夜の部『GOEMON 石川五右衛門』
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2日(初日)に3階左側席で観劇。
花道がほとんど見えないので、普段ならまず買おうと思わない席だが、今回は宙乗りが2回あるということで、この席を選んだ。これが大正解。
開演前、幕は開いた状態で、青いライトがついた鉄筋?で十字架がつくってあるのが見える。
全くもって歌舞伎っぽくない。
内容はシスティーナとほぼ同じ。(秀吉とねねのシーンが追加されていて、ラストは大幅に違った。)
アレはシスティーナだからこその歌舞伎だと思っていたので、コレを“歌舞伎”と銘打って松竹座で上演してしまったことにビックリだ。
今回の舞台を一言で表現するのであれば、シ ュ ー ル de カ オ ス 。
バイオリンの生演奏、スーツ姿の役者さん、フラメンコダンサー、お能、三味線とギターのセッション(←?)、愛太夫さんの浄瑠璃、フラメンコを踊る歌舞伎役者、踊りまくる女優さん達、2回の宙乗り…
これを“歌舞伎”として上演してしまうとは、流石は『シベリア超特急』の主役を引き受けた漢(と書いて、「おとこ」と読む)!!!
もしかしたら、数年後に「松竹座で『GOEMON』を見た!」と自慢できるかもしれない(が、黒歴史になる可能性も無きにしも非ず)。
賛否両論あるだろうが、私はコレはコレでアリだと思う。
現実問題として、愛之助丈座頭で古典歌舞伎を上演して1ヶ月興行が成り立つか、ファンが贔屓目に見ても厳しいと思う。(個人的には、この一座で「木の実」〜「すし屋」を上演したら面白いと思うんだけど。)
愛之助丈が雑誌のインタビューで「なりふりかまわず」と言っていたが、知名度を上げて、ファンを増やして、古典歌舞伎も上演できるようになってほしい。(そのためにも、そろそろ後援会の運営を本気で何とかしていただかないと困ります。こんなところに書くのもナンですが…)
座頭といえば、愛之助丈が子供の頃、十三代目さんのお家で食べたという“カシライモ”の効果は抜群だったんだな。
前置きが長くなってしまった。
まず、バイオリンの演奏が流れ、舞台は始まる。
システィーナとは配役が違うが、
カルデロン神父(松也丈)「もうここには来ないでください」
石田局(梅枝丈)「私のお腹にはあなたの子が…!」
というお昼のドラマみたいな場面が繰り広げられるところは同じ。
個人的に、一番ハードルが高いと思っていたのが、カルデロン神父。
なぜって、システィーナでカルデロンを演じた伊礼彼方さんが超絶イケメンだったから。(どのくらいイケメンか知りたい方は、画像検索してください。)
松也丈も十分イケメンだが、素顔ではなくこしらえをしていた。(宗教画のイエス様のような髪形に、髭をつけていた。)
周りが歌舞伎のこしらえだから、素顔で演じるよりもしっくりしていたと思う。
女形が多いせいか、ちょっと情けない優男・カルデロンの雰囲気がよく出ていた。
千壽丈(←名題披露した千壽郎丈)が松嶋屋の裃をつけて、7年経ったことを口上で述べる。
おおまかな流れはシスティーナと同じなので、そちらの感想をご覧ください。
友市(吉太朗丈)の「父上のお国はどこにあるのでございましょう?」「行きたいなぁ…」の場面の後、舞台がぐるりと舞って、フラメンコダンサー(佐藤浩希さん)登場。
今回の舞台はセットが簡素な分、場面転換がスピーディ。
とても情熱的なフラメンコを披露してくださった。私はシスティーナ歌舞伎を見ているので「ここまで正確に再演するんだ〜!」と感激していたが、予備知識なしで歌舞伎を見に来たつもりの方はポカーンとなったことだろう。
歌舞伎の舞台でありながら、阿国一座はOSKの女優さん。
秀吉(翫雀丈)が阿国(壱太郎丈)を見初め、連れて行く。行列は立派になってたけど、やっぱり徒歩なのね。関白なのに。
システィーナの秀吉は公家悪みたいなこしらえだったけど、今回はベージュの肌にあごひげがつきのフツーのメイク。
ここで、ようやく五右衛門(愛之助丈)登場。(待ってました!)
