年 (平成年)

関西・歌舞伎を愛する会 第二十回
七月大歌舞伎 松竹座

7月3日(日)〜7月27日(水)

配役
昼の部(11:00開演)
一、播州皿屋敷(ばんしゅうさらやしき)
浅山鉄山:六代目 片岡愛之助
岩渕忠太:四代目 片岡亀蔵
腰元お菊:初代 片岡孝太郎

二、新歌舞伎十八番の内素襖落(すおうおとし)
太郎冠者:十代目 坂東三津五郎
鈍太郎:四代目 片岡亀蔵
次郎冠者:二代目 坂東巳之助
三郎吾:初代 中村萬太郎
姫御寮:四代目 中村梅枝
大名某:五代目 坂東秀調

三、江戸唄情節(えどのうたなさけのひとふし)
  序幕 芝居茶屋伏見屋より
  大詰 村山座の舞台まで

杵屋弥市:十五代目 片岡仁左衛門
芸者米吉 後に女房お米:五代目 中村時蔵
坂東彦三郎:十代目 坂東三津五郎
市村家橘:六代目 片岡愛之助
俵屋娘おいと:四代目 中村梅枝
番頭平助:五代目 坂東竹三郎
小揚げの七兵衛:初代 坂東彌十郎
伏見屋女将おふさ:二代目 片岡秀太郎

夜の部(16:30開演)
一、菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
  車引

藤原時平公:五代目 片岡我當
舎人桜 丸:初代 片岡孝太郎
舎人杉王丸:二代目 坂東巳之助
舎人梅王丸:六代目 片岡愛之助
舎人松王丸:初代 片岡進之介

二、通し狂言 伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)
  相の山
  宿 屋
  追駆け
  地蔵前
  二見ヶ浦
  油 屋
  奥 庭

福岡貢:十五代目 片岡仁左衛門
油屋お紺:五代目 中村時蔵
料理人喜助:十代目 坂東三津五郎
奴林平:六代目 片岡愛之助
油屋お岸:四代目 中村梅枝
徳島岩次 実は藍玉屋北六:四代目 片岡亀蔵
藍玉屋北六 実は徳島岩次:五代目 坂東秀調
油屋お鹿:初代 坂東彌十郎
今田万次郎、仲居万野:二代目 片岡秀太郎
藤浪左膳:五代目 片岡我當


筋書
愛之助丈関連
舞台写真:「播州皿屋敷」浅山鉄山:5枚
舞台写真:「江戸唄情節」市村家橘:2枚
舞台写真:「江戸唄情節」の劇中劇「連獅子」仔獅子の精:2枚
舞台写真:「車引」舎人梅王丸:5枚
舞台写真:「伊勢音頭恋寝刃」奴林平:8枚
51ページ:「楽屋探訪」内インタビュー(素顔写真あり、2/3ページ)
舞台写真
愛之助丈は、
「播州皿屋敷」浅山鉄山が4種類
「江戸唄情節」市村家橘が2種類
「江戸唄情節」の劇中劇「連獅子」仔獅子の精が5種類
(三津五郎丈の親獅子の精との2ショットが1種類、2ショット+仁左衛門丈の弥市が後ろで三味線を弾いているのが1種類)
「車引」舎人梅王丸が9種類
「伊勢音頭恋寝刃」奴林平が4種類(松之助丈、當十郎丈との3ショットが2種類)
舞台写真入りマグネット
今回の演目の4種類が追加された。
・「播州皿屋敷」浅山鉄山(2011年7月)
・「江戸唄情節」の劇中劇「連獅子」仔獅子の精(2011年7月)
・「車引」舎人梅王丸(2011年7月)
・「伊勢音頭恋寝刃」奴林平(2011年7月)
料金
一等席:15,000円
二等席:8,000円
三等席:4,000円

筋書:1,500円

その頃、他の劇場では…
新橋演舞場

雑誌
『BEST STAGE』2011年8月号→BEST STAGE (ベストステージ) 2011年 08月号 [雑誌]
愛之助丈関連
36〜37ページ:片岡愛之助インタビュー(素顔写真と扮装写真あり、カラー)
106ページ:インスタント写真プレゼントの4番

『婦人画報』2011年8月号→婦人画報 2011年 08月号 [雑誌]
愛之助丈関連
252〜253ページ:「歌舞伎の底力 片岡愛之助さん」
254〜255ページ:「歌舞伎の新聞」(8月御園座の「好色一代男」の紹介あり)

