年 (平成年)

『影武者独眼竜』Produced by 劇団EXILE

10月4日(木)〜7日(日)オリックス劇場
10月18日(木)〜28日(日) Bunkamura シアターコクーン

配役
影武者独眼竜
伊達政宗:MAKIDAI
片倉小十郎:六代目 片岡愛之助
愛姫:福田沙紀
伊達成実:山崎銀之丞
後藤信康:平沼紀久
竺丸(大人時代):秋山真太郎
保春院、喜多:有森也実
トウキチロー、豊臣秀吉:KEIJI

筋書など
愛之助丈関連
裏表紙:扮装写真(2色)
8〜9ページ:メインキャストの集合写真(セピアとカラーの中間くらい?)
14〜15ページ:扮装写真(白黒)
16〜17ページ:インタビュー(紛争写真あり、セピアとカラーの中間くらい?)
28〜32ページ:稽古場風景(セピアとカラーの中間くらい?)
37ページ:扮装写真(セピアとカラーの中間くらい?)

手ぬぐい、クリアファイル、ストラップなどのグッズが売っていた。
DVD 4/12発売 5,200円(会場予約特典として、ポスカード2枚)

料金
S席:9,500円
A席:8,500円
パンフレット:2,500円
その頃、他の劇場では…
新橋演舞場

雑誌
『演劇界』2012年12月号→演劇界 2012年 12月号 [雑誌]
愛之助丈関連
85ページ:舞台写真「影武者独眼竜」片倉小十郎(モノクロ 2枚)
119ページ中段:「新春浅草歌舞伎」の紹介(1/3ページ)

感想
20日に昼の部を前方中央で観劇。
席が前過ぎて、あっちもこっちも見たい時(MAKIDAIさんが中央で踊り、左右で愛之助丈と福田さんが舞っている場面とか)、見づらくて少し困った。(でも、席が近いと嬉しいという矛盾…)

まず、歌舞伎の客層と違う(=若い女性が多い)と思った。
そして、パンフレットが2,500円というのに驚いた。(高っ!!)
手ぬぐい、クリアファイル、ストラップなどのグッズが売っていた。
さらに、すでにDVD発売が決まっていることにも驚いた。(4/12発売で5,200円。会場予約特典として、ポスカード2枚がつくそうだ。)
さすがはEXILE…(私は芸能音痴なので、EXILEについての知識はまったくなかったが、「今、一番チケットが取り難いグループ」らしい。)
「DVDが出るなら、レポは簡単でいいや」と思ったのに、結局長くなってしまった…

客席が暗くなり、物語は戦場から始まる。
女子供までむごたらしく殺される有様に、神社の跡取り・片倉小十郎(愛之助丈)は数珠を引きちぎり、「この世に必要なのは神ではない! 鬼じゃ!」と叫び、戦を終わらせるために鬼を捜すことを決意する。
そして、恋人の喜多(有森也実さん)に「我らの幸せが先にあってはならぬ」と告げる。

そんな小十郎が見つけた鬼が、伊達政宗(MAKIDAIさん)。すらっとしてスタイル抜群。
幼名は梵天丸。
疱瘡で右目を失って以来、母・保春院(有森也実さん)に忌み嫌われている。般若の面をかぶせられて体育座りでしょぼーんとしている梵天丸をかばってくれたのは、父・伊達輝宗(武田義晴さん)。
保春院はドレスをまとって、どこかの西洋画から抜け出てきたみたい。「なぜ、ドレス?」と思ったが、1人2役なので早替わりの都合だろう。
喜多は、小十郎とは兄妹と偽り、政宗の乳母になっている。同じ役者さんなんだから、母親とそっくりなことを劇中で触れてもよかったと思う。
小十郎は梵天丸を「鬼となれ」「怒れ」とそそのかし、梵天丸が弱音を吐くと殴りつける。おいおい、主君の息子を殴るなよ…

