アストラウル戦記・登場人物紹介(登場順・重要人物は太字)
■アストラウル王宮 ■グステ村・ダッタン市 ■プティ市周辺
■アストラウル王宮

エウリル=ド=ルクタス=アストラウル(18)

アストラウル18世と第二王妃エンナとの一人息子で、第四王子。
アストラウル18世の年老いてからの王子で、素直な気質のためか両親や兄弟、家臣から愛され可愛がられて育つ。
わがままで身内に甘いが、道徳心や義侠心が強い。
頭はそれほどよくないが身体能力に優れ、特に剣技や棒術に長けている。
アストラウル人寄りの外見で、髪は栗色、瞳ははしばみ色。色白で指や手足、首などが長くスラリとした体型。

ユリアネ(24)

元はオルスナ国から来た侍女で、頭がよく武術にも優れていたことからエウリルの教育係の一人になる。
武術はオルスナ国独特の棒術に優れ、アストラウルの武官にも棒術ではユリアネにかなうものはいないと言われる。
第二王子ローレンの元恋人。明るい笑い上戸でダジャレを好む。

 

エンナ=ド=ルクタス=アストラウル(36)

隣国オルスナ王国の第四王女。
政略結婚だったが、夫であるルヴァンヌを慕っている貞婦。
優しくて柔らかな印象を持つ美人。

 

ルヴァンヌ=ド=ルクタス=アストラウル18世(73)

エウリルの父。アストラウル王国の国王。
人格者で見識もあるが、統率者にふさわしく厳しい面も持っている。
老いらくの恋で迎えた第二王妃エンナと末っ子王子のエウリルのことは可愛がっているが、多忙のため滅多に会えない。
現在は病気がちで体力も衰えているが、他国との関係や内戦のために弱っている素振りを見せない。

 

ハットラント=ド=サウロン(16)

王の従兄サウロン伯爵の一人娘で、エウリルの婚約者。愛称はハティ。
裕福な家庭に育ったために明るく魅力的だが、少し無神経な所もある。

ローレン=ド=ルクタス=ヴァルカン(26)

サニーラの次男。ヴァルカン公。アントニアを支える補佐役でもある。
今は独立して首都アストリィに居を構え、長女を溺愛している。
砕けた性格で文武両道だが、他人に甘くお人好し。エウリルとも仲がよい。
エウリルの教育係ユリアネと思いを交わしていたが、結婚が決まり別れた過去がある。

ルイゼン=ド=ハイヴェル(20)

ハイヴェル卿の長男。近衛大尉。眉目秀麗でハイヴェルの自慢の息子。
エウリルやローレンとは子供の頃から親しく、特にエウリルとは親友とも兄代わりとも言える間柄。正義感が強く、父のハイヴェル卿を尊敬している。

 

フィルベント=ド=ルクタス=アストラウル(21)

サニーラの三男。サニーラに似てプライドが高く、線の細い美男子で、側室の王子や王女を無視している。能力値は高いが臆病な一面も持つ。
皇太子アントニアには従順で、美しい容貌を持つためサニーラやアントニアから可愛がられている。

アントニア=ド=ルクタス=アストラウル(31)

アストラウル皇太子。サニーラの長男。既に結婚して一男一女をもうけている。ルヴァンヌに似て冷静沈着で聡明だが、人情味にやや欠ける。
武術がからっきしで、子供の頃の夢は学者。年の離れた弟であるエウリルのことは可愛がっているが、多忙と妾腹ということで一線を置いた付き合い方をしている。

 

セシル(26)

アントニアの気に入りの小姓。貴族の次男で幼い頃から王宮に出入りし、そのそばで世話をしてきた。アントニアとは今も性的関係を持ち、侍女や付き人たちに対しても支配力を持つ。

フリレーテ=ド=アリアドネラ(25)

優秀な頭脳とその美貌を利用してアリアドネラ伯爵の養子になり、伯爵を殺して跡継ぎとなる。人の心の弱みに付け入るのが上手い。
エウリルを亡き者にしアントニアに近づくために、フィルベントに取り入り意のままに操る。
イシキナとはナレオトル大学院での同窓生。

 

イシキナ(25)

フィルベントの教育係。ナレオトル大学院在籍時から王室に入る。
剣術に優れ学もあるが、気が優しく実戦には不向き。
ユリアネに恋しているが、フィルベントや他の王宮の侍従たちには隠している。

アサガ(17)

エウリル付きの侍女の息子で、エウリルの遊び相手として王宮に出入りしている。
アストラウル人には珍しく黒髪に黒い瞳で、 子供の頃は周囲のアストラウル人にいじめられていた。
ユリアネをずっと姉のように慕っている。

 

サニーラ=ド=ルクタス=アストラウル(48)