『演劇界』2011年9月号→演劇界 2011年 09月号 [雑誌]
愛之助丈関連
50ページ:舞台写真「播州皿屋敷」浅山鉄山(カラーグラビア)
70ページ:舞台写真「播州皿屋敷」浅山鉄山(モノクロ 4枚)
73ページ:舞台写真「江戸唄情節」市村家橘(モノクロ 1枚)
73ページ:舞台写真「江戸唄情節」の劇中劇「連獅子」仔獅子の精(モノクロ 2枚)
74ページ:舞台写真「車引」舎人梅王丸(モノクロ 3枚)
75ページ:舞台写真「伊勢音頭恋寝刃」奴林平(モノクロ 3枚)
84〜86ページ:七月大歌舞伎の劇評

感想
夜の部

23日に前方上手側で観劇。

松竹座では、愛之助丈の舞台写真入りマグネットが販売されている。
今までの5種類に、今月の4役が追加になった。
追加が出たということは、それなりに売れているんだろうか…?(私も買ったけど。)

車引
進之介丈の松王丸、孝太郎丈の桜丸、愛之助丈の梅王丸。松嶋屋の3人の従兄弟が三兄弟を演じている。
松嶋屋好きとしては、すごく嬉しい。
以前、永楽館で観た時は梅王丸(愛之助丈)が花道、桜丸(壱太郎丈)が仮花道(? 客席横の通路)を歩いてきたが、今回は桜丸が上手側から登場した。
3人の兄弟と、時平公(我當丈)、杉王丸(巳之助丈)が見得を決めてのラストは、絵のように綺麗。

通し狂言 伊勢音頭恋寝刃
万次郎(秀太郎丈)、駕籠に乗ったお岸(梅枝丈)、仲居千野(吉弥丈)らが花道から登場。
少し遅れて、奴林平(愛之助丈)が万次郎を追って登場。お岸、綺麗だった。
万次郎は“悪気はないけど困った坊ちゃん”っぷり炸裂。
林平も少し抜けているところがあって、徳島岩次(秀調丈)らの芝居に騙され、青江下坂の折紙を騙し取られてしまう。

藤浪左膳(我當丈)の待つ宿屋へ、福岡貢(仁左衛門丈)が駕籠に乗ってやってくる。御簾をぱっと上げて貢さんが登場する場面は、かっこいい。
この場面は松嶋屋三兄弟+愛之助丈が並んでいて、「車引」に続いて、松嶋屋好きには嬉しい。
我當丈は腰を下ろさず、両膝で立ったままお芝居をしていたが、脚がお悪いのだろうか? 心配だ。

その後、林平と大蔵(松之助丈)&丈四郎(當十郎丈)との追いかけっこ開始。
3人とも客席に下りて、逃げたり、隠れたり。
3人とも舞台から客席に飛び降りていたので、通路に階段は置いていなかった。
林平が観客に「大蔵と丈四郎はどちらに逃げましたかな?」「あ、あっち? ありがとうございます」などと声をかけていて、サービス満点。客席後方の扉から外へ飛び出し、花道から再登場。走り回って大変そう。

二見ヶ浦を貢さんと万次郎が歩いている。
海老蔵丈が貢さんを演じた時は、2人が客席に下りていたが、今回は客席には下りなかった。
密書を取り返し、ようやく舞台は油屋へ。

さて、油屋。
万次郎、お岸、貢さんらがあれこれやりとりした後、おまちかねの万野(秀太郎丈)が登場。
頼りないボンボンから一転して、意地の悪い仲居の役なのだが、どちらも「上手いなぁ…」と思った。
秀太郎丈の女形は可愛らしいイメージがあるのだが、いやもう、今回は本当に意地悪そう。

お鹿さん(彌十郎丈)、でかっ!
でも、愛嬌があって、確かに気立ては良さそうだ。
私は貢さんが好きだが、お鹿さんのことを「(万野が)こんなもん呼びおった」というのはあんまりだと思う。
そりゃ、お紺さん(時蔵丈)との美男美女カップルだから、ブスには冷たいのかもしれないが…

最後、あれで「めでたし、めでたし」になるのは、やはり納得がいかない。
そして、毎度思うが、喜助(三津五郎丈)が余計なことをせずに、刀を元に戻して渡しておけばよかったのに…
そしてそして、万次郎はどこで油を売ってるんだ?
そしてそしてそして、青江下坂が妖刀だってこと、誰か貢さんに教えとけ!
…とまあ、いろいろ思うところはあるのだが、やはりこのお芝居は面白い。