さて、戦場。
金の毛虫を兜につけた伊達成実(山崎銀之丞さん)、背中に黄色い布をつけた後藤信康(平沼紀久さん)、血気盛んな屋代勘解由(犬飼淳治さん)らが政宗の側近として従っている。
山崎銀之丞さんは『花の慶次』でも素敵だったが、ここでも素敵だった。シリアスに決めるところも、笑いをとるところも、芝居や台詞に緩急ついてる感じ。
小十郎配下の忍びに、口の聞けない(振りをしている)トウキチロー(KEIJIさん)がいる。

政宗は戦で活躍して家督を譲られる。
小十郎が政宗に目配せして、敵方の女子供をなで斬りにするよう命令させていたが、農民には優しいのに武家の女子供には容赦ないんだな。
田村家から愛姫(福田沙紀さん)が同盟の証として送られてくるが、政宗は「人質としてきたんだな」と愛姫を避ける。(母親が人質として嫁いできた影響。)
「(愛姫を)お前にやる」と言われたときの成実は面白かった。
愛姫、演技がぎこちないというか、微妙に棒っぽいけど、可愛いからまぁいいや。

畠山義継(愛一郎丈)が政宗に降伏しようと、輝宗に取り成しを頼みに来る。
しかし、輝宗に「隠居の身だから」と断られる。
そこで、畠山は居直り強盗のごとく、輝宗を人質に取って城に立てこもる。愛一郎丈が嫌なヤツを演じていて、ちょっと新鮮。
輝宗は政宗に「ワシを撃てー!」と命じ、弾丸に倒れる。
輝宗の死をきっかけに、政宗と愛姫は心を通じ合い、「ムネムネ」「メゴメゴ」「ちゅーっ」とやらかすバカップルが誕生した。
呆れた目で見ている配下の3人がおかしい。小十郎だけが忌々しそうな顔をしているのが印象的。
ラブシーンがあると聞いていたのでどんなものかと思ったが、全然たいしたことしてなかった。(ファンに若いお嬢さんが多いせい?)

小十郎が金山を無断で発掘し、偽政宗をしたてて、農民に米や金を配らせていたことが発覚する。この辺り、物語の順番の記憶が曖昧なので、話が前後しているかも。
政宗がニセモノに「俺の真似をしてみろ」と言う。
物真似でZIPがどうとか言ってたけど、元ネタがわからないので、似てるかはわからない。EXILEファンの方には受けてたみたい。
政宗に「次はもっと上手くやれ」みたいなことを言われていた。

愛姫が保春院と政宗の仲を取り持つと言い出す。
純粋と言えば聞こえは良いが、底抜けにお人よしの姫君だ。政宗はそこに癒されたんだろうが、これじゃ戦国の世は渡れまい。
それを阻止しようとした小十郎は失敗し、逆に政宗に遠ざけられる。
保春院がコロッと態度を変えたが、あからさまに胡散臭い。
感激して騙される政宗は間抜けだと思うが、過去のトラウマを考えたら仕方ないというところかな。

結局、保春院に毒を飲まされそうになり、政宗は再び失意のどん底に落ちる。
そして、保春院が実家である最上家に匿われているということで、最上家に戦を仕掛けようとする。
「ようやく戦が終わったのに、また民を犠牲にするのか」と、小十郎が激怒。
政宗「俺を鬼にしたのはお前だ!」
小十郎「そんな鬼に育てた覚えはない!」
君ら、どっちもどっち。
ある意味、似た者同士の光と影で一心同体。

この辺で、政宗が「母上に嫌われた時点で死ねばよかったのに、お前達(小十郎と喜多)の言葉に乗って生きてしまった」と嘆いていたような気がするが、もう少し後だったかもしれない。
鬼となって戦ってはきたものの、政宗の本質は、体育座りでしょぼーんとしていた子供の頃のままということか。

抜刀してやり合う2人の間に、トウキチローが割って入り、小十郎をかばって死ぬ。
トウキチローは死ぬ前に、小十郎と喜多は恋人同士なのに戦災で一緒になれなかったこと、自分も戦災で辛い目にあったこと、戦をやめて欲しいという願いを切々と語る。
「本当は話せるんです」「いきなり歌って皆を驚かせてみたかった」などの台詞はベタなんだけど、泣いてしまった。
トウキチローは政宗に「竜になってください」と言い残し、天へと去っていく。