あんなに素直可愛かった友市が、すっかりグレてしまった。
舞台は聚楽第へ移る。
ここからしばらく、システィーナにはなかった場面。
聚楽第では、石田三成(梅丸丈)と加藤虎之助(種之助丈)が舞の稽古をしている。
三成は前髪のお小姓みたいな姿。師匠が梅玉丈(=永遠の前髪役者)だけあって、なかなか良く似合ってた。
虎之助はやんちゃな感じで、こちらもよく似合っている。
秀吉が阿国に手を出そうとしたところへ、虎之助が「奥様が来ました!」と駆け込んでくる。
それまで、イヤ〜な権力者だった秀吉が一転して情けない恐妻家の姿になる。このおたおたっぷりが愛嬌があって面白い。翫雀丈のこういうお役、すごく好きだ。
北政所・ねね(吉弥丈)はすごい迫力。効果音をつけるなら、「ドオォォォン!!」か「ザシャアァァ!!」で決まり。
阿国をつづらに閉じ込めて一安心かと思いきや、小袖が外にはみ出していた。
ねねが去った後、今度は曲者が現れたとのこと。それが石川五右衛門。
今回の舞台では、立ち回りが凝っていて、役者さんが皆体を張ってる。
花道から2階にはしごをかけて、五右衛門がそこに上って見得をしたり、板などに上ったりしていた。
どんなにカオスな舞台でも、愛之助丈がバーッタリと見得をすると歌舞伎に見えてくるから不思議。
つづらがふわふわと宙に浮き、五右衛門のつづら抜け。
宙乗りは上の階で見る方が楽しいな。(下から見上げると、首が痛くなるんだよね。)
休憩を挟み、舞台はイスパニアの酒場。
飲んだくれて机に突っ伏しているカルデロン。元聖職者が酒を飲むなよ。
スポットライトは、そんなカルデロンの後ろに当たっており、再び佐藤浩希さんのフラメンコが始まる。
それが終わると、カルデロンと友市の幻がフラメンコを踊る。松也丈は背が高くてスタイルがいいので、かっこいい。(メイクがアレだけど…)
休憩時間の終わりに、花道横と舞台上手側に階段が設置された。
編み笠を被った名古屋山三(吉弥丈)が上手側の通路、編み笠を被った五右衛門が花道側の通路を歩いてきて、舞台に上がって恋の鞘当をし、互いに秀吉を敵とすることがわかり、和解する。阿国が二人を凛々しく止める。壱太郎丈は若いのに堂々としてて、素敵。
「楽屋でお茶でも」の台詞もあり。
女猿楽(歌舞伎役者さん)が踊る場面では、千壽丈、梅丸丈が中央で踊っていた。
阿国一座(OSK)がやってきて、お福(愛一郎丈)が客引きをする。
愛一郎丈は昼の部は出番がないが(愛之助丈が4役演じているため、裏方に徹して衣装替えなどをしていると思われる)、その分、夜の部にちょっと目立たせてもらってるのかな?
客の反応が良くないと悩む阿国に、五右衛門がフラメンコを教える。
「待ぁってました!」「タップリ!」と大向こうがかかる。
五右衛門の「笑うなよ」の台詞もあり。
結構たっぷり踊っていた。フラメンコをまた見ることができて、嬉しかった。
その後、阿国が裾を捲り上げてフラメンコ風に踊る。とても色っぽい。
五右衛門が「絶景かな、絶景かな」と言う場面(=『山門五三桐』で有名な場面)。
システィーナでは上の階のバルコニーでやってたけど、さすがにこれは2階席ではできなかったのか、舞台中央が競りあがり、そこに五右衛門がいる。
山門もなければ、桜もない、味気ない舞台装置だったが、愛之助丈が「絶景かな」と言った途端、歌舞伎の空気が流れる。
そこに白い鳥が飛んでくる。
「イスパニアからの伝書鳩キター!(システィーナの感想を参照方)」と思ったら、鷹だった。
なんと、それは五右衛門の母・石田局の化身。
舞台下から鳥っぽい衣装の石田局が登場し、敵に囲まれていることを告げる。
名古屋山三もやってきて、五右衛門を逃がすために捕り手と戦う。捕り手の中には虎之助もいる。