アストラウル18世の正室。生粋のアストラウル人で、アストラウル18世の伯父バージッド公の長女。
誇り高く迫力のある豊満な美女だが、年齢を重ねると共に衰えも感じている。若く美しいエンナに嫉妬しているがそれを表には出さず、エウリルにも皇后として普通に接している。

 

ルクレーヌ=ド=サヴィリア(20)

アストラウル18世と側室マクレアンとの長女。
16歳でサヴィリア公爵と結婚し、今は一男の母。同じ側室の子としてエウリルとは親交がある。
性格は内向的で、意見を言ったり自分で行動を起こしたりするのが苦手。

 

ボウジア=ド=シャンドラン(42)

貴族、僧侶、平民からなる国民議会の議長。
元僧侶で、男爵の称号を持つ。立場上、国王とは対立している。
重税に苦しむ国民世論を知り、王制の崩壊を企んでいる。

 

エウドキア=ド=ハイヴェル(40)

ハイヴェル侯爵(ハイヴェル卿)アストラウル王立軍長。
代々アストラウル軍を統率してきた家柄で、高名で質実剛健。
現在は近衛兵も統率し、一人息子のルイゼンに任せている。

 

ジョーイ=ド=ヴァルカン(24)・マレーナ=ド=ヴァルカン(4)

アストリィに住むローレンの妻子。
ジョーイは先代ヴァルカン公爵の一人娘で、ローレンを支え家庭を守っている。

 

ハルコラン(62)

ヴァルカン家の執事。先代からヴァルカン家に仕え、ローレンが不在の場合に全てを任される財産管理人。

 

パヴォルム=ド=ヴァンクエル(25)

ハイヴェル卿率いる王立軍の、第1軍司令官。実戦では第一に派兵される軍の司令官で、父ヴァンクエル伯爵の引退により職務を引き継ぐ。アストラウルで唯一の国軍大学を出ていて、司令官としての実力も兼ね備える。自信家の野心家だが、女性には弱い。

 

ノーマ=ド=ルクタス=アストラウル(27)

アントニアの妃。サニーラの姉の長女。サニーラの勧めでアントニアと結婚し、子供を儲けたものの、控えめで大人しい性格のため、いつもは王宮内のアントニアの居室で過ごしている。

■グステ村・ダッタン市

ガスク=ファルソ(23)

スーバルンゲリラのリーダー。
父ジンカは元ラバス教の僧侶で、数年前の内戦では王宮と対立するスーバルン人ゲリラ集団を統率したが、終戦前に戦死。
ガスクにはラバス教への信仰心はないが、父への反発心からゲリラに参加。
ジンカとの関係は希薄で、ラバス教信者ではないにも関わらず統率力と人脈の広さを買われて、ゲリラ以外のスーバルン人をも率いる。
性格はやや傍若無人だが、行動力と判断力があり、一見冷酷そうに見えるが長老を敬して情に厚く、ガスクを信頼するスーバルン人は多い。

グウィナン=スタイク(30)

ガスクと同郷の幼なじみ。ラバス教の僧侶。幼い頃からガスクの兄貴分として色々と相談を受けていた。ガスクがゲリラに参加する前から、ゲリラ内で相談役のような地位にいた。
アストラウル人の父と娼婦だったスーバルン人の母とのハーフだが、混血は珍しい。外見はスーバルン人に近い。
頭がよく、特に戦略に長ける。ジンカと接した年数が息子であるガスクよりも多く、思想教育のほとんどをジンカから受ける。

ナッツ=マーラ(25)

ガスクの統率するゲリラの参謀。パワータイプで文武両道。
スーバルン人には珍しくアストラウル人の養父を持ち、王立軍下級陸軍の武術講師を勤めたことがあるが、エウリルと顔を合わせたことはない。
ガスクやグウィナンとは幼なじみで、口が悪くしょっちゅういがみ合っているが、実は二人を尊敬している。孤児でダッタン市の最下層で暮らしていたこともある。

ナヴィ(18)

本名・エウリル=ド=ルクタス=サウロン。
ハティ=サウロンとの婚儀の後、母エンナと妃のハティを殺した罪で投獄されるが、侍女ユリアネと幼なじみのアサガに助け出され、グステ村でパンネルに看護されてナヴィという名を与えられる。
記憶を失ったふりをし、自分が王子であることは周囲に隠している。

 

ジンカ

先の内戦で死亡したガスクの父。
ラバス教の僧侶で元は平和主義者。ガスクやパンネルをグステ村に残してダッタン市で孤児院を開いていたが、内戦で孤児院を潰され、子供たちを死なせたことからゲリラに参加。後にスーバルンゲリラを統率する。

 

カジュイン(65)