この辺りから記憶がさらに曖昧なので、書いている順番と物語の順番が違うかも。

勘定方(黒川恭佑さん)が竺丸(秋山真太郎さん)の首を持ってくる。
竺丸は「今回の謀反は自分ひとりの罪だ」と切腹したらしい。
政宗は、「立派なご最後でした」と言う勘定方を斬ろうとするが、小十郎が政宗を押しのけ、勘定方を斬り捨てた。
てっきり、勘定方が命乞いのために、竺丸の首を無理矢理切って持ってきたのかと思ったけど、違った。
回想シーンで、竺丸は爽やかに腹をかっさばいていた。

政宗と部下達の結束が固まったところで、秀吉からの使者(愛一郎丈)がくる。
使者は「おじゃる」という語尾で道化チック。
愛一郎丈が笑いを取っているとき、愛之助丈と福田さんが舞台で何やら話してたけど、何を言ってたんだろ?

秀吉の呼び出しに応じて、まずは小十郎が政宗の振りをして乗り込むが、すぐに見破られる。
そこへ本物の政宗が白地に文字の書かれた“死装束”で現れる。
ようやく、タイトルの「影武者独眼竜」となったわけだが、本当の“影武者”は政宗の振りをして農民に施しをして回ってる偽政宗だと思うぞ。

さて、秀吉。
トウキチローと顔が似ているという台詞がなかったら、同じ役者さんだと気付かなかった。
トウキチローは良かったけど、秀吉はイマイチ。
まず、かっこよすぎて猿に見えない。(だいたい、若いイケメンが秀吉役って無茶振りすぎる。)
そして、中途半端な三河弁を台詞に混ぜるくらいなら、全部標準語の方がいい。
秀吉やら家康(武田義晴さん)やらを出さなくても、「竜になってください」で終わってた方がすっきりしたんじゃないか?(そうすると、上演時間がかなり短くなるけど。)

政宗と小十郎は仲間の元へ戻り、愛姫の計らいで、小十郎と喜多は夫婦になる。
しかし、秀吉から「小十郎か愛姫を人質に差し出せ」という文が届く。
愛姫が人質になることを承諾し、喜多がそれについていくことになる。
最後は皆で団結し、めでたしめでたし(だった気がするが、カーテンコールの衝撃で、直前の記憶が吹っ飛んだ)。

幕が上がり、カーテンコールは「ライジングサン」(という曲らしい)。
出演者全員が踊っている。
前方ではMAKIDAIさんがかっこよく踊っている。さすがに、体のキレが違う。
で、その後方で愛之助丈が踊っているのだが… 何かチガウ。
源九郎狐がEXILEに混ざって踊ってるようで、微笑ましかった。
たぶん、体に染み込んでいるテンポとかリズムとかビートとかが、違うんだろうなぁ。

カーテンコールは合計3回だったかな。
最後にMAKIDAIさんがご挨拶。愛之助丈を紹介するときに、少し噛んでた。
客席に若い方が多いからか、愛之助丈は「歌舞伎も見に来てね」とちょっとくだけた感じ。
KEIJIさんは「朝早くからありがとうございました」と言って、MAKIDAIさんから「昼公演(12:00開演)だから」と突っ込まれていた。

涙あり、笑いありで、面白かったと言えば面白かったが、正直、物足りない。
「政宗が光、小十郎が影」と言う割に、2人の絆が描ききれていないと思う。
結局、小十郎は、政宗の感情やら人生よりも東北の平和優先みたいだし、政宗が自分の人生に納得するところは理屈っぽくて、スカッとしない。
あと、やたらめったら、人を殴りつける演出はいかがなものか。(「そこで殴る意味、ないよね」という場面がいくつかあった。) まあ、なんだかんだ言っても、DVDは買っちゃうと思うけど。

終演後、ロビーでニットを被った男性がサインを求められていた。
誰かはわからなかったけど、背が高くてスタイルがよかったので、EXILEのメンバーかな?