚きの声と笑いが…
2人で茶壷を奪い合っているところへ、目代(吉弥丈)が登場。それぞれの言い分を聞いて、どちらが正しいか裁定を下そうとする。
「まずは都の様子…」と言いかけて、言い直したけど、台詞、間違えた?(でも、最後までこんな台詞はなかった。)
もう1回見ていたら、違いがわかったんだけどなぁ…(毎年2回観ていたが、今回はシスティーナへ遠征するため、1回しか観ていない)

麻胡六が喋る内容を聞いて熊鷹が真似をするので、目代は「同じようなことを言っている」と困っている。
連れ舞で、軽快に踊る麻胡六を横目に、どったんばったん踊る熊鷹の様子が面白い。
麻胡六が熊鷹に盗み聞きをされていることに気付き、目代の耳元でこっそりと茶の斤を囁く。
熊鷹は困り、やけになって「茶の斤は… 上村吉弥は芸! 道一筋!」と叫ぶ。(錦之助丈の口上の真似)
吉弥丈、アドリブに弱いのか、ちょっと困っていたような…?(その姿が可愛いのだ。)
熊鷹はすっぱだと見破られるが、茶壷を奪って逃げていく。
わかりやすくて楽しい演目だった。

拍手がやまず、カーテンコールで簡単なご挨拶があった。(一言一句、この通りに喋ったわけではありません。)
愛之助丈「口上で壱太郎さんが言ったように、たくさんお土産を買って帰ってください。この周辺にホテルがたくさん建つくらいに」
壱太郎丈「すごく汗をかいてます」
吉弥丈「…すみません。いろいろ言われるので(「芸道精進」のところだと思われる)、対応できません。来週は、この3人で四国で歌舞伎をします」(と、システィーナ歌舞伎の紹介)
もっとたくさんお話していたが、失念。

泣いて、笑って、笑って、とても楽しかった。
来年も再来年もずっと、永楽館で公演を続けてほしい。
そして、8日の夜は切符に余裕があるらしいので、永楽館に行ったことのない方はぜひ見に行ってください。

おまけ

↑外観。


↑バックステージツアーにて。


↑バックステージツアーにて。


↑お花。


↑のぼり。


↑ミニチュア。


↑町のシンボル。