阿国は女五右衛門のような格好で立ち回りをするが、髪を直す仕草がいかにも女性っぽい。捕り手が持つ板の上に乗って、捕り手の1人も板の上に乗ってトンボを返る。落ちるのではないかと、ハラハラしてしまう。
阿国は2階右席の扉から登場し、2階席を走り回る。捕り手が2階の真ん中の通路でトンボ返ってて驚いた。
虎之助も2階席を走る。
五右衛門も2階右席の扉から姿を現す。(エレベーターが右側にあるので、皆右側から現れるのではないかと推測。)
舞台上では山三が立ち回りをしていて、花道側の客席通路を通って去っていく。
花道から、鷹の化身となった石田局が女性のフラメンコダンサー2人を引き連れてやってきた… と、思ったら、舞台でフラメンコショーが繰り広げられ、女優さん達が踊りまくる。
いや、もう、本当にカオス。
「これ、本当に歌舞伎と銘打っていいんか?」と思いつつ、私の興味はぽっかりと開いたスッポン。(ロープが垂れ下がっているので、宙乗りするのはわかっていた。)
そこから、鷹に乗った五右衛門が登場。
空をゆく五右衛門が鷹の頭を撫でながら「母上」って… 思わずブッと噴き出した私に罪はない(ハズ)。
五右衛門は「秀吉の白髪首を取って何になる」とうそぶき(綱豊卿みたいな台詞)、堺の港の南蛮船を目指して飛んでいく。
カルデロン、妻子と再会したら、腰を抜かすのではなかろうか…?
最後、3階の黒い幕から金色のキラキラが発射され、カオスな舞台は終了。
拍手が鳴り止まず、カテコ&スタオベ。
愛之助丈が1階の舞台まで戻ってご挨拶。(山三、阿国、虎之助、石田局くらいは一緒に出てきてほしいところ。)
ハチャメチャでキテレツな舞台だったが、楽しかった。
世の中に、こんな歌舞伎が1つくらいあってもいいんじゃないかな?
この舞台をご覧になって、「こんなの歌舞伎じゃないわ!」「おふざけが過ぎるんじゃないかしら?」と思った方は、昼の部をご覧になることをオススメ致します。(昼の部は正統派の“That's歌舞伎”が楽しめます。)
私は昼夜をもう1回ずつ見る予定。
そしてさらに、千穐楽に何かが起こることを期待して、夜の部のチケットを追加で買ってしまった。(昼の部は戻り席が出ないか、とりあえず様子見。)
平日だから休みを取らなきゃいけないし、日帰りで夜遅くに帰って、翌日仕事だけど、こんな舞台、次はいつ見られるかわからないので。
歌舞伎座取り壊し以来、悲しいニュースが続いているが、現実の憂き世を忘れさせてくれるような舞台を見たい。
そして、若手が頑張って面白い舞台を見せてくれているのだから、舞台を見に行くことで応援したい。
昼の部『新八犬伝』
3日に前方上手寄りで観劇。
昼の部も宙乗りがあるので3階席にしようかと思ったが、毎年節分には豆まきがあるので、1階席にした。
夜の部を見て、「愛之助丈がこのままキテレツな方向に突っ走ってしまったらどうしよう???」と思ったが、昼の部は“いかにも歌舞伎”な舞台装置と演出で安心した。
曲亭馬琴の『南総里見八犬伝』をベースにしているが、全然違う話になっている。
もともと、秀太郎丈が「(上方歌舞伎塾生の)皆が活躍できる新作」を希望されて出来た作品だけあって、愛之助丈が4役勤めているが見せ場を独り占めしているわけではなく、それぞれの役者さんに見せ場がある。
活きのいい若手がピチピチと跳ね回るような舞台なので、若手花形のファンの方も楽しめると思う。
幕が開くと、崇徳院(愛之助丈)と天狗が3人(千次郎丈、千志郎丈、佑次郎丈)。
崇徳院は公家悪のこしらえ。
崇徳院は扇谷定正(愛之助丈)に乗り移って、日本を魔界に変えようと企んでいる。
幕がいったん引かれた後、花道で天狗3人がぴょこぴょこ跳ねたりしていた。(早替わりのための時間稼ぎ?)
場面は変わり、花道から義成(千壽丈)がお馬さんごっこをしながら、腰元を引き連れて登場。
いわゆる、バカぼん。
義成は伏姫(梅枝丈)の弟。戦の最中にもかかわらず、伏姫の屋敷の桜の前で花見を始める。
それを伏姫にたしなめられるが、オバカさんなので全く分かってない。
腰元・若菜(りき彌丈)に酒を注がせようとして断られたり、とにかくオバカ全開。
千壽丈はバカぼんを可愛らしく演じていたけど、秀太郎丈のバカぼん(国立劇場視聴覚室で見た『小栗判官譚』で、こんな感じの役を演じていた)が記憶に残っていたので、ちょっと点数が辛くなった。
崇徳院が乗り移っている扇谷定正(愛之助丈)が登場。(スッポンから出てきたような気がするが、うろ覚え。)
扇谷は長袴姿で、堂々とした悪役っぷり。梅枝丈はは古風な顔立ちがいいな。
扇谷は伏姫に結婚を迫るが断られ、可愛さ余って憎さ100倍。魔力によって姉弟をあやつり、無理矢理契りを結ばせる。扇谷、鬼畜。
えげつない場面だが、歌舞伎的に美しく見せている。
姉弟が正気に返ると、水面に映る姿が犬になっていた。(わかりやすいように、白い犬のぬいぐるみが出てくる。このぬいぐるみが可愛い。)
伏姫は畜生道に堕ちたことを恥じて自害し、義成もそれに倣う。
伏姫の数珠から 仁義八行(仁義礼智忠信孝梯)の文字が浮かび上がる。
仙女(吉弥丈)が現れ、八人の勇士を集め、崇徳院の野望を砕くように告げる。仙女様は神々しくて綺麗。
所変わって大塚村。
犬塚信乃(松也丈)との結婚を控えた濱路(梅丸丈)と、信乃の伯母で濱路の養母である亀篠(秀太郎丈)がしみじみと語り合っている。山口百恵さんの『秋桜』がふっと頭によぎるような光景だ。
秀太郎丈がよいのは当たり前として、梅丸丈がすごくいい。
可憐で、上品で、お行儀がよくて… 梅玉丈の薫陶かしら。(←実は、梅玉丈もかなり好き。)
2人とも小柄なので、母子でちょこんと並んで座っている様子が可愛らしい。
濱路は大好きな信乃と結婚できるので嬉しそう。
そこへ犬山道節(薪車丈)が信乃と村雨丸を訪ねてやってくる。
薪車丈は大歌舞伎に出ている時はまだまだ若手に見えるけど、若手花形に囲まれると貫禄あるなぁ。
濱路が道節を信乃の屋敷へ案内する。
今度は網干左母次郎(愛之助丈)=実は扇谷定正がやってきて、「信乃が所持する宝刀・村雨丸と濱路を妻に貰い受けたい」と言う。
さらに、自分は管領の扇谷定正だということを亀篠に告げる。
ついさっきまで、濱路のよき母だった亀篠が「濱路が扇谷の妻になったら、栄耀栄華は思いのまま」とすっかり権力に目がくらんでしまった。(ウソかもしれないんだから、少しは疑った方がいいと思うぞ。)
ただ、自分の欲もあっただろうけど、娘にいい生活をさせてやりたいという親心もあったんじゃないかなぁ。
飛んで火に入る犬塚信乃(松也丈)が、下男の額蔵=実は犬川荘介(巳之助丈)を連れてやってきた。
巳之助丈、以前浅草で見た時より、かっこよく上手になっている。
2人は、濱路、道節と行き違いになったようで、亀篠は額蔵に濱路を捜しに行くよう言いつける。
信乃は「自分の持っている村雨丸を足利成氏(萬太郎丈)に献上して、仕官したい」と亀篠に話す。
亀篠は信乃に滝で身を清めるようにと言い、左母次郎と2人で刀をすり返る。
さて、次にどうなるか?