グステ村に住むジンカの親友。
今はジンカに代わってグステ村でラバス教の僧侶をしている。ガスクの相談相手。穏やかだが強面でがっしりとした体格。

 

パンネル=ファルソ(52)

ガスクの母。アストラウルの南の海に近いグステ村で暮らす。
大らかで優しく、ガスクが唯一頭が上がらない相手でもある。
エウリルが王子だといち早く気づくが、行方を追う王立軍からエウリルを匿い、死んだガスクの兄であるナヴィの名を与える。

 

エルマ(28)・ノク(36)・ザレト(4)

パンネルの家の隣に住む一家。妻のエルマと娘のザレトはパンネルと親しいが、夫のノクはスーバルンゲリラを追う王立軍に畑を焼かれたことがあり、ゲリラのリーダーであるジンカとその妻であるパンネルを恨んでいる。

 

キク(17)

サムゲナン市郊外の川沿いに建てたゲルに住む、スーバルン人の若い漁師。王立軍に追われたガスクとナヴィを匿う。

グンナ(26)

アントニアが管轄する王宮衛兵軍の将校。頭がよく、謀略に長けている冷酷な人物。フリレーテに命じられて、逃亡したエウリルを追う。天涯孤独。

イルオマ(28)

ハイヴェル卿が指揮する諜報部隊の曹長で、ハイヴェル卿の命令でルイゼンの部下になる。エウリルがグステ村にいることを突き止めて行方を追う。グンナとは士官学校での同期。

リーチャ=リソン(21)

ガスクの同郷の幼なじみ。両親共にグステ村で評判が悪く、十代前半にダッタン市の娼館に男娼として売られて現在に至る。
両親が早世したため恨みのやり場がなく、影のある一面も持つ。
ガスクからは売春宿に来てからずっと金銭的援助を受けている。

 

アニタ(24)

リーチャの娼館での同居人で娼婦。世話焼きで人情家。アストラウル人だが、音楽家の父親を貴族に殺されたため、アストラウル王宮を憎んでいる。
リーチャを弟のように思っていて、リーチャがガスクと交流していることを快く思わず、ゲリラ軍のことも疎ましく感じている。

 

ナザナ(13)

アニタの末弟でダッタン市の下町に住むが、兄弟が多く貧乏なため、学校には行かずにほとんどアニタの所で過ごす。
引っ込み思案だが内弁慶。ナヴィから勉強を教わる。
将来はガスクの元でゲリラになろうと夢見ている。

 

ブッタリカ(56)

リーチャとアニタのいる売春宿の経営者。アストラウル人。
底意地が悪くケチだが、強い者にはよくこびるため、下級中級役人とのパイプを持っている小市民。ナヴィに死んだ息子の面影を重ねているが、他の娼婦や男娼への手前、辛く当たることもある。

 

カイド(18)

スーバルンゲリラに参加する戦闘員。
普段はダッタン市で叔父が営む肉屋で働く。やや無口だが人当たりはよい。

 

トアル(27)

ローレンが率いる地下私設軍の兵士。アサガと共にダッタン市でエウリル救出作戦を行う。プティ市周辺の新聞記者を生業にしており、命を狙われた経験から武術を身につける。正義感が強く、子供の頃は裁判官を目指していた。

 

ネリフィオ(27)

トアルの子供の頃の友人でローレンの私設軍の兵士。ダッタン市出身の武道家で、プティ市で貴族相手に剣の指南をしていたが、トアルに誘われて私設軍に身を投じる。トアルよりも頭に血が上りやすいタイプ。

■プティ市周辺

ヤソン=グライン(31)

プティで自警団を組む市民軍長。平民。
大学で経済を勉強した後、エカフィと共にプティで王宮から独立した交易を展開。気さくで愛想がよく、スーバルンゲリラと組んで王立軍に挑む。

 

エカフィ=ド=スラナング(47)

プティ市長。ローレンの友人。スラナング男爵。高潔な市長で、王宮の圧政や今の法律を疑問視していてガスクに力を貸すことを約束する。
内戦では対スーバルン内戦部隊の総指揮をしていたため、ジンカのことを知っている。

 

テナン=ド=ノヴァン(65)

変わり者の数学者。文化人。
王族の血を引いているため伯爵の称号を持ち、幼い頃からエウリルに数学や歴史、物理などを教えた恩師。
数年前に妻に先立たれてからは豪邸に一人で住む。

スベリア(28)

オルスナ人。テナンの元愛弟子。
テナンの元を離れてアストラウル中を旅して歩き、後にグステ村に住むようになる。数学者だが文化人類学者でもあり、ラバス教とスーバルン人の伝承を調べている。

 

マクネル(42)

プティの近くにあるカーチェで宿と食堂を営むオルスナ人。ラバス教信者。