クトゥルフ神話とは

>大いなるクトゥルフ、い寄る混沌こんとんニャルラトテップ、禁断の書ネクロノミコン……これらの名前 を、どこかで にしたことはありませんか?
これらは て、クトゥルフ神話に登場するものです。
クトゥルフ神 とは、アメリカのホラー/ファンタジー小説家ハワード・フィリップス・ラヴクラフ (1890〜1937)が、執筆 を通して作り上げていった、架空の神話体系です。その要約は次のよう なものです。 
「宇宙には 大な力を持つ異形の存在が、多数生息している。彼らの中には古代の地球を 訪れ、神とあがめられたものもあった。現在は様々な理由で休眠状態にあるが、いつの日か目 覚め、再び地球の 配に乗り出すだろう」
クトゥルフ(クトゥルー、トゥ−ルー、ク・リトル・リトル とも呼ばれます)とは、こうした神々の
一柱であり、最も知名度が高いため、代表して神話に名前をかんされているのです。
様々な不幸により( 道書で召喚された、うっかり眠りを覚ましてしまった等)神話の神々が 現代によみがえり、無力な人々が恐怖のどん底に突き落とされる……というのが、ラヴクラフトの作 品の多くに共通する展開です。宇宙の恐るべき真実の前に、矮小わいしょうな人間の価値観があっけなく 崩れ去る……。宇宙的恐怖コズミックホラーと呼ばれるその恐怖は、当時のホラー小 で一般的だった、幽霊、狼 男、吸血鬼等とは、一線をかくするものでした。 
その暗黒の輝きにせられた、ラヴクラフトの同僚や後輩たちも、彼の許可を得て(と言うよ り、寛大かんだいなラヴクラフトは、元より許可など求めませんでした)神話を反映させた作品を執筆しまし た。現在で うところの、シェアードワールド(複数作家による世界観共有)です。こうして、クト ゥルフ神話は生みの親の元のみに まらず、多くの作家に広がっていきました。
現在では、小説のみならず、映画、マンガ、ゲームなど、あらゆるメディアに神々が降臨こうりんしてい
ます。日本でも神話ファンは数 く、『魔界都市』シリーズの菊池秀行、『グイン・サーガ』シリー
ズの栗本薫など、名立なだたる大家たちが神話作品を書き、果ては巨大ロボットと神々が激闘を繰
り広げるゲーム『斬魔大聖デモンベイン』まで 場、『ウルトラマンティガ』では神話の神をモデ ルにした怪獣が れています。
八十年 のアメリカで生まれたクトゥルフ神話は今、この極東の地でも奇怪にして美しい
花々を かせているのです。
さあ、この機会に、あなたもクトゥルフ神話の宇宙的恐怖に れてみませんか? 宇宙の恐
るべき真実を知って、日常に戻れなくなっても、それもまた一興いっきょう……。



「人類の最も古く強烈な感情は恐怖であり、恐怖の中で最も古く強烈なものは未知なるものの恐怖である」
H・P・ラヴクラフト著 大瀧啓祐訳 『文学における超自然の恐怖』