歌舞伎のお約束として、亀篠は左母次郎に殺される。
その前に、『鳴神』のように、胸元に手を差し込まれる色っぽい場面がある。
濱路が母の亡骸に寄り添う姿がいじらしい。(梅丸丈のお里が見たいと思った。)
信乃は村雨丸がすり替えられていることに気付かずに旅立つ。ここで刀を抜いて中身を確かめておけばよいものを…
場面は足利成氏のお城に移る。夜の部のあっさりしたセットと違って、昼の部は“いかにも歌舞伎”な豪華なセット。
が、しかし。
ついたての後ろに、台本を持って座っている黒衣さんの姿が見えている。
役者さんの名誉のために書いておくが、プロンプは飛んでいなかった。
台本ができるのが遅かったらしいので、念のために控えていたのかもしれないが、客席(端っこの席だけど)から見えないようにしていただきたい。舞台の上は夢の世界であってほしいし、せっかくの豪華なセットなのに興ざめしてしまう。
村雨丸がニセモノとわかり、成氏は激怒。
信乃を間者と疑い、捕らえようとするが、やすやすと捕まる信乃ではない。
犬飼現八(愛之助丈)が現れ、原作でも有名な芳流閣の場面へ。
立ち回りの後、2人は屋根から落ちるが、荘介に助けられる。
ここで、3人が仁義八行の玉を持つ同志であることが判明する。この時、松也丈がぽろっと玉をこぼしていたが、ご愛嬌。
扇谷、濱路、道節、犬村角太郎(種之助丈)がやってきて、だんまり。
愛之助丈は2役だが、代わりの役者さんが堂々とお顔を見せている。早替わりそのものが見所ではないということか。
天狗が濱路をかついで連れ去ってしまう。
幕が閉まり、スッポンから崇徳院が現れ、宙乗りで去っていく。
所変わって、遊郭。
遊びにふける扇谷の横で、濱路がじっとうつむいて座っている。
そこへ旦開野太夫=実は犬坂毛野(壱太郎丈)登場。(待ってました!)
綺麗で色っぽくて、若手なのに安定感がある。
濱路が扇谷の妻であると知った時のお内儀(松之亟丈)の「そりゃ胴欲な…」という反応がいい。
廓の女性にも、女の意地があるのだ。
扇谷は旦開野太夫を身受けするため、妻である濱路を離縁すると言い出す。
「恋しい信乃のために寝首をかくつもりだろう」という扇谷に、濱路は「信乃が恋しい」ときっぱり。
怒った扇谷が濱路の腿を刀でえぐる。扇谷、ほんとに鬼畜。
毛野が正体を現し、道節も駆けつけるが、扇谷は妖術を使って逃亡。
毛野と道節は主従であり義兄弟、道節と濱路は双子の兄妹であると明かされる。
伏姫の霊が弓矢を持って現れ、矢を濱路(=戌の年、戌の月、戌の日、戌の刻の生まれ)の血に浸し、これで扇谷を射るように告げる。
扇谷定正=崇徳院の怨霊は大願成就間近となった。
犬田小文吾(萬太郎丈)、犬江親兵衛(吉太朗丈)が加わった八犬士が扇谷を取り囲む。
それぞれ立ち回りで見せ場があるし、衣装もきらびやかでよい。(道節の髪は伸び過ぎじゃないか?)
毛野は片肌脱いで姐さんみたいな格好。壱太郎丈、弁天小僧とか似合うかも。
愛之助丈のお坊、壱太郎丈のお嬢、薪車丈の和尚なんて配役も見てみたい。(立場的にはお坊と和尚が逆になりそうだけど、私は愛之助丈はお坊で見たい。) 永楽館あたりでやってくれないかなぁ。愛之助丈が永楽館での初役にこだわるなら、愛之助丈がお嬢で、壱太郎丈がお坊でも…(←さすがにそれは無理があるだろ。)
話がそれた。
崇徳院には、八犬士も大苦戦。
伏姫の霊が現れ、矢を射るように命じる。
愛之助丈は、扇谷定正→犬飼現八→崇徳院と早替わり。
ここでも、早替わりそのものが見所ではないので、代わりの役者さんが堂々とお顔を見せている(が、声は発しない)。
最後は、崇徳院が舞台中央で赤い段に乗り、見得をして、幕。
物語としてまとまってるし、それぞれに見せ場があるし、歌舞伎っぽい演出がたくさんあって、よい舞台だと思う。
この日は節分。
崇徳院と伏姫と七犬士で豆まき。
舞台上手から赤鬼が現れ、壱太郎丈が愛之助丈の方を確認してから、鬼に豆をぶつける。壱太郎丈、お腹が空いていたのか、豆をぽりぽり食べていた。
花道側には青鬼もやってきた。(鬼の役はどなたかわからず…)
私は壱太郎丈からお豆(客席にまくのは袋入り)をいただくことができた。
さらに、出口で劇場の方が1人1袋ずつ配ってくれた。
夜の部では宙乗りしながら豆まきをしたそうで、それも見たかったなぁ。
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