昼の部

24日に前方上手側で観劇。

播州皿屋敷
浅山鉄山(愛之助丈)がお菊(孝太郎丈)に横恋慕して、セクハラ&パワハラ炸裂。
愛之助丈、最近極悪非道な役を演じる率が高いような…?
最初は可憐だったお菊さんだが、井戸につるされて、鉄山に散々いたぶられるうちに、だんだんと恐ろしい形相に…
幽霊となって宙に浮き、忠太(亀蔵丈)を井戸に沈め、意気揚々と出かけようとする鉄山を手招きして呼び寄せる。
今回、愛之助丈は運動量の多いお役ばっかりだなぁ。

素襖落
大名(秀調丈)が伊勢神宮へ参拝するというので、太郎冠者(三津五郎丈)がその伯父を呼びに行くが、あいにく伯父は留守。
姫御寮(梅枝丈)、次郎冠者(巳之助丈)、三郎吾(萬太郎丈)が参拝の門出を祝って舞う。
夜の部でも思ったけど、梅枝丈、綺麗だな。
巳之助丈が踊っている間、三津五郎丈はどんな表情で見ているかとか、逆に三津五郎丈が踊っている間、巳之助丈はどんな表情で見ているか、などと、ちょっと悪趣味な見方を楽しんだりもした。
太郎冠者が褒美に素襖をもらって帰り、大名、鈍太郎(亀蔵丈)らと取り合う様が面白い。
舞踊はよくわからないので眠くなるんじゃなかろうかと心配だったが、最後まで面白く見ることができた。

江戸唄情節
小揚げ親分(彌十郎丈)、カッコイイ!!
弥市(仁左衛門丈)も当然素敵なのだが、最後に親分がおいしいところをもって行ったなぁという感じ。
弥市の場合は彦三郎(三津五郎丈)からもらった路銀をイカサマ博打で取られてしまったりして、結構だめんずっぽいのを見目麗しさでごまかされているような感じ。もちろん、カッコイイことはカッコイイんだけど…

弥市はおふさ(秀太郎丈)から「米吉(時蔵丈)は小揚げの親分が囲ってるから、別れなさい」と意見されたが、別れることができず、逢瀬の場に踏み込まれる。米吉が色っぽくて素敵だった。
彦三郎のとりなしで命は助かったものの、江戸を追われ、路銀を騙し取られ、小田原で寂しく暮らすことになる。
米吉(時蔵丈)は病に臥せっていた。

ある日、隣家の女房お留(吉弥丈)が「彦三郎と家橘が宿屋に泊まっている。芝居は観れないけど、せめて顔だけでも見たいと、人が集まっている」ことを告げる。
弥市と行き違いに、番頭(竹三郎丈)と家橘(愛之助丈)が訪ねてくる。うっかりお喋りな番頭さんと鷹揚な若旦那という感じで、なんだか微笑ましい2人だった。
お留が「あら? あの人… もしかして、市村家橘!?」みたいな顔で見ていた。
きっと、お留も宿屋に役者衆を見に行ったんだろうなぁ。

米吉は死期が近いことを悟り、弥市が江戸の山台で三味線を弾くのを見て死にたいと言う。
弥市は米吉の願いを聞き届けるため、親分に斬られる覚悟で、「連獅子」の三味線を弾くことにする。
弥市が三味線を弾くと知って、やくざの子分達が芝居小屋へ押しかける。
客席の通路をどかどかと通ってきて、びっくりした。でも、役者さんが近くを通っていくのは嬉しい。
劇中劇で、三津五郎丈と愛之助丈の「連獅子」まで見られて、すごく得した気分。
しかも、後ろで仁左衛門丈が三味線を弾いているという…
家橘は弥市の家ではおっとりした若旦那っぽかったが、「連獅子」の幕が引いた後は「(観客の反応は)どうでぇ!」などとべらんめぇになっていて、ちょっとキャラが変わってたぞ。(舞台に立つと人が変わるタイプか?)

戸板で運ばれた米吉が息を引き取り、それを見た親分は「お米が死んだら恨みはねぇ」「惚れた女へのせめてもの手向けだ」と弥市の命を助けてやる。
もー、親分かっこいいっ!!! 夜の部のお鹿さんと同じ役者さんとは思えない。
最後、弥市が米吉を抱きしめ、名を呼んで幕。

いや〜、面白いお芝居だった。
筋もわかりやすいし、三味線やら劇中劇やら、興味深い場面がてんこもりだった。
また見たい。

おまけ

↑夜の部の幕間に食べた「たちばな」の豆腐御膳。


↑昼の部の幕間に食べた「是是」のお弁当。


↑「アルション」の「モンブランJAPON」と「バレンシア」。
ホテルで、夜と朝に一つずつ食